【書評】ドミニカ系オタク青年の純愛 『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』 [著]ジュノ・ディアス

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1 ◆GinGaOoo.. @銀河φ ★
オスカー・ワオの短く凄まじい人生 [著]ジュノ・ディアス
[評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学)

■ドミニカ系オタク青年の純愛

 ぶっ飛んだ、というのが率直な感想。すごい小説、いや、タイトルの言葉を借りれば「凄(すさ)まじい」小説だ。

 その理由はいくつも挙げることができる。まず、物語に途方もない力があって、読者をぐいぐい引っ張っていくのだ。
主人公オスカーはニュージャージーで育ったドミニカ系の青年だが、彼のライフ・ヒストリーに加えて、
彼の姉、母、祖父たちの物語も語られ、舞台はアメリカとドミニカのあいだを往還する。
小説から見えてくるドミニカの現代史もまた、激しく凄まじい。
オスカーの家族の年代記は、ドミニカの暗黒時代の記憶と強く結びついている。

 次に、語りの文体。オスカーに関する部分で繰り出されるゲームやアニメの知識が半端ではない。
SF映画の登場人物が次々と比喩に使われたりするのだが、翻訳ではその一つ一つに丁寧に割り注がつけられている。
オタクっぽい語り手のノリのいい文体にも驚かされるが、そこにちりばめられた情報を親切に解説する訳者の努力に脱帽した。
しかも、原文は英語のはずなのに出てくるスペイン語の量も相当なもので、これらをルビで示しつつ訳し抜いているのにも敬服させられる。

 日本への言及がしばしば見られる不思議な小説でもある。
オスカーがアニメ『AKIRA』の大ファンなのでその登場人物の名前が出てくるのは当然として、
オスカーの姉も日本へ行く計画を立てるし、作者による巻末の謝辞には下北沢という地名が挙がっている。
日本のアニメ文化がこんなふうに米国の若者の日常と結びついていることに新鮮な驚きを覚えた。

 それにしても、これほどセックスと暴力に満ちた物語でありながら、
信じられないほどの純愛小説でもあり、軽そうに見えて重く、深い。
最後まで読んで構成の巧みさに気づかされ、
呪いや絶望に打ち克(か)つ文学の力を感じて、もう一度ぶっ飛んだ。

 都甲幸治・久保尚美訳/Junot D(iに´〈鋭アクセント〉付き)az 68年ドミニカ生まれ。本作でピュリツァー賞。

■ソース:asahi.com(朝日新聞社) [掲載]2011年5月8日
http://book.asahi.com/review/TKY201105100135.html
2名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:08:35.43 ID:FSC+sQ2u0
ヮ(゚д゚)ォ!
3 ◆GinGaOoo.. @銀河φ ★:2011/05/10(火) 15:08:45.59 ID:???0
ジュノ・ディアス 都甲幸治 久保尚美『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』|新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/590089/
http://www.shinchosha.co.jp/images/book_xl/590089.jpg

オタク青年オスカーの悲恋と、カリブ海の呪い。ピュリツァー賞・全米批評家協会賞W受賞!

心優しいオタク青年オスカーの最大の悩みは、女の子にまったくモテないこと。
どうやら彼の恋の行く手を阻んでいるのは、かつて祖父や母を苦しめたのと同じ、ドミニカの呪いらしい――。
英語とスペイン語、マジックリアリズムとオタク文化が激突する、全く新しいアメリカ文学の声。
英米で100万部のベストセラー、日本上陸。

<ジュノ・ディアス>
1968年ドミニカ生まれ。6歳のときに家族で渡米。父親が失踪、兄は白血病を患い、窮乏状態の中で育つ。
皿洗い、ビリヤード台配達、製鉄業などの仕事をしながら、ラトガーズ大学とコーネル大学大学院で文学と創作を学ぶ。
「ニューヨーカー」「パリス・レヴュー」などに寄稿、『The Best American Short Stories』には4度、作品が収録されている。
1996年刊行のデビュー短篇集『ハイウェイとゴミ溜め』が高い評価を受け、
初長篇となる『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』で全米批評家協会賞およびピュリツァー賞を受賞。
現在、マサチューセッツエ科大学創作科で教鞭を執る。
4名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:09:08.80 ID:+WQvaxb2O
娘が号泣した
5名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:10:40.54 ID:yZeqRmUi0
OTAKUは、は、カッコいい。
6名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:12:34.40 ID:RRAjXTFD0
7 忍法帖【Lv=16,xxxPT】 【東電 90.1 %】 :2011/05/10(火) 15:19:34.90 ID:X1tsLBYC0
AKIRAって何年前のアニメだよ
8名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:39:23.57 ID:1q8TpNfe0
>>7
冗談抜きで何十年前だな
もう23年前だ
9名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:46:30.17 ID:rDlrco0x0
>マサチューセッツエ科大学創作科
「MITで!?」と思ったけど、よく見ると「マサチューセッツエ」という名前の科大学だったw

つうか、コピペで問題が発生したのかと元サイトをチェックしたが、元でも「工」じゃなくて「エ」なのなww
タイポじゃなくてこの紹介文を書いた奴が素で間違えて思い込んでないとこうはならないだろw
10名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 15:53:51.21 ID:xX/ebg/80
小説には興味ないが、人生は立派だな。おそらくびんぼったれの不法移民の子供として生まれて、
奨学金を手に大学院まで。 まぁ天才だわ。 裕福な家庭でもがんばる気しない。
11 ◆Cz7p9jjBAM :2011/05/10(火) 16:00:44.21 ID:52vp8Bel0
(#゚Д゚)<アメリカ人のオタクは 童貞を守ることでジェダイになれると思っている
12名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 16:02:54.25 ID:sRSyQGF00
買おうと思ったけど高いんだよな
文庫まで待つか
でもその頃には忘れてるんだよな
13 ◆GinGaOoo.. @銀河φ ★:2011/05/10(火) 16:16:53.86 ID:???0
『復活の日』と早瀬未沙に涙するドミニカ系オタクの痛すぎるラブストーリー
http://www.webdoku.jp/newshz/ohmori/2011/03/10/111819.html
文=大森望

 独裁政権下のドミニカ共和国を描く長編としては、マリオ・バルガス=リョサ『チボの狂宴』、
エドヴィージ・ダンティカ『骨狩りのとき』(ともに作品社)が昨年相次いで邦訳されたが、
同じ歴史ものでも、本書のアプローチはそれとはまったく違う。

 現代パートの主人公は、ドミニカ系アメリカ人のオスカー・デ・レオン。
ドミニカの男は、女にめっぽう手が早いことで名を馳せ、
「童貞で死んだドミニカ人の男はいまだかつてひとりもいない」と言われるほどだが、
オスカーは例外中の例外で、まるきり女にモテない。彼がどういう人間なのか、
作中から引用してみよう(ただし、煩雑になるため、膨大な訳注は省略しました)。

 オスカーは小さな頃からオタクだった----トム・スイフトのシリーズを読み、
マンガを愛し『ウルトラマン』を見るような子供だった(中略)オスカーはSFをむさぼり読んでいた。
ラヴクラフト、ウェルズ、バローズ、ハワード、アリグザンダー、ハーバート、アシモフ、ボーヴァ、ハインライン。
(中略)エルフ語で書けたし、チャコブサでしゃべれたし、
スランとドルセイとレンズマンの違いをほんの細かいところまで言うことができた。
スタン・リーよりマーヴェル・ユニヴァースに詳しく、ロールプレイング・ゲーム狂いだった。(p.32)

 他のみんなが初恋や初デートやファースト・キスの畏れと喜びを経験していたころ、
オスカーは教室の後ろのほうに坐り、ダンジョンマスター・スクリーンの向こう側から、
自分の青春が流れ去っていくのを眺めていた。(p.36)

 そして自分でも何が起きているのか気付かぬうちに彼がはまりこんでしまったのは、
自分が高校で専攻してきたものの大学版と言うべきものだった。モテない病だ。
(中略)姉はオスカーに忠告を与え、彼は静かにうなずき、そのあとE系統のバス停のベンチに坐って
すべてのかわいいダグラスの女の子たちを眺め、人生どこで間違ったのだろうと思うのだった。
本やSFのせいにしたかったが、彼にはできなかった----それらがあまりに好き過ぎたのだ。(p.67)
14 ◆GinGaOoo.. @銀河φ ★:2011/05/10(火) 16:17:29.67 ID:???0
>>13の続き)

 ......とまあ、思わず心から共感してしまうような典型的ダメオタク。
生身の女性に興味がないどころか、ありすぎるほどなのに、体重140キロに達する肥満体と
コミュニケーション能力の乏しさが災いして、まったく女性と付き合えない。

 オスカーは日本の映画や漫画やアニメも大好きで、一番好きなのは『AKIRA』だが、
史上二番目に気に入っているアニメは『ロボテック』(『超時空要塞マクロス』『超時空騎団サザンクロス』
『機甲創世記モスピーダ』の3本を翻案・再編集したアメリカ版)。
〈リック・ハンター(一条輝)が最後にリサ(早瀬未沙)と結ばれたとき、彼はテレビの前で泣き崩れた〉(p.64)という。

 もうひとつ、オスカーが偏愛するのは、草刈正雄が主演した映画版『復活の日』。いわく、
〈特に『復活の日』は最後まで涙なしには見られなかった。日本人のヒーローがワシントンDCから歩いて
アンデス山脈の尾根を縦断し、南極点の基地まで辿りつくのだ。自分の理想の女性に会うために。〉(p.46)

 オスカーの一生を決定づけたのは、9歳のときに読んだ『指輪物語』だった。
 ......それは彼が初めて見つけたときから、最愛の書物であり最高の安らぎだった。
オスカーと『指輪物語』の出会いは九歳のときで、途方に暮れ孤独だった彼に、仲の良かった図書館員が言ったのだった。
ほら、これを読んでみたら。そしてこの一言が彼の人生を変えた。
三部作をほぼ最後まで読み通し、「そして遠いハラドから......半分トロルのような黒い人間たちがいました」という文章まで来て
オスカーは中断しなければならなくなった、彼の頭と心があまりにも痛んだのだ。(p.368)

※一部抜粋
15名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 16:33:53.47 ID:fJ4ozBbA0
なぜ下北
外人には馴染み薄そうだけど
16名無しさん@恐縮です:2011/05/10(火) 17:22:46.20 ID:tZvKT/orP
>>14
指輪物語の人種差別表現に泣いたのか。
17名無しさん@恐縮です:2011/05/13(金) 01:31:44.95 ID:hpR0+gK+0
4〜5人だけ
18名無しさん@恐縮です:2011/05/13(金) 01:36:16.43 ID:qTYKyGwF0
>>14
>ワシントンDCから歩いてアンデス山脈の尾根を縦断し、南極点の基地まで辿りつく

歩いて南極に行けるかアホw あれは南米だろ
「ライフ イズ ビューティフル」
19名無しさん@恐縮です:2011/05/13(金) 01:53:01.20 ID:1yy0iGAB0
>>13
テーブルトークまで嗜んでるのか〜
20 忍法帖【Lv=21,xxxPT】 :2011/05/14(土) 18:47:17.15 ID:nMwTG0rK0
 
21名無しさん@恐縮です
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