健大高崎の足を絡めた猛攻に42年ぶりのベスト4進出は断たれた。それでも、
鳴門のエース後藤田は「甲子園でああいうチームと試合ができてよかった。
勉強になった」。表情には一点の曇りもなかった。
かつては「野球王国」と言われた四国だが、最近は低迷が顕著だ。2008年春から
昨夏まで8季続けて、ベスト8に四国勢の名前はない。徳島県勢は中でも深刻で、
06年以降、甲子園に出場した延べ10校のうち初戦突破したのは3校だけ。
それとて1勝を挙げただけで聖地を去っている。
関係者も手をこまねいているわけではない。県監督会の会長を務める高橋広・
鳴門工監督の発案で、昨年度から秋季県大会の優勝チームを選抜前に
沖縄に派遣。また、県下の強肩自慢や俊足選手を集め、遠投や
ベースランニングなどで競い合う「体力・技術向上研修会」も3年目を迎えた。
試みは少しずつ実を結んでいるようだ。昨春、21世紀枠で初出場した城南は
報徳学園(兵庫)を破る波乱を演出。夏は徳島商が準優勝した光星学院(青森)に
1点差の接戦を演じ、秋の山口国体ではベスト4に入った。
とりわけ、暖かい沖縄で実戦を重ねられる恩恵は大きい。今大会前に遠征した鳴門は、
練習試合で2勝2分け。三塁手の松本は「身体能力が高い沖縄のチームに、
自分たちのプレーが十分通用した。自信になった」。甲子園でも臆することなく
臨んだ結果が、大会史上初の2試合連続延長サヨナラ勝ちにつながったのだろう。
徳島は全国で唯一、私立高校が甲子園に出場したことがない。強豪私学が
幅を利かせる昨今の甲子園で勝つのは簡単ではないが、鳴門が挙げた2勝は
今後への大きなステップになる。
小学生の頃、蔦文也監督が率いる池田の「山びこ打線」に魅了された一人として、
徳島の、ひいては王国・四国の復活を願ってやまない。
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