日本のピッチで見せる久しぶりの雄姿だった。
かつてJ1川崎で活躍し、北朝鮮代表として2010年ワールドカップ(W杯)南アフリカ大会にも出場したFW鄭大世(29)。
ドイツ移籍を経て、今季から水原(韓国)でプレーする点取り屋は9日、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で柏と敵地で対戦。
6日の国内リーグ・大邱戦で移籍後初得点を決めた自身の現状を「メンタルが安定している」と話し、
近年ACLで振るわない日本勢と好成績を残す韓国勢との違いについても、両国のリーグを経験した立場から冷静に分析した。
(中略)
鄭自身、川崎時代に3度出場したACLだが、07年に浦和、08年にG大阪が制した後、日本勢は決勝にも勝ち進めず、
昨年は8強にすら残れなかった。
対照的に韓国勢は09年以降、毎年決勝進出を果たし、11年の全北以外はすべて優勝を飾っている。
両国のリーグに精通するストライカーは「日本の方がレベルは高い」と断言。
2試合を戦った柏の印象についても「うちらが技術で押されている感じ。ハイプレッシャーになると技(の差)が出て、
うちはパスがつながらなかった。一枚も二枚も日本のパスサッカーの方が上手」とかぶとをぬいだ。
では、なぜ日本勢が勝てないのか。
韓国勢の強さの一因として、ACLの賞金が国内リーグより多く、ステータスも高い点などが指摘されるが、
鄭はもっと根本的な部分を強調する。
「サッカーはうまいと思うけど、『戦い』としては結果として負ける。日本人は民族的に優しいから」。
一発勝負でものを言うのは球際の強さや激しさ。その点では韓国勢に利があるといい、
ミーティングで「日本のチームは強く行けば何もできないから」と告げられたこともあったそうだ。
今後、鄭が目標とするのは国内リーグとACLの制覇。「(ドイツでの)2年半、葛藤も挫折もあり、人生の酸いも甘いも味わった。
相当な事じゃなければへこたれなくなった」と成長を自負する29歳が、川崎では縁のなかったタイトル獲得へ闘志を燃やす。
産経新聞 (奥村信哉) 2013年04月14日11時55分
http://news.livedoor.com/article/detail/7591503/