経費削減――。
今季の大分トリニータにとって、それは勝ち点の獲得以上に大切な“義務”になっている。
Jリーグから6億円の融資を受け、さらに債務超過が9億円を超え、6+9=15億円のマイナスを
解消しなければ、たとえJ2で3位以内になっても、1部へ昇格することができないからだ。
ホテルのグレードは落ち、アウェイの移動も、J1時代とは比べ物にならないほどにハードになっている。
たとえば第7節の草津戦後は、前橋から羽田空港に2時間かけてバスで行き、空路で福岡空港へ。
そして福岡空港から大分まで、再びバスで2時間。昨季ならばコストを惜しまず大分空港を使えたし、
無理に移動せずに都内で1泊することもできた。
しかし、どうにもならない苦しい状況は、ときに反骨心を呼び覚ますきっかけになる。
今、大分が絶好調だ。
第5節から3連勝して、2位にアップ。MF金崎夢生、DF森重真人、GK西川周作らレギュラークラスの
ほぼ全員が移籍したにもかかわらず、チームが一丸となって粘り強い戦いを見せている。
キャプテンの菊地直哉は、チームに大きな手応えを得ているひとりだ。
「確かにホテルのランクは落ちたかもしれないけど、フロントの人たちは本当によくやってくれている。
あと、やっぱり2部に落ちて負け続けたら、悔しいじゃないですか。いい意味で開き直って、
前向きにやれています」
さらに菊地は、ひとりのキーマンの存在をあげた。
「大きかったのが韓国代表MFのキム・ボギョンの加入ですね。ああいうレベルが高い若手が
加入したことで、オレも負けてられるか、という気持ちがチームに充満し始めたんです」
(続く)
http://number.bunshun.jp/articles/-/20956