日本の競馬を支えてきたアラブ馬=キーワード=が姿を消しつつある。40年ほど前は1万頭を超えていたが、
時代はサラブレッド全盛に。現役は地方競馬のわずか6頭だ。
馬の血統登録を扱う公益財団法人ジャパン・スタッドブック・インターナショナルによると、戦後間も
なくは、サラブレッドが足りず、観客の期待に応えられるレース編成が出来なかった。そんな中、アラブ馬は
重宝な存在だった。サラブレッドと違い、気性は穏やかで丈夫、粗食にも耐えて扱いやすい。血筋から能力が
読みやすく、生産農家や馬主も手堅い経営ができたという。地方競馬に詳しく、アラブ馬主でもある
札幌国際大学の大月隆寛教授(民俗学)は「アラブで稼いでサラブレッドで勝負をかける生産農家は
多かった」。中央では1950年代に出走馬の3割程度、地方での登録数は70年代前半までサラブレッドを
上回る1万2千頭前後に上った。
しかし、人気はスピードに勝り華やかさがあるサラブレッドに集まり、95年には日本中央競馬会(JRA)
がアラブ馬単独のレースを廃止。地方競馬も追随した。国内のアラブ馬単独のレースは09年9月27日の
福山競馬(広島県福山市)が最後だ。
いまも残る現役はホッカイドウ競馬(北海道)の1頭と福山競馬の5頭。アラブの競走馬の生産は止まって
いて、競馬界から姿を消すのは時間の問題だ。
馬産地・北海道では、最後のアラブ馬が約840頭のサラブレッドに闘いを挑み続けている。栗毛の7歳馬
「ザラストアラビアン」だ。今月6日夜、門別競馬場(日高町)の最終レースでは、13頭中、最下位。
伊藤千尋騎手(26)は「最後は息切れしてしまった」と残念がった。
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001206150007 最後尾から追うザラストアラビアン=6日、日高町、杉本康弘撮影
http://mytown.asahi.com/hokkaido/k_img_render.php?k_id=01000001206150007&o_id=43763&type=kiji つづく