【文芸】「追悼というわけではなく、悪ふざけは続けようと」 故・伊藤計劃との共著『屍者の帝国』を完成させて 円城塔インタビュー
屍者の帝国:伊藤計劃さんの絶筆、円城塔さんが書き継ぐ 作風の差超え、意識の根源問う
3年前に34歳の若さで世を去ったSF作家、伊藤計劃さんの未完の絶筆を、盟友である作家の円城塔さんが書き継ぎ、完成させた。
長編『屍者(ししゃ)の帝国』(河出書房新社、1890円)は、伊藤さんが残した400字詰め原稿用紙30枚の原稿をプロローグにして始まる。
故人との共著になった本書に込めた思い、執筆の経緯などについて、円城さんに聞いた。【棚部秀行】
『屍者の帝国』は、19世紀のイギリスやアジアが舞台。命を吹き込まれた死体が、労働や兵役を担っている社会だ。
主人公は、のちに名探偵シャーロック・ホームズの相棒となる、若きジョン・H・ワトソン。彼は情報機関の一員として「屍者」の謎を追い始める。
「『死者が動く』話でなければ、やらなかった。当人が亡くなって、冗談のようであっても、誰かが引き受けなければならないだろうと思いました。
追悼というわけではなく、悪ふざけは続けようと」
今年1月、『道化師の蝶(ちょう)』で芥川賞に選ばれた際の記者会見で、円城さんは伊藤さんの遺稿を引き継いでいることを明かした。
吉報に接した喜びや受賞作をめぐる応答が続く中、異質とも感じられる場面だった。
二人の付き合いは、2006年に始まる。共に小松左京賞の最終選考に残ったものの、そろって落選した。
ネット上でやり取りし、会合やトークショーで顔を合わせるようになった。
二人の関係性を「『コンビで売っていこう』と僕は言っていましたが、二人で飲みに行ったことはないし、
作家として同期以上の関係は、実はないんです」と述懐しながら、
「日本のSFは質が高いと思うけど、日本の文脈に頼ったり、特殊で息苦しいところがある。そこを開けてくれる人だった」と、
伊藤さんの可能性を惜しんだ。
毎日jp(毎日新聞) 2012年09月06日 東京夕刊
http://mainichi.jp/feature/news/20120906dde018040082000c.html
(
>>1の続き)
円城さんがエンジニアとして勤めていた会社は、伊藤さんが入院中の病院近くにあった。
昼休み、毎日のように見舞ったが、病室では新作『屍者の帝国』の話をほとんどしなかったという。
残されたのは、08年10月に編集部へ送った原稿30枚と、プロットのメモ書き。
死の直後に出版社から、書き継ぐことを依頼された。
「伊藤はエモーショナルで突き放した文章が得意。視覚的なイメージにも優れています。でも僕にはできない。
本人が書けば当然違ったものになったでしょうが、最低限、大枠を押さえた感じです」
作風の異なる二人の作家が、一つの作品を書き継ぐ。構成や設定など試行錯誤を繰り返し、一度は投げ出そうとも考えたという。
「亡くなって3年が過ぎ、これ以上は延ばせない。無理にでも名前を出しておかないと、人の忘却は予想以上に早いですから」。
「二人の作家の物語」として情緒的に読まれることを注意深く敬遠しながら、故人への敬意がにじみ出る。
ラストに向けて『屍者の帝国』は、人間の意識や魂の根源を掘り下げる。
伊藤作品を貫くテーマを進化させた内容であり、円城さん独自の問題意識にも通じる。
円城さんは作家生活5年4カ月のうち、3年4カ月を本書に費やした。
「『伊藤計劃ならどう考えただろう』という自問自答はしないようにしました。
自分の中の記憶や思い出にからめ捕られると、ウエットで『冗談の構図』ではなくなる。
伊藤のことは全部わかっている、という態度は出ないよう心がけました」(毎日jpにインタビュー詳報)
円城塔インタビュー詳報:故・伊藤計劃との共著「屍者の帝国」を完成させて− 毎日jp(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/news/20120906mog00m040001000c.html
屍者の帝国 伊藤計劃×円城塔 | 河出書房新社
早逝の天才・伊藤計劃の未踏の絶筆が、盟友・円城塔に引き継がれてついに完成
19世紀末――かつてフランケンシュタイン博士が生み出した、死体より新たな生命「屍者」を生み出す技術は、
博士の死後、密かに流出、全ヨーロッパに拡散し、屍者たちが最新技術として日常の労働から戦場にまで普及した世界を迎えていた。
後にシャーロック・ホームズの盟友となる男、卒業を間近に控えたロンドン大学の医学生ジョン・H・ワトソンは、
有能さをかわれて政府の諜報機関に勧誘されエージェントとなり、ある極秘指令が下される。
世界はどこへ向かうのか? 生命とは何か? 人の意識とは何か?若きワトソンの冒険が、いま始まる。
http://www.kawade.co.jp/empire/ http://www.kawade.co.jp/empire/images/book_l.jpg
h
m
普通に面白かった
篠房六郎がアップを始めましたw
同期なんだっけ?
円城さんが後継いでくれて良かった
文体なども伊藤計劃のそれに寄せてたし
かなり売れてるみたいだな
近場の本屋も面陳を拡大していた
読み終わったけど
なんか泣いたとかいう意見が多いけどどこで泣くんだ?
エピローグに死んだ伊藤へのメッセージを重ねて泣くの?
だとしたら作品自体の力と関係ないよね
テーマはsf界隈の最新タームとにかく集めてみましたって感じだけど、一般への希求力は無いだろうね
12 :
名無しさん@恐縮です:2012/09/08(土) 23:46:03.89 ID:U91xdton0
まあおめーは黙ってやきそばバゴォーンでも喰ったらどうだ夜食に。わかめスープつきだぞ。ちなみに大盛りだと
乾燥玉子入りでな。三陸わかめだ。
別に泣きはしなかったが、面白かった
感動系の感想をあげているのは一部の伊藤ファンだけだろ
14 :
名無しさん@恐縮です:2012/09/09(日) 13:05:01.34 ID:8XwE+ekV0
僕も泣けはしなかったけど面白く読めた。
芥川賞の田中や朝吹ってその後書いてんのかな。
田中は雑誌で連載中で、長編を一本書いてる
朝吹は全く何も書いてない