【柔道】「タックル禁止令」国際連盟導入 日本に追い風か

このエントリーをはてなブックマークに追加
1鳥φ ★
柔道界が、レスリングのような「タックル技」に揺れている。国際柔道連盟(IJF)は
「タックル禁止令」のルール改正を打ち出し、22日にパリで開幕する世界ジュニア選手権で
試験導入する。そこで浮かび上がった日本と外国の「武道観」の違いとは。

「あれでは柔道着を着たレスリング。即刻、手を打たなければならない」。
ハンガリーで今夏行われた14〜17歳を対象にしたジュニアの大会で、
視察に訪れた欧州のIJF理事が憤慨したという。

相手の襟をつかむ「釣り手」と、袖を握る「引き手」で組み合い、押したり引いたりの
駆け引きや体重移動のすきを狙って相手を投げ飛ばすのが柔道の醍醐味(だいごみ)といえる。
力の弱い者でも、相手の力を利して勝つことができる。柔道の創始者、故嘉納治五郎が
提唱した「柔よく剛を制す」の精神だ。

ところが柔道が世界に広まるにつれ近年、日本が目指した柔道と異なるスタイルが増えてきた。
その典型が「タックル技」。柔道と類似点があるレスリングやロシア古来の格闘技である
サンボ、モンゴル相撲などの技が入り込んできたのだ。

IJFは08年、組み合わずにズボンをつかみに行く行為に「指導」を与える対策を打ち出したが、
「タックルの嵐」はやまなかった。そこでついに、手で脚を取りに行く行為を2回繰り返すと
反則負けとする「タックル禁止令」に至った。

なぜ規制が強化されたのか。「柔道のスポーツ化が進み、軸がずれてきたからだ」と
指摘するのは、「武道−過去・現在・未来」の著書がある国際武道大の田中守教授。
「武道には正々堂々と戦う精神が宿っている。(日本が創始した)講道館柔道は、
ルール以上に精神を重んじてきた。だが、スポーツとしての『JUDO』には、
ルールの範囲内なら何をしてもいいという風潮がある」

全日本柔道連盟会長で講道館の上村春樹館長は「技を覚えず、
いきなり脚を取る戦法では上達しない。そういう意味では良い流れだ」と評価する。

(続く)
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/20091009k0000e050009000c.html
http://mainichi.jp/enta/sports/general/news/images/20091009k0000e050011000p_size5.jpg
2鳥φ ★:2009/10/09(金) 17:37:02 ID:???0
(>1の続き)

実は、改正を提案したのは日本人ではない。IJFのマリアス・ビゼール会長(オーストリア)を
中心とする欧州勢だ。意図はどこにあるのか。ビゼール会長は以前から「一本を取る柔道」を
推進してきた。日本柔道と方向性が同じことについて、田中教授は「偶然の一致と考えるべきだ。
ビゼール会長が求めているのは、見ていて面白い柔道」と分析する。

タックル技で尻餅をつかせ、細かくポイントを稼ぐ戦法はいかにも姑息(こそく)と
ビゼール会長らには映っている様子だ。IJF関係者が求めるのはダイナミックな
「見せる柔道」。テレビ映りを意識したカラー柔道着の導入もこの流れにある。

今夏の世界選手権で男子が初の金メダルゼロに終わるなど大苦戦を強いられた日本。
「タックル禁止令」は今後、正式に導入される見込みだが、
日本柔道への追い風になるのだろうか−−。