>>2より
■TV業界は不条理だ
民放TV社員の給料は高い。(略)。番組を作るハードな現場と、その他の部門との差も殆どない。
厚生部で保養所の手配を担当する社員が1500万円近い年収を得ている。その一方、人件費を
抑えるため、局の経営陣は社員数を最小限に留め、番組制作業務の多くを下請けの制作会社・
派遣労働者に割り振っている。そのため社員とその他のスタッフの待遇には大きな格差が。
ほぼ同じ仕事をするカメラマン同士なのに社員と社外スタッフの間で給与に3倍の差がつく場合も。
下請け制作会社の総数は1000社とも言われており、TV局側からすれば同じ職種の
複数の制作会社が乱立し、お互いに競争してくれるから局が支払う発注費はミニマムに
抑え込めて、契約条件も局側優位になる。制作費の額が着手時に決まっていなかったり、
作業中に唐突に減額されたりするケースはざらだ。番組が途中で打ち切りになっても
補償もなく制作会社側の負担となる。こんな条件では制作会社の経営に慢性的に余裕が
なくなるのは火を見るよりも明らか。スタッフはスキルアップができず、ユニークなアイデア
を出しても局の社員に横取りされ、こき使われるだけの毎日に愛想をつかしていく。
某アニメ制作会社では見習い社員の初任給が5万円、一人前になってようやく10万円だという。
前述した例と比較するとTV局は番組を作るクリエイタ―10人分の給与を厚生部の一社員に
払っている事になる。現代の不条理な格差社会を先取りしたような、こんな馬鹿げた
給与格差を自ら営々と作り出してきた民放TV業界は、おかしいと言わざるをえない。
TVはなぜ誇りを失い、悪習はなぜ改善されないのか。TV局の社員は楽して儲かる現状を
変えたくない。下請け・フリーのスタッフは言いたい事は山程あるが言えば干されるから
口にしない。辛口の社会評論家はTVに出たいから見て見ぬフリをする。かくして旧体制は
いつまでも温存される。怖いのはTVが何をどう放送するかは放送法により、ほぼ全面的に
各局の裁量に委ねられている事。古い体制のままでは、ろくなものが生まれない。本来、
TV番組は人々に深い感動と喜びを与え、時に社会を変える程のインパクトを生む。民放TVは
一刻も早く構造改革に着手し「公共」の電波を他ならぬ視聴者のために有効に使ってほしい。(終)