【サッカー/Jリーグ】ハーフナー・マイク、J2で覚醒したゴールゲッター ヴァンフォーレ甲府をJ1に導いた男
■頼れるターゲットマンがまとう泰然たる空気
今シーズン、ハーフナーは3トップの真ん中に堂々と陣取り、頼れるターゲットマンとして奮闘した。
第34節のJ1昇格が決まった栃木SC戦も、甲府は栃木の粘り強い守備に苦しんでいたものの、
79分、GKが蹴り込んだロビングをハーフナーは相手DFにマークされながらジャンプもせず苦も
なく競り勝ち、頭で藤田健にパス。そのボールが矢のように走り込んだパウリーニョにつながり、
先制に成功して決勝点となった。
最前線におけるハーフナーの存在感は圧巻だ。
「彼自身の頑張りだけではなく、周りの選手が彼のためにハードワークをして、守備や攻撃に
対して彼を生かそうとする動きがあるからこそ、今の形がある」と甲府の内田一夫監督は評し
ているが、ハーフナー自身も周りの選手を生かしている証しに、サイドFWのパウリーニョ、
マラニョンはいずれも得点ランク上位に入っている。
いまや、ハーフナーにはゴールゲッターとしての泰然とした空気が漂う。
「チームが苦しかったときも、マイクだけは明るさを失わなかった」とチームメートたちが証言
しているように、彼は周囲の雰囲気に流されるのではなく、自分の空気で生きる自己中心的
とも天然とも言える“我の強さ”を見せるようになった。もっとも、その強さがなければゴール
ゲッターはふ抜け同然。なぜなら、彼らは自らの得点でチームを勝利に導く宿命を背負って
いるからだ。
ハーフナーは貪欲(どんよく)に言う。
「得点は取れるだけ取りたいです」
ありふれたせりふだが、その執着はゴールゲッターが守るべきおきてだろう。
では、23歳はいかにしてその灰汁(あく)の強さを身に付けたのか。
(続きます)
3 :
名無しさん@恐縮です:2010/11/26(金) 12:20:59 ID:PLs/2I/k0
息子のニッキはDFなんだっけ
将来が楽しみだわ
■覚醒のときを迎えたゴールゲッター
2006年、横浜F・マリノスのユースからトップに昇格したハーフナーは19歳でJリーグに
デビューし、平山相太(FC東京)をもしのぐ長身で注目を浴びたが、その後は2シーズン
在籍するもスタメンに定着することができなかった。
「マイク? せいぜいパワープレー要員だね。後ろから当たられるとすぐにバランスを崩すし、
まだまだ頼りない」
当時、マリノスの番記者たちの評価はこんな程度だった。
また、07年にはU−20ワールドカップのメンバーに選ばれたものの、森島康仁(大分トリ
ニータ)とのポジション争いに敗れ、本大会での出場時間は限られた。
「もっとしっかりポストワークをしたい。足元が下手くそ」
本人もしきりに反省点を口にした。
彼が大人のFWに成熟するのは、その一歩を踏み出してからだ。
08シーズン、J2のアビスパ福岡に期限付き移籍すると7得点を記録し、FWとしての仕事
にいくらか溜飲を下げた。09シーズンは横浜FMに復帰したが、試合に出られずに苦悶(くもん)。
シーズン途中でJ2のサガン鳥栖に期限付き移籍し、ここで15得点と再び気を吐いている。鳥栖
の本拠地はサッカー専用で選手と観客の距離が近く、こうしたスタジアムはしばしばゴールゲッター
を覚醒(かくせい)させるのだが、彼も例に漏れなかった。
そもそも、世界ではルーキーFWが下のカテゴリーでゴールの感覚を研ぎ澄ますケースは珍しく
ない。ワールドカップ・南アフリカ大会得点王で、バルセロナに所属するスペイン代表FWダビド・ビジャ
も18歳から21歳までは2部でゴールを量産してから1部リーグでネットを揺らし続け、遂には世界
最高FWの称号を得た。点を取る選手に必要なのは、「どのレベルであれ真剣勝負の場であり、
ゴールの勘は決して練習では養われない」とスペインでは言う。
10シーズン、ハーフナーは前線で目覚めたように暴れ続けた。しかも、柏レイソル、アビスパ
福岡など昇格を争った強敵を相手に得点し、チームを救った。味方が苦しいときに、彼は果敢に
ゴールの門をこじ開けた。
(続きます)
試合に出るなかで、彼は進化を遂げ続けている。
11月20日、J2の第35節。ハーフナーはゴール前でこぼれたボールを左足でたたき込んで
1得点をもぎ取り、20得点の大台に乗せた。チームは前節に昇格を決めたことで気が抜けたのか、
一時は0−4とリードを許す体たらくだったが、ゴールゲッターは自らの仕事を果たしている。いか
なる時も、ピッチに立ったら得点を奪う。残り2節は出場停止となったものの、J2得点王はほぼ確実
だろう。だが、その称号に甘んずることはない。
猛将は軍勢の先頭に立ち、荒々しくゴールの門を破る。
<了>