日本の方向性を示す2冠となった。
ラグビー日本選手権決勝(18日、国立競技場)は、サントリーが21−9でパナソニックを退け
トップリーグ(TL)に続く今季2つ目のタイトルを手にした。
得意の速い展開を素早い防御に寸断され苦戦。それでも26分にはSOピシの個人技、35分にも
WTB小野沢がインターセプトからトライをあげた。攻撃的を意味する“アタッキングラグビー”を
かかげるサントリーだが、この日は同じように攻撃的な相手をノートライに封じたあたりに、
ディフェンス面でのしぶとさもみせた。
4月から日本代表ヘッドコーチに就任するエディ・ジョーンズ監督(52)は「日本一攻撃的な
チームを作ったが、今は日本一の守備ができるチームにもなった」とご満悦。2冠をもって勇退、
これからは日本代表を“勝てるチーム”にするのが仕事になる。あるサントリーの選手は
「代表に選ばれて音を上げる選手が続出すると思います」と話す。その練習は選手を飽きさせない
豊富さで知られるが、同時に妥協なし、無駄なし。ジャパンはこれから、サントリーを作り上げた
手法に委ねられる。
そんなジョーンズ監督が、試合後のグラウンドで声を張り上げた。
「6万人のお客さんの前で試合をしたい!」
この日の入場者数は1万83人。過去5年の決勝ではもちろん最低だ。秩父宮の芝を改修するため
会場変更となったが、客席数が多い分だけ閑散とした雰囲気も強い。現在、1年のうち最も集客力が
あるのは早明戦で昨年も2万9341人。ただし、これは大学の対抗戦の一試合に過ぎない。
人気と実力が一致しないのが、今の日本ラグビーの現実である。日本協会幹部はスタンドを見つめ
「どうしたらいいのか。何か特効薬はないものか…」とため息をついた。
2019年のW杯日本開催まで7年。ジョーンズ監督は「いいラグビーをするしかない」と話したが、
ジャパンを強くすることはできるかもしれないが人気アップまでは保証してくれない。あえて観客の前で
「6万人の前で…」と発言した真意を、協会や関係者が本気で受け止め対策を始めない限り、
W杯の成功などない。
http://www.zakzak.co.jp/sports/etc_sports/news/20120319/spo1203191229001-n1.htm