http://blog.shueisha.net/sportiva/baseball/index.php?ID=71 今年の甲子園は、中国、四国の出場校がひとつもベスト8に残ることができなかった。広陵、明徳義塾など
前評判の高い学校もあっただけに意外な感じがする。
その一方で、昨年、史上初めて日本文理が決勝に進出した新潟代表は、今年も新潟明訓が準々決勝にまで進んだ。
2年連続ベスト8となると、これはもう、堂々たる強豪県といってよい。
かつてはベスト8どころか1回戦突破もめったになく、「ひとつ勝つのが目標」というのが新潟代表の監督の
決まり文句だったが、時代は大きく変わったようだ。
新潟勢の強くなった理由はどこにあるのだろうか。新潟明訓の佐藤和也監督は次のようなことを言っていた。
「交通網が発達し、整備されたことで、昔に比べ県外の高校と試合できることが多くなった」
実際、明訓も夏の地方大会がはじまる前には関東一高、本庄第一、佐野日大など、今夏に甲子園出場を
果たしたチームと試合を組み、腕を上げた。
昨年準優勝した日本文理の影響も大きい。準優勝県のチームとなれば、強い相手も試合をしてくれる。
「新潟のチームとやっても、ウチにはメリットはない」などといわれることはなくなったのではないか。
また、県内のスポーツ環境の変化も見逃せない。新潟にはアルビレックス新潟というスポーツクラブがある。
サッカーJ1のクラブと思われているが、バスケットのbjリーグ、野球のBCリーグにもチームを持つ総合クラブである。
徹底した地域密着を掲げ、選手たちは学校訪問などで子どもたちとの交流を深め、時には技術指導をする。
さらに、それらのクラブのホームとして、立派なスタジアムの整備も進んできた。今年のプロ野球のオールスターは
アルビレックスのホームスタジアムで開催された。県知事も巻き込んで、NPB球団の招致計画も持ち上がっている。
県内全体のスポーツ熱が、高校野球の活性化の背景になっているのではないか。
雪国のチームは、ときどき好投手を輩出しても、全般に打撃が非力で、守備も穴が多かった。冬場の練習に
制約があったからだ。しかし、今年の新潟明訓の試合ぶりを見ると、そうした非力さは見当たらない。2回戦では
京都外大西から13安打を放った。準々決勝でも、報徳学園の1年生投手に苦しみながら、小技に頼らず、
力強いスイングで押し通した。
「3つ、勝ちたかったですね」
試合後、佐藤監督は汗をぬぐいながら言葉を絞り出した。「選手は泣いていたが」という質問には、「あの涙が
満足の涙ではなく悔し涙であって欲しい」と答えていた。
昨年の日本文理に続いて、2年連続ベスト8以上で県勢の優勝も見えてきたのではと聞かれると、「それが
ウチであって欲しいものです」と言い切った。優勝を望んでも不自然ではない鍛え方をしている。そんな自信が
うかがえる答えだった。
http://blog.shueisha.net/sportiva/baseball/index.php?ID=71