【サッカー/Jリーグ】ハーフナー・マイク、J2で覚醒したゴールゲッター ヴァンフォーレ甲府をJ1に導いた男

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1真・ソニック ◆vha3FDwXe6 @SONICφ ★
 長身痩躯(そうく)の男が眼下に“守備兵”を蹴散らす。難攻不落のはずの砦が、にわかに綻び
を生じさせる。男は何人に囲まれようとも、その輪を突き崩し、“屍”を跨(また)いでも前進する。
一騎当千。長髪を振り乱して攻め懸かるさまは鬼気迫るものがあり、その歩みは門をこじ開ける
まで決して止まない。敵の砦を陥落させた時、
異人の風体をした豪傑は高らかに勝ち鬨(どき)の咆哮(ほうこう)を響き渡らせる――。

 2010シーズン、J2リーグ第34節終了時点で、ハーフナー・マイクは19得点を記録している。
雄叫びを上げ続けた男は、首尾よくヴァンフォーレ甲府をJ1に導いた。

 ハーフナーはサッカー選手だったオランダ人の父と、陸上選手だったオランダ人の母の間に
生まれている。
父のディドは日本リーグ時代に来日したGKで、名古屋グランパス、ジュビロ磐田、コンサドーレ
札幌などJリーグでも活躍。型破りなゴール前での強さは、アスリート一家の血がなせる業か
。身長は194センチ。日本人はこの背丈になると動きが鈍くなり、鋭敏さに欠ける傾向があるが、
彼はある種の軽妙さも兼備している。

 ベルバトフ(マンチェスター・ユナイテッド)、イブラヒモビッチ(ミラン)、ジョレンテ(アスレティック
・ビルバオ)ら各国リーグを引っ張るセンターフォーワードは、いずれも長身でパワーに長じている
一方、消える動き=マークを外すのもうまい。単純な俊敏さもあるが、何より判断の速さが非常に
優れており、ポストプレーをこなしてから一度消えて猛然と危険地帯に入る動きは巧妙に相手
DFを出し抜く。

(続きます)

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/jleague/2010/text/201011250005-spnavi.html

ゴールを量産し、甲府をJ1への導いたハーフナー・マイク【写真:松岡健三郎/アフロ】
http://ca.c.yimg.jp/sports/1290735725/sports.yimg.jp/text/images/spnavi/20101125/201011250005-spnavi_2010112500012_view.jpg
ハーフナー(左)は、J2の複数のクラブを渡り歩き、センターフォワードとしての能力を開花させた【写真:松岡健三郎/アフロ】
http://ca.c.yimg.jp/sports/1290735725/sports.yimg.jp/text/images/spnavi/20101125/201011250005-spnavi_2010112500013_view.jpg
2真・ソニック ◆vha3FDwXe6 @SONICφ ★:2010/11/26(金) 12:20:47 ID:???0
■頼れるターゲットマンがまとう泰然たる空気
 今シーズン、ハーフナーは3トップの真ん中に堂々と陣取り、頼れるターゲットマンとして奮闘した。
第34節のJ1昇格が決まった栃木SC戦も、甲府は栃木の粘り強い守備に苦しんでいたものの、
79分、GKが蹴り込んだロビングをハーフナーは相手DFにマークされながらジャンプもせず苦も
なく競り勝ち、頭で藤田健にパス。そのボールが矢のように走り込んだパウリーニョにつながり、
先制に成功して決勝点となった。

 最前線におけるハーフナーの存在感は圧巻だ。

「彼自身の頑張りだけではなく、周りの選手が彼のためにハードワークをして、守備や攻撃に
対して彼を生かそうとする動きがあるからこそ、今の形がある」と甲府の内田一夫監督は評し
ているが、ハーフナー自身も周りの選手を生かしている証しに、サイドFWのパウリーニョ、
マラニョンはいずれも得点ランク上位に入っている。

 いまや、ハーフナーにはゴールゲッターとしての泰然とした空気が漂う。

「チームが苦しかったときも、マイクだけは明るさを失わなかった」とチームメートたちが証言
しているように、彼は周囲の雰囲気に流されるのではなく、自分の空気で生きる自己中心的
とも天然とも言える“我の強さ”を見せるようになった。もっとも、その強さがなければゴール
ゲッターはふ抜け同然。なぜなら、彼らは自らの得点でチームを勝利に導く宿命を背負って
いるからだ。

 ハーフナーは貪欲(どんよく)に言う。

「得点は取れるだけ取りたいです」

 ありふれたせりふだが、その執着はゴールゲッターが守るべきおきてだろう。

 では、23歳はいかにしてその灰汁(あく)の強さを身に付けたのか。

(続きます)
3名無しさん@恐縮です:2010/11/26(金) 12:20:59 ID:PLs/2I/k0
息子のニッキはDFなんだっけ
将来が楽しみだわ
4真・ソニック ◆vha3FDwXe6 @SONICφ ★:2010/11/26(金) 12:21:06 ID:???0
■覚醒のときを迎えたゴールゲッター

 2006年、横浜F・マリノスのユースからトップに昇格したハーフナーは19歳でJリーグに
デビューし、平山相太(FC東京)をもしのぐ長身で注目を浴びたが、その後は2シーズン
在籍するもスタメンに定着することができなかった。

「マイク? せいぜいパワープレー要員だね。後ろから当たられるとすぐにバランスを崩すし、
まだまだ頼りない」

 当時、マリノスの番記者たちの評価はこんな程度だった。

 また、07年にはU−20ワールドカップのメンバーに選ばれたものの、森島康仁(大分トリ
ニータ)とのポジション争いに敗れ、本大会での出場時間は限られた。

「もっとしっかりポストワークをしたい。足元が下手くそ」

 本人もしきりに反省点を口にした。

 彼が大人のFWに成熟するのは、その一歩を踏み出してからだ。

 08シーズン、J2のアビスパ福岡に期限付き移籍すると7得点を記録し、FWとしての仕事
にいくらか溜飲を下げた。09シーズンは横浜FMに復帰したが、試合に出られずに苦悶(くもん)。
シーズン途中でJ2のサガン鳥栖に期限付き移籍し、ここで15得点と再び気を吐いている。鳥栖
の本拠地はサッカー専用で選手と観客の距離が近く、こうしたスタジアムはしばしばゴールゲッター
を覚醒(かくせい)させるのだが、彼も例に漏れなかった。

 そもそも、世界ではルーキーFWが下のカテゴリーでゴールの感覚を研ぎ澄ますケースは珍しく
ない。ワールドカップ・南アフリカ大会得点王で、バルセロナに所属するスペイン代表FWダビド・ビジャ
も18歳から21歳までは2部でゴールを量産してから1部リーグでネットを揺らし続け、遂には世界
最高FWの称号を得た。点を取る選手に必要なのは、「どのレベルであれ真剣勝負の場であり、
ゴールの勘は決して練習では養われない」とスペインでは言う。

 10シーズン、ハーフナーは前線で目覚めたように暴れ続けた。しかも、柏レイソル、アビスパ
福岡など昇格を争った強敵を相手に得点し、チームを救った。味方が苦しいときに、彼は果敢に
ゴールの門をこじ開けた。

(続きます)
5真・ソニック ◆vha3FDwXe6 @SONICφ ★:2010/11/26(金) 12:21:14 ID:???0
 試合に出るなかで、彼は進化を遂げ続けている。

 11月20日、J2の第35節。ハーフナーはゴール前でこぼれたボールを左足でたたき込んで
1得点をもぎ取り、20得点の大台に乗せた。チームは前節に昇格を決めたことで気が抜けたのか、
一時は0−4とリードを許す体たらくだったが、ゴールゲッターは自らの仕事を果たしている。いか
なる時も、ピッチに立ったら得点を奪う。残り2節は出場停止となったものの、J2得点王はほぼ確実
だろう。だが、その称号に甘んずることはない。

 猛将は軍勢の先頭に立ち、荒々しくゴールの門を破る。

<了>