【追悼】バリトン歌手、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ氏、詩と音楽の緊張関係を突き詰める…梅津時比古
ディースカウが「冬の旅」を初めて録音したのは、第二次世界大戦から復員した直後の1948年、
ベルリンの放送局においてである。絶望を極めたこの歌曲集に、彼は理性的であろうとする姿勢で臨んだ。
それは、旧来の情感たっぷりの、しばしば楽譜を逸脱する歌唱法を一新するアクセスで、今聴いても
新鮮極まりない。最も大きな意味は、それまでの歌唱法と同居していた戦前の文化が敗戦によって
崩れかけた中で、ドイツ歌曲が培ってきた文化自体を否定するのではなく、主知的に新しい形で捉え
直そうとしたことだろう。それは現代の歌唱法の嚆矢(こうし)になると共に、ドイツ人の傷を
回復させる要素をも持ったのである。
具体的にはテクストの詩の解釈と音楽的解釈との緊張関係を突き詰めたことである。文学面と
音楽面、すなわち言葉の広がりと、旋律、声の色などの融合や交錯の追究が多角的になされる。彼が
語ったところによると、たとえば「冬の旅」の第3曲「凍った涙」におけるミュラーの詩の「涙」を、
革命への冷めた情熱と読み直すのである。シューベルトのフレージングにその陰影を見る。これによって
表現は背後の世界をも持ち、一挙に深まる。
>>3に続く
多義的な表現のために彼が重視したのはピアノパートナーとのアンサンブルである。とりわけ
シューベルト以降の歌曲は、ピアノがテクストの文学面を担っていることが多い。彼はなんと
200人を超えるピアニストと共演した。「冬の旅」の録音も、ジェラルド・ムーアとの3回を
除けばすべて異なるピアニストである。そのつどピアニストによっても、新たにテクストの読み
込みが広がる。こうした絶えざる新しい追求によって、ディースカウの歌唱は、世界的な普遍性を得た。
彼は引退後、マスタークラスによって多くの歌手、ピアニストを育てた。まだ彼ほどの総合力を
持った歌い手は現れていないし、二度と現れないとも思うが、それぞれがディースカウのさまざまな
要素を引き継いでおり、まかれた種はしっかりと根づいている。(専門編集委員)
◇
バリトン歌手のディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウさんは18日死去、86歳。
関連スレ
【訃報】バリトン歌手、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ氏(86) 死去
http://anago.2ch.net/test/read.cgi/wildplus/1337578253/
よくぞ立てた
5 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 17:53:57.62 ID:k0futr/a0
芸スポに訃報スレ建っていなかったのが意外
7 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 17:57:32.06 ID:k0futr/a0
>>6 ごめんね。誰か立ててくれると思って完全に放置してた。
8 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 19:11:11.18 ID:Ni2a2UDR0
訃報(とほー)です。 <チラパン由恵
9 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 19:19:40.19 ID:3pGf4eHG0
この人知らなかったけど
スレタイ見てフィッシャー=ディースカウが死んだのか梅津って人が死んだのか
フィッシャー=ディースカウの別名が梅津なのかわからなかったから開いてみた
10 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 19:26:43.12 ID:zKNkmLSs0
暑いけど、冬の旅を聴く
歌曲の凄さをわからせてくれた歌手だった
13 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 20:30:04.02 ID:ffn4vzcZ0
彼の「魔王」を音楽の授業で聞いた人も多いはず。
スルーされたと思ってた。スレ立てありがとう
印象に残ってる録音なりコンサートなりって人によって違うんだろうな
マーラーやヴォルフに手を出せたのはこの人のおかげだった
15 :
☆:2012/05/27(日) 21:55:32.94 ID:PSFIOe8S0
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウとヘルマン・プライ。
二大バリトン歌手だったな。
16 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/27(日) 22:43:29.18 ID:UDEnIWA00
>>6 > 芸スポに訃報スレ建っていなかったのが意外
実は私は訃報記事知ってすぐにスレ立て依頼スレに要望だしたのですが
記者にその時常駐の記者にスルーされました
J-POPやロック系の訃報ならすぐに立てるのに・・・(#-ω-)
>>1 公の媒体に書く追悼文なのだし、ディースカウ表記はいただけない。
面倒がらずに書く度にきちんとフィッシャー=ディースカウとするべき。
あくまでそれで一つの名字なのだから。
それともこの梅津時比古とかいう編集委員は、他の二重姓
例えばサン=サーンスもサーンスと省略して平気な御仁なのだろうか
今更だが吉田秀和さんの訃報スレで今日フィッシャー=ディースカウさんのことも知った。
巨大すぎて全貌が把握できないくらいすごい。
過去のことを一切知らなくてもこの人は人類史上最高の歌手だと言い切れる。
ご冥福を。
名前に=が入るの初めて知った
20 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 00:34:06.05 ID:UPSLpGXU0
21 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 00:36:26.03 ID:5oVBCTmE0
フィッシャーディスカウいつの間にか死んどったのかwwww
そういえば美空ひばりかフィッシャーディスカウかと
フィッシャーディスカウを褒め称えた恥ずかしい日本人指揮者いたよなwww
ソットボーチェの神。それにしても美しいドイツ語だったな。
23 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 06:33:15.13 ID:K5eWx+/H0
5つ(?)歳下のプライはディースカウの歌を聴いて自分が歌手になる意味があるのかと悩んだんだったか
24 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 08:36:52.20 ID:gX9asqeH0
「ええと…フィースカウくんだね?」
「ディースカウです、マエストロ」
「わかった」
「ええと…フィースカウくんだったね?」
「ディースカウです、マエストロ」
「わかった」
「ええと…フィースカウくん?」
「ディースカウです、マエストロ」
「わかった」
「それでここのパートなんだがね、フィースカウくん」
「…」
25 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 15:16:23.29 ID:pb5K01LE0
フィッシャー=ディースカウさんのスレが伸びないとか、
やっぱり2ちゃんですら偏りは大きいんだな。
>>13 動画をみた時に語り手・父・子・魔王の演じ分けが凄いと思った。
27 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 18:12:31.79 ID:q8U/Ozk+0
28 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 18:18:11.70 ID:ArcZ3AW50
歌曲は殆ど聞かないけど
オペラで、この人の歌ったアルマヴィーヴァ伯爵や
ドン・カルロでの宗教裁判長が好きだった。
こういう役所の人が素晴らしいと、舞台全体のクオリティが上がる。
29 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 18:34:11.39 ID:K5eWx+/H0
>>27 笑える? まあバストショットはおかしいな
引きで佇まいを撮らないと
ヘルマン・プライは知らん。
フィッシャー・ディースカウはこのスレ開いて25年振りに思い出した。
31 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 20:55:34.30 ID:VX/2G5gn0
この人が歌ったマーラー/大地の歌のピアノ伴奏版(ピアノはヴォルフガング・サヴァリッシュ)日本初演を会場で聴けたオレ。
鳥肌立ちました・・・・・・。
32 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/28(月) 21:00:13.22 ID:o8fHHXikO
>>13 中学の音楽では魔王しか記憶にないわ。 それほどの衝撃があった。
>>1 ゆきぺ記者、ありがとう!
何度の依頼も、全てシカトされて泣いてた。
>>16 ワシも何度、依頼したことか。誰でも耳にしたことのある、あの声を。
ドナ・サマーはすぐに立った。
※クラシックや古典芸能は、すぐ落ちるので、上げ進行で、御協力を願います。
>>32 中学の音楽で聴かされたのは、日本語版だった。
「お、と〜さん おと〜さん!」
36 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/29(火) 03:28:05.30 ID:vmDA4KGU0
保守
バリントンと梅津かと思った
>>37 こういう書き込みを期待しておりました
そんな私は悲しいカープファン
スレ違い失礼いたしました。
バリントンだよな
40 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/29(火) 13:29:52.75 ID:c4MiIxVi0
前に実況スレで是非聴いた方がいいと教えてもらった人だ
ご存命だったんですねorz しかもまだCD買ってない・・・orz
必ず買って聴いてみようと思います
かげながら合掌m(__)m
上げます。
42 :
【関電 60.3 %】 :2012/05/30(水) 05:53:32.18 ID:XrfNBPxh0
保守
43 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/30(水) 06:06:40.26 ID:IUOEnO4Q0
国葬とかしないのかな?
44 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/31(木) 03:01:55.38 ID:ryOVqszY0
フィガロの伯爵。
あまりに威厳がありすぎてエロ親父になっていなかったが、
それでもよかった。
45 :
名無しさん@恐縮です:2012/05/31(木) 07:00:16.86 ID:FrwDJlYU0
最初の奥さんを病気で亡くしてるとはいえヴァラディで4人目で
若い頃は自宅までファンが押し寄せていたモテモテ親父
46 :
☆:2012/05/31(木) 21:58:01.49 ID:0JiIYtl60
20世紀の声楽界においては、
シュワルツコップ、カラス、モッフォが女性歌手御三家、
フィッシャー=ディースカウとプライが二大男性歌手だったが、
女性歌手御三家とプライは、とうに亡くなっており、
フィッシャー=ディースカウの死去で、
真の意味で声楽界の20世紀が終わったな。
声楽界全体で見てプライが20世紀でそこまで圧倒的存在だったかは疑問ですねぇ
野本立人先生にいま習ってるんですが、野本先生が100だとしたらどのくらいのレベルの人なんでしょうか?
49 :
名無しさん@恐縮です:2012/06/01(金) 14:51:11.36 ID:9h0Cu4Cz0
>>46 モッフォはかなり格落ちだし、シュヴァルツコップとプライが死んだのはそんな昔じゃない。
>>47 確かに、20世紀では圧倒的ではないが、
2000年代以降の、声とメロディーの自然な流れを重視するスタイルの先駆けと言えないこともないな。
冬の旅は、
一家に一枚