サッカー・Jリーグが来季から導入する「クラブライセンス(CL)制度」を巡って、クラブのホームスタジアムを所有する自治体が頭を抱えている。
CL制度では、座席数や照明の明るさ、トイレの便器数まで厳しい基準を設定し、クリアできなければ試合開催が危うくなるからだ。自治体は改修を急ぐが、厳しい財政事情の中で「一方的すぎる」との不満も漏れる。
広島市は13日、J1・サンフレッチェ広島が拠点とする「広島ビッグアーチ」の命名権売却の契約を、家電量販の「エディオン」(本店・広島市)と交わした。
CL制度が定める「ピッチ内の全てで照度1500ルクス以上」の必須基準を満たさず、改修費約3000万円が必要になったためだ。
市の財源不足は今後4年間で600億円と見込まれる。命名権売却契約は3年間で、年3300万円。1993年以来の愛称売却に市の担当者は、「約20年にわたって市民に親しまれた名前だったが」と残念がる。
J2・愛媛FCの「ニンジニアスタジアム」を所有する愛媛県。
2017年の国体に備えて改修を進める予定で、J2基準「1万席以上」の座席数は来春までに確保できるが、J1基準「1万5000席以上」の達成は国体直前の見通し。達成前にクラブがJ1昇格しても試合は開けない。
J1、J2の全40クラブのうち、38クラブが自治体設置のスタジアムにホームを置いている。読売新聞の調べでは、大阪市、京都市、徳島県、愛媛県、鳥取市など少なくとも13県市が、座席の増設や大型映像装置の設置などの改修を決めた。
ただ、今年1月にCL制度が発表されるまで、Jリーグから各自治体に詳しい相談はなかったといい、「一方的に決めるのはどうか」(京都市)、「小さな自治体がチームを持てなくなる」(水戸市)などの声が上がる。
さらに自治体が懸念するのは、必須とされていない▽観客席の3分の1以上を屋根で覆う▽1000人の観客に洋式トイレ5台、男性用便器8台――などの基準だ。現状では35クラブが未達成。
すぐに試合ができなくなることはないが、改善策が求められる。将来的には必須となる可能性もあり、自治体側は「整備費がどんどん膨らみかねない」と警戒する。
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