【サッカー】セルジオ越後「日本人が海外に出て行くのは、Jリーグに未練がないからじゃないかな」[08/29]

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1自由席の観客φ ★
日本人が海外に出て行っているのは、Jリーグに未練がないからなんじゃないかな

 Jリーグが発足して18年が経ったね。(中略)20年近くも経つと課題や問題点も
はっきり見えてくる。最初は「企業を表に出さない」、「全部地域を中心にするんだ」
という衝撃的な理念でスタートを切った。「子供からプロまで育てるんだ」、「ジュニアの
育成機関を作るんだ」という考えは革命的だった。地域密着で子供からフォローしていく
という夢は素晴らしかったけど、まだそれが実現しきれてないのは問題点だと思うね。

 結局、バブルが崩壊して経済的に落ち込んだ時にそこで我慢できなかったんだよね。
プロ化以前のように、もう一度企業を中心にやらなきゃならなくなったところに戻りつつある。
日本のスポーツ文化は結局変えられないのかな。リーマンショックや大震災で景気が
悪いから仕方ないと言った瞬間に、企業におんぶに抱っこだということを自分たちで
認めてしまっている。例えばヨーロッパの国のほうが景気は悪いんですよ、日本よりも。
けれどもスポーツは関係ない。要するに、環境も中身も違うから。

 でも日本のサッカー界は、不景気だからと言って企業スポーツに戻りつつある。
野球はチームのオーナーが力を持ってるから、不景気の中でも何とか頑張っている。
それは年俸を見れば分かりますよね。こんな不景気の中でも野球の年俸はすごく
上がっていく。でも、サッカーは優勝しても優勝しても上がらない。企業がお金のある
チームはうまくいくけど、大企業のバックアップがないチームは……あれが本来の
Jリーグの姿だと思う。企業におんぶに抱っこできるチームがあるから、地域との
密着性が吹っ飛んでしまっている。最初の理念と完全にずれてしまっている。それが
大きな大きな宿題です。

>>2-3に続く)

ソース:サッカーキング 2011年08月29日 12:45
[トークショー「日本サッカーの進歩と問題点」
(サッカージャーナリスト養成講座 主催)より抜粋]
http://www.soccer-king.jp/column_item/20110829_1245_sergio_column.html
2自由席の観客φ ★:2011/08/29(月) 13:25:47.53 ID:???0
>>1の続き)


 この間、僕は「Jリーグは各チームに会長という存在を作るべきだ」と提言した。
会長は選挙で決めて、選挙権はスポンサーとクラブ会員が持つ。社長は親会社から
人事で来れば良い。そうすれば、地域とチームの運営のバランスが取れる。18年の間に
社長がどんどん代わったから、それは最初の理念も薄れてくる。今の社長さんたちは
最初の頃のJリーグの理念なんてほとんど意識していないと思います。それを裏付ける
のが、今の社長たちが「コパ・アメリカに選手を出さない」と言い出したこと。自分の
チームのスケジュールのほうが日本代表より大事、とそれくらい薄い。そもそも
Jリーグを発足させた理由が何だったかということを、もう一度、見直すべきだと思う。
日本サッカーを、日本代表を強くするためにJリーグを作ったんでしょ。その理念を
持ち続けるのはすごく難しいんだろうね。それが現在のJリーグが持っている
課題じゃないかな。

 Jリーグのクラブが地域と密着していない事実は優勝チームを見れば分かるよね。
ここ数年のJリーグで多くのタイトルを取っているのは鹿島だけど、世界的常識で考えたら、
鹿島という街の規模で何度も優勝することはあり得ない。鹿島のファンにとっては失礼な
言い方になるけどね。世界のように地域とクラブが密着していたら、規模が大きい都市の
クラブが強くなるのは当然のこと。クラブをバックアップする人口の多さを考えれば、
広島とか福岡とか札幌とか、そういう都市のクラブが鹿島より上位に来なければならない。

 でも、日本サッカー界では世界のサッカーの基本としてはあり得ないことが起こっている。
だって、見てみてよ、東京のチームが優勝したことは一度もないじゃない。経済的にも
人口的にも潤っているはずの首都のクラブがリーグ優勝の経験がないのは、いかに
地域と密着していないかを物語っているよね。結局、今のJリーグは企業優先ということ。
時間が経てば何とかなるかなと思っていたけど、「どうかなあ?」という感じがしますよね。
今もつぶれそうになってきているチームがあって、安定しているのは運営会社が強い
クラブだけ。

>>3に続く)
3自由席の観客φ ★:2011/08/29(月) 13:25:52.07 ID:???0
>>2の続き)

 そもそもは選手が潤わないと。プロスポーツで夢を与えるのは、やっぱり年俸だよ。
豪邸の前を通った時、「ここにサッカー選手が住んでいる、だから自分もサッカー選手に
なりたい」となるのが世界の基本で、夢を与えるというのはやっぱりそういうこと。
Jリーグでプレーして、引退して、まだ家のローンを払い切れていないってのが、
現在の年俸ですね。クラブにお金がないから、外国人の良い選手はもう日本に来ない。
Jリーグのスタート時は夢を与えていた。あのレオナルドも他の有名選手も自ら望んで
日本に来た。理由は給料が良いから。それがすべてです。

 今、多くの日本人選手が海外に出て行っているのは、Jリーグに未練がないから
なんじゃないかな。「どうせこんなもんだったら出て行ったほうがいいよ」ということだと思う。
国外に出て行くのには、大きく言うと2つの理由がある。一つは自分の国のリーグより
給料が良いから。そしてもう一つは自分の国のリーグがダメになってきたと感じたから。
給料が良いからという理由で移籍するのは良いんだけど、Jリーグに見切りを付けて
移籍していたら……これは一番困る問題だよ。

(終わり)