【セルジオ越後コラム】女子は結果で周囲を納得させてきた
FOOTBALL WEEKLY 2011年7月1日(金)11時35分配信
女子W杯が始まっているね。日本は初戦のニュージーランド戦に2−1で勝利した。
僕もツイッターを通じた実況に参加したが、そこでの反応を見る限り、日本国内での
注目度も高まっているようだ。
今日行われるメキシコ戦に勝てば、グループ通過が決まる。1位突破に大きく近づく
ことになり、そうすればドイツと当たる可能性が少なくなる。これは大きいね。ただ、メキシコ
とイングランドは初戦で引き分けたため、この2戦目にかける意気込みは相当なものだろう。
メキシコはニュージーランドほどフィジカルが強くないけど、テクニックレベルは高い。楽な試合
にはならないだろうね。
日本の女子サッカーを取り巻く環境は、決して良くない。というか、劣悪である。彼女たちの
中には、アルバイトをして生計を立てている選手もいるし、金銭面の待遇は男子と比べものに
ならない。
折からの不況の余波で、チーム数も減少の一途を辿っている。“勝たないとチームがなくなって
しまう”という、まさにデッド・オア・アライブの厳しい状況の中、彼女たちはサッカーに打ち込み、
そして北京五輪ではベスト4に入るなど、結果を残してきた。つまり、結果を残すことで周囲を
納得させ、結果を残すことで女子サッカーの火をつないできたんだ。
そうした彼女たちのひたむきな姿勢は、今回の試合を通しても伝わってくるね。ハングリー
精神が、チームからみなぎっている。
>>2につづきます。
▽FOOTBALL WEEKLY
http://footballweekly.jp/archives/1675256.html >>1のつづき。
同時に、もっと我々の側がサポートしていかなければいけないと痛感する。北京五輪が
終わった後、当時の犬飼会長は、すべてのJリーグクラブに女子チームを、と提案していた。
今となってはどこかへ飛んでしまった話だね。そればかりか、東電のチームはなくなるし、
名門のベレーザもかなり苦しい状態にあるという。状況は悪化しているよ。
男子同様に、女子選手の海外移籍も目立つようになってきた。プレーヤーとして飛躍する
ための移籍、という理由がある一方、国内に魅力がなく、出るしかないという事情もある。
かつては日本に有名外国人選手がこぞって来日したものだ。今はその逆だよ。これは男子も
一緒だね。
国内で華やかなリーグ戦を再び行うために、女子サッカー人気が盛り上がり、日本のサッカー
文化が成長するために。情けない話だけど、今回もまた、“結果で周囲を納得させる”という
彼女たちの奮起に期待するほかない。ぜひメダルを取ってもらいたいね。