(
>>1からの続きです)
店を出たのは、日付が変わった深夜2時前。2人はタクシーに乗り込み
都内にある早乙女の自宅マンションに着いた。ふて腐れたように先に入っていく西山。
追いかけるように早乙女が続く。しかしその数分後、部屋に戻ったはずの2人が突然、飛び出してきたのだ。
「待てよ!」早乙女は激高していた。早乙女は西山の体を抱え込むと、力いっぱい突き飛ばした。
西山は止まったタクシーに乗り込もうとするが、早乙女が強引に引きずり出す。その繰り返しだった。
タクシーが去っていくと、そこからが“修羅場”だった。「俺はお前といっしょになりたいんだよ!」と
西山の両腕をつかみ鬼の形相で迫る早乙女に、彼女は冷静な口調で言い張った。「いつもそう。もう別れよ」
別れ話を切り出した西山に、早乙女はキレた。彼女につかみかかると、力任せに突き飛ばす。
ガードレールにめり込んだ西山はアスファルトへ打ち付けられた。起き上がる彼女の喉元を、
早乙女は再びつかみガードレールに叩きつける。鬼気迫る彼の表情。
恐怖のあまり、西山はついに泣きだしてしまった。それでも早乙女は、追求の手を緩めない。
「こんなんで別れたら、俺は絶対、お前を許さない!絶対に別れねぇ!!」最後の力で早乙女の腕を振り払い、
全力で走って逃げ出した西山はなんとかタクシーに乗り込んだ。20歳という若さゆえの暴走だったのかもしれない。
だが恋人をメッタ打ちにするという行動の重大性を、彼はもっと重く受け止めなければならないだろう――。(了)