2010年3月期決算から、上場企業の有価証券報告書に年間1億円以上の報酬を得た
役員を記載することになった。ある週刊経済誌が6月30日までに提出された報告書を集計した結果、
167社から289人の該当者があった。企業のグローバル化が進んでいる割には、
1億円以上を受け取っている役員の数は存外少なかった。
その反動なのか、評価のものさしが異なるにもかかわらず、企業人に比べプロ野球選手の
報酬は高いとコメントを述べる人もいた。この機会に、今回初めて公表されることになった
企業役員報酬の実態に絡ませプロ野球選手の年俸についてコメントしたい。
わが国には、150万を超える株式会社が存在し、うち約4000社が上場している。
経済誌の数字から推定することになるが、決算期が3月でない上場企業や超優良企業並みの
財務内容を誇る非上場企業を含めたとしても、役員に1億円以上の報酬を出せる企業の数は
恐らく200社を超えることはないだろう。また、1億円以上の報酬を受け取る役員も300人を
少し超える程度に止(とど)まるだろう。
現在、一流企業のサラリーマンであっても、彼らの生涯年俸は約3億円。
一流企業でも全社員の99.9%は年間1億円の報酬に届かないし、150万を数える社長さんたちも
大半は1億円に至らない。公務員を除く全産業の就業者数が約6000万人だから、約300人の
高額報酬受領者の枠に入るのがいかに狭い門なのか容易に想像がつく。
従って、彼らが羨望(せんぼう)の的になるのは、一面、やむを得ないことかもしれないし、
そこで、プロ野球選手の報酬がやり玉に挙がることになるようだ。
確かに、プロ野球では約70人の日本人選手が1億円以上の年俸を得ている。
公表対象外の外国人選手を加えると、恐らく100人を超す1億円プレーヤーがプロ野球界には
存在すると推察できる。そのことは、選手の8人に1人が該当することを意味し、
一見決して狭き門ではないように思われる。しかし、プロ野球選手も極めて狭い門を
通過してきた超エリートなのだ。
(続く)
http://sankei.jp.msn.com/sports/baseball/100802/bbl1008021107003-n1.htm