「オシムファミリー」が再び日本にやってくる−。来季からサッカーJ2に昇格する町田ゼルビアが、
アマル・オシム元ジェフ千葉監督(44)にオファーを出した。
もちろん町田は本気だ。昨年の相馬直樹監督(40)=現J1川崎監督=に続き、今オフは契約切れ
とはいえ昇格に導いたポポビッチ監督(44)をFC東京に“強奪”された。2年連続で監督が他クラブに
移籍してしまう異常事態を憂慮し、「長期的にクラブを見てくれる監督」としてアマル氏に白羽の矢を
立てたのだ。
これには、父親であるイビチャ・オシム元日本代表監督(70)にアドバイザーになってもらう思惑も
見え隠れする。オシム氏は2007年11月、自宅で脳梗塞で倒れたが奇跡的に回復。監督こそ退任
したが、その後も08年12月まで日本代表アドバイザーを務めた。翌年に帰国し、今年は民族対立
を背景に統合を拒否する母国ボスニア・ヘルツェゴビナのサッカー協会の問題を解決するため、
「正常化委員会」の委員長に就任した。
そんなオシム氏は、今でも日本への思いは十分。オシムファミリーにとって、今の町田の状況は
“あのとき”と同じなのだ。03年、「金がない」「施設もない」とJ1下位に低迷していたジェフ市原
(当時)の監督に就任。05年には、ナビスコ杯優勝に導き強豪クラブの仲間入りを果した。父から
バトンを引き継いだアマル監督は、翌年もナビスコ杯を勝ち取り“お荷物クラブ”だった千葉の黄金
時代を築いた。
町田の累積赤字は7000万円近くにのぼるが、「来季には解消する」と約束してJ2に昇格。そのため、
オシムファミリーに提示できる条件は千葉時代の半分以下なのだが、それでも受け入れるか否か。
にわかに、今オフ注目の監督交代劇になってきた。
ちなみに、町田がアマル氏に監督として提示する条件は年俸1000万円(推定)の複数年契約。
父のオシム氏をアドバイザーに招く予算はほとんどないのだが、果たして…(夕刊フジ編集委員・久保武司)
http://www.zakzak.co.jp/sports/soccer/news/20111223/soc1112231436002-n1.htm