http://mainichi.jp/area/ishikawa/news/20091117ddlk17040705000c.html ◇野々市の城下さん、最年少で選考合宿参加
11年に開催される電動車椅子サッカーの世界大会「FIPFAワールドカップ(W杯)」の日本代表を選考する合宿に、
県内から金沢ベストブラザーズの城下歩さん(16)=野々市町二日市町=が最年少で参加する。
前回大会は年齢制限で対象外だっただけに「個性の強いプレーで代表を勝ち取り、世界のチームと闘いたい」と意気込んでいる。
「前! 前!」。スティック型のコントローラーで車椅子を自在に操りながら、仲間に指示する声が体育館に響いた。
車椅子同士が衝突する激しい音が響く。くるっと一回転させて勢いをつけ、車椅子の前に取り付けた「フットガード」で直径32・5センチのボールをける。
城下さんは「自由に思い切りボールを飛ばして、めちゃくちゃ楽しい」と笑顔を見せた。
電動車椅子サッカーは1チーム4人。バスケットボールのコートを使い、前後半20分ずつで得点を競う。
性別や障害の程度を問わず、国内では90年代に広まり、現在は約30チームが活動。07年には東京で初のW杯が開かれた。
城下さんは「先天性骨形成不全症」で、生まれつき骨が弱い。だが、もともとスポーツが好きで車椅子バスケットも経験している城下さんに、
7年前、チームのコーチを務める父健一さん(39)が「やってみるか」と誘った。
骨折を心配し、日常生活でもさまざまな制限を受けているだけに「車椅子に守られて安全」な車椅子サッカーに出会った喜びは大きいという。
前回W杯は代表の選考過程で「16歳以上」と決まり、城下さんは対象から外れた。正式な合宿参加は今回が初めて。
代表は22、23日の愛知県での合宿を皮切りに2年かけて選考される。候補20人に対して代表枠は8人とハードルは高いが、
「ようやく同じ『候補』になれた」と気負いはない。
城下さんの手本はパスワークが正確で個人技も高いフランスの選手。
「日本にパワー型の選手は少ないから、力強い長距離パスを出し、すき間からゴールを狙う自分のスタイルでアピールしたい」と目を輝かせる。