高校サッカーでは地殻変動が起こっているのか。
昨夏の高校総体王者の前橋育英や帝京、国見といった名の通った
強豪校が早々と姿を消した全国高校選手権。ベスト4に残った矢板中央、
山梨学院大付、関大一、青森山田の4校は失礼ながらサッカーで
あまりなじみのない高校ばかりだ。
ある高校の監督は、その背景をこう分析した。
「Jリーグ誕生後、うまい子はみんなJユースからプロに入ったが、
いまの流れは以前の高校−大学へ戻りつつある。トップクラスはユースでも
二番手の層がユースで端っこにいるより、施設も指導体制もしっかりした
高校へと分散している表れだろう」。
確かに4校とも専用グラウンドなど施設面の充実が共通している。
黒田剛監督がJリーグの監督もできるS級ライセンスを持つ青森山田、
帝京の元監督で選手権優勝6回を誇る古沼貞雄氏がアドバイザーを務める
矢板中央、J1清水の元ヘッドコーチも指導陣に加わる山梨学院大付といった
具合に指導体制も高校ではトップクラスという。
不況でJリーグは各クラブの財政難が伝えられ、入団してもすぐに高収入は望めない。
そのうえ毎年200人以上の選手が放出される。高校からの入団は年々減る一方で、
現時点での来季J1内定者は大学生22人に対し高校生は6人。
選手権出場者では神戸入りする北越のFW有田光希1人という。
堅実に高校でのプレーを選択し不安定なプロより、とりあえず進学する
“大学返り”現象。Jと高校の谷間で人気薄の大学も捨てたものではないが、
サッカービジネスが拡大する半面、密度の薄さを物語ってもいる。
日本サッカーの流れが一定化するにはまだ時間がかかりそうだ。(今村忠)
http://www.sanspo.com/column/news/100107/cla1001070501000-n1.htm