【サッカー】セルジオ越後「日本のサッカー解説者が、テレビ中継でホンネを言わない理由」

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1依頼272@落花流水ρ ★
セルジオ越後の一蹴両断! 第231回「サッカー解説者たち」
週プレNEWS 2011年10月27日(木)配信

日本のサッカー解説者が、テレビ中継でホンネを言わない理由

先日行なわれた日本代表の2連戦(親善試合のベトナム戦、W杯3次予選のタジキスタン戦)、
僕は2試合ともテレビ中継の解説をやらせてもらった。

ともに力の劣る相手との試合だったけど、ベトナム戦は近年まれに見るひどい内容で1-0の辛勝、
一方のタジキスタン戦はまるで歯応えのない相手に8-0で大勝。どちらも解説者泣かせの試合
だったよ。

例えば、ベトナム戦の日本代表は「本当に日本代表の選手なのか」と目を疑うようなミスを連発
したけど、そのふがいなさをストレートに指摘し続けるわけにもいかないので、逆にベトナム代表を
「運動量が落ちないですね」などとホメるしかなかった。

タジキスタン戦も「こんな弱い相手は見たことない」と言ってばかりいたら視聴者が興味を失ってしまう。
だから、解説でコンビを組む松木(安太郎)さんに、事前の打ち合わせにはなかった質問を急に振ったり
して盛り上げようとした。

「今日のタジキスタンのシステムは、どういうシステムですかね?」
「う〜ん。……全員で守るシステムですかね!」という調子でね。

>>2につづきます。


▽週プレNEWS
http://wpb.shueisha.co.jp/2011/10/27/7673/
2落花流水ρ ★:2011/10/28(金) 02:07:42.81 ID:???0
>>1のつづき。

僕が初めてテレビ解説の仕事をしたのは全国高校サッカー選手権大会で、もう30年以上も昔の話。
当時は、テレビで言ってはいけない言葉を知らずに使う失敗もした。また、どれだけ準備をしても、
試合はフタを開けてみなければどうなるかわからないので、正直、今でも毎回、試行錯誤しているよ。

なかでも一番難しいのは、日本のサッカー中継では海外のようなストレートな指摘がしづらいこと。
ブラジルのサッカー中継なんて、デキの悪い選手にはもう容赦しないからね。

アナウンサーが「あの背番号10番、どう思いますか?」と振ると、「ペレに似てますね、背番号だけは」
と返す。

でも、日本でそれをやったら、テレビ局からも視聴者からも反発を受ける。文化の違いとはいえ、少し
もどかしさを感じることもあるよ。

ただ、それでも自分の色を出さなければ意味はないし、日本サッカーのためにもよくないと思うから、
本当に不満に感じることがあれば、ストレートに口にするようにはしている。

そのせいで「辛口」「怒りっぽい人」というレッテルを貼られてしまったけど、僕に言わせれば、ほかの
解説者がホンネを言わなすぎるだけ。みんな監督として現場に戻りたい気持ちがあるから、中継では
波風が立つようなことは口にしたがらないんだ。

でも、僕はそれって逆に選手や審判、視聴者に失礼だと思うし、例えば、審判による完全なオフサイドの
見逃しを「微妙ですね」という曖昧な解説は、サッカーの普及拡大という点では逆効果じゃないかと思う。

海外のサッカー中継では、指導者として現場に戻りたい人はあくまでゲストとして出演する。監督をやり
たがっている人だけでは中継が成立しないと、テレビ局も視聴者もわかっているからだ。

最近は日本代表の試合の解説をやらせてもらうことが多いけど、歴史的な試合に立ち会えたときは心底
うれしいね。2004年のアジア杯(中国)、今年のアジア杯(カタール)などは、日本が奇跡的な優勝を決めて、
僕も我を忘れて騒いでしまった。これから先、どれだけ日本代表の解説をするのかはわからないけど、
いつかまた、そういう試合を担当できれば本望だね。