「カーン……カーン……」
室内のバッティングケージ内に響き渡る、バットがボールをとらえる音。
時に目にも止まらぬ速さの打球がバッティング投手を保護するためのネットの金属枠を直撃する。
「キーン」という長く鋭い金属音がその場全体の空気を、大きく揺さぶる。
時折、大きく息をし、呼吸を整え、バットを構える。
そこから一気に振り下ろし再びバットを上げる。
納得のいかないスイングには声をあげ、ひとりつぶやく。
そしてまた構える。
ほぼ休みなくこの動作が繰り返される。
1球、2球、3球……300球をこえてもやまない。
3月も残すところあと1週間あまりとなった。
フロリダ州、アリゾナ州の温暖な地で行われているアメリカ大リーグ各球団の
スプリングトレーニングが佳境を迎えつつあるこの時期、まだ寒の残るニューヨークで独り、
黙々と自主トレに励んでいる野球選手がいる。
松井秀喜選手である。
所属先の決まらぬまま2月22日に渡米、そのすぐ翌日から現地での自主トレを始め
およそ1ヶ月が経った。その間300スイングをこえる打ち込みを行う日々を重ね、
来るべき「その時」のために、トレーニングを欠かさずにきた。
しかし。
「その時」はまだ、来ていない。2003年に海を渡って10シーズン目、
日本でのプロ生活をあわせると今季はちょうどプロ生活20年目となる。
そんな大きな節目の年に松井選手はまさに、みずからの野球選手としての存在の
かかった正念場を迎えている。
「現実を受け入れるしかない……現状を受け入れながらも、日々準備というか練習を
していくしかない。それだけです」
この時期になってもまだユニフォームを着ていないという現実。しかしだからこそ
「その時」が来たら、しっかりとした準備ができた状態でユニフォームが着たい。
「まだプレイをするという意思がある以上は練習しかない……ただプレイしたい、
まだプレイしたいって、それだけ」(
>>2に続く)
http://www.nhk.or.jp/sports2/clm/clm_yakyu_mlb_016294.html ★1が立った時間 2012/03/27(火) 10:59:21.03
http://awabi.2ch.net/test/read.cgi/mnewsplus/1332813561/