http://number.bunshun.jp/articles/-/64823 サッカークラブのGM(強化部長)にとって、「外国人選手探し」は腕の見せ所だが、その一方で頭の痛い問題でもある。
多額の資金を投じて獲得しても、日本に順応できるかわからないし、そもそも代理人に騙されて“不良債権”をつかまされる可能性もある。
リスクを避けるために、他チームで活躍したブラジル人選手を獲得するのが主流になるのも、仕方ない部分がある。
だが、Jリーグの中にも、独力でルートを切り開き、外国人選手の補強で成功しているクラブもある。そのひとつが、今季J2からの昇格組ながら、上位に躍進しているセレッソ大阪だ。
アドリアーノ、マルチネス、アマラウのブラジル人トリオは、Jリーグの外国人選手の中でトップレベルの力があり、チームの核を担っている。
また、今年は韓国の新鋭、キム・ボギョンを獲得し、大分トリニータにレンタルして“育成”中だ。この21歳の韓国代表は、間違いなく将来セレッソを背負う選手になるだろう。
■GMのエリートコースを歩んだ強化部長の卓越した運営手腕。
いったい、なぜセレッソは外国人の補強に成功しているのだろう?その鍵を握っているのが、梶野智強化部長だ。
かつてセレッソでプレーした梶野は、引退後にクラブから“GM学”の英才教育を受けた人物である。
きっかけは2000年に、日本ハムから出向した藤井純一氏(現北海道日本ハムファイターズ社長。今年のプロ野球のドラフトでは斎藤佑樹を引き当てた)がセレッソの社長に就任したことだった。
藤井社長は現役から引退したばかりの梶野に目をつけ、セレッソのサッカースクールの経営責任者に抜擢。
梶野は大阪府内に分散するフランチャイズ制のスクールを切り盛りすることで、ビジネス感覚を養うことができた。その後、マーケティングなどの部署を経験し、
2005年にGM補佐に就任。ブラジル人選手の世話役になり、日本にいながらにしてポルトガル語の習得に成功した。
そして、2007年5月、成績不振で都並敏史監督が解任されたとき、梶野は強化部長に就任したのだった。梶野はずっと目をつけていたクルピ監督を招聘し、
セレッソに「勝者のメンタリティー」を持たせることを求めた。
(つづく)