サッカーJ2北九州の思わぬ好調ぶりに、経営陣が頭を抱えている。
現在、5位につけ、昇格圏の3位まで勝ち点差5。後半戦に入り、
現場は盛り上がるが、スタジアム整備が進んでおらず、順位で条件を
満たしてもJ1に上がれそうにない。
参入1年目の昨季は散々だった。36試合でわずか1勝。年間勝率は4分2厘。
それまで唯一、1割を切っていた最低勝率、2003年J2鳥栖の9分1厘を
大幅に更新するリーグワースト記録となった。
それが、今季3戦目で連続無勝利リーグ記録を「35」で止めると、一気に生まれ変わった。
昨年在籍した9選手と契約を解除し、ガ大阪からMF安田晃大らJ1経験者ら計12人を補強したのが吉と出た。
「3年後に戦えるチーム、5年後にJ1昇格」と目標を掲げ、3年契約で招いた三浦泰年監督の戦術が浸透し、
20試合で10勝を挙げている。
過去J2最下位のチームは翌年度6位が最高。横手敏夫社長は「期待以上」と笑顔を見せるが、胸中穏やかではない。
リーグの規約では、スタジアムの観客席について、J1の公式試合は入場可能数1万5千人以上とある。
しかし、北九州の本拠、市立本城陸上競技場は収容規模は約1万人。将来を見据えて新スタジアムの建設は決まっているが、
完成は5年後の予定。Jリーグ事務局は「現状ではJ1昇格は無理だとチームに伝えている」という。
過去にJ2で3位以内に入るか、入れ替え戦で勝ってJ1に上がれなかったチームはない。
仮にJ2で3位以内に入っても上がれない場合は、J116位が残留することになる。
今季の北九州の予算は約5億4千万円で、J1最小規模の福岡の約半分。チームが好調なのに、
集客は芳しくなく、今のところ、昨季の平均観客数4189人を下回り、苦戦が続く。
横手社長は「市に『1年でも早く建設してほしい』とお願いしているが、着工まで少なくともあと2年。
5千人分の仮設スタンドをつけるにしても、簡単ではない。いろいろ検討中だが……」と話し、早急な打開策は見つかっていない。
大西史恭
http://digital.asahi.com/articles/SEB201108150015.html