「大裕(デユ)!」。SKワイバーンズの選手たちが名前を呼ぶ度に、目を大きく開いて振り向く。
「はい」と答える習慣からも抜け出した。今ははっきりと「ネ(はい)」と返事をする。
金大裕(キム・デユ、28、SK)。27年間、金村大裕という名前で生きてきた。
28歳になる2011年、彼は祖父の国、韓国で「金大裕」として第2の人生をスタートする。
金大裕は在日同胞3世。1983年に大阪で生まれて育った金大裕は韓国語を習ったことがない。
しかし国籍は変えなかった。
9日にSKの日本高知キャンプで会った金大裕は「私は韓国人。しかし日本で生まれ、ここから出たことがない。韓国語は全く話せない。
自分のアイデンティティーについて悩んできたし、今も悩んでいる。それで日本に帰化することは考えなかった」と説明した。
がけっぷちに追い込まれた瞬間、韓国国籍は彼に新しい道を開いてくれた。
金大裕は06年、大阪商大を卒業し、大学生・社会人ドラフト3位で阪神に入団した。
150キロの直球を投げる金大裕に阪神は1000万円(約1億3000万ウォン)を渡して期待を表した。
金大裕は「阪神では『もう少し努力すればうまくいくはず』という言葉を聞いた」と振り返った。
しかし入団1年目、ひじの手術を受け、球速は落ちていった。
1軍での経歴は09年の読売戦1試合、1イニング(無被安打、無失点、2四球)がすべて。
2010年を育成選手として過ごした彼は、シーズン終了後、戦力外通告を受けた。
引退の岐路に立たされた彼に大学時代の恩師が「韓国のプロ野球に行くのはどうか」と提案し、
2010年11月、SKの高知キャンプでテストを受けた。
「在日同胞は2人まで保有できる」という韓国プロ野球規約に基づき、SKは年俸5000万ウォン(約380万円)で金大裕を迎えた。
金大裕は「韓国からプレゼントを受けた感じ」と述べた。
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