思わずニヤリと笑った。試合後、テレビカメラ3台を含め、多数の報道陣が待つミックスゾーンに姿を見せた桐生一(群馬)のU-18日本代表FW鈴木武蔵(3年=アルビレックス入団内定)は矢継ぎ早に浴びる質問に一つひとつ丁寧に答えていった。
初出場の全国選手権初戦でハットトリック。ジャマイカ人の父を持つ褐色のストライカーが圧巻の全国デビューを飾った。
「県予選で点を取れなかったので、その悔しさをバネに全国で点を取ろうと思って練習に臨んできた。その気持ちが点につながったと思う」
18年ぶりの8強入りを果たした昨年のU-17W杯に出場し、昨年12月にはU-18日本代表のイスラエル遠征メンバーにも選ばれた。年代別の日本代表では活躍を見せる鈴木だが、桐生一では途中出場がほとんど。
群馬県予選も前橋育英との決勝で初めて先発したが、得点を決めることはできなかった。
「代表では点を取ってくるのに、チームに帰ってくると取ってくれない。育英戦も延長戦で5本外して、いつ取るのかなと思っていた」。そう笑った小林勉総監督に鈴木は「全国で取ります」と誓ったという。
有言実行の3得点。大舞台でついに発揮された才能に小林総監督も「スター性ですかね。どんなに外しても、落ち込むとかはない。そういうところはハーフだからか分からないけど、いい意味で日本人離れしている」と舌を巻いた。
舞台が大きくなればなるほど、大事なところで結果を残せるのが鈴木の最大の強みだ。ユース代表に定着したのも、2010年7月の新潟国際ユースで途中出場ながら2得点を奪い、逆転勝利に貢献したのがきっかけだった。
持ち前の明るさから「クラスで一番うるさいと言われる」そうで、学校行事でも何かあれば一発芸を求められ、大勢の生徒が見守る檀上で踊ったり、美空ひばりさんの演歌を披露したこともあった。
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