「日本映画や映画監督に対する評価の一部だと思ってお受けしたい」。
日本映画界をリードする人気監督らしい表現で喜びを語る。
北海道の競馬場を舞台に兄弟の生き方を描き、
東京国際映画祭で4冠に輝いた「雪に願うこと」(平成17年)など、
数多くの秀作を送り出してきたが、27歳の監督デビュー作は意外にも
「オリオンの殺意より 情事の方程式」という日活ロマンポルノ作品だった。
「ロマンポルノはセックスシーンさえあれば、ほかは何をやってもいいという自由な世界だった。
そんな中で、セックス以外に男女の抱えているものをいかに映し撮れるかという思いでやったことが、
自分にとっての原点になっている」
30年以上の監督経験で培ってきた繊細な人物描写は世界でも認められ、
昨年9月に「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」が、モントリオール世界映画祭で最優秀監督賞を受賞した。
「セックスシーンがほとんどないロマンポルノみたいなもので、
非常に日本的な素材だったが、どんな国でも時代でも、生き抜いている一人の人間をきちんと描けば、
海外でも評価してもらえると思った」
昨春からは山形県の東北芸術工科大学で映像学を教えている。
「新しい技術とか、僕も知らないことがいっぱいあるし、学生たちと一緒に勉強している。
先頭に立って走っている優秀だけど嫌なやつ、というポジションでいきたい」と、いたずらっぽく笑った。
ソース:MSN産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/100428/trd1004280501008-n1.htm 画像:紫綬褒章受章の根岸吉太郎監督
http://sankei.jp.msn.com/photos/life/trend/100428/trd1004280501008-p1.jpg