祖父の故鳩山一郎元首相が巨人の後援会長で、自身もG党の鳩山由紀夫首相(62)。
学者時代の30年前に発表された論文には、ファンの域にとどまらない
野球への造詣の深さが示され、研究者の間で話題を呼んでいる。
論文は「野球のOR(オペレーションズ・リサーチ)」。東大工学部を卒業後、
スタンフォード大工学部で博士課程を修了した鳩山首相が、
東京工業大経営工学科の助手だった1979年に執筆したものだ。
《4月はプロ野球が開幕する。われわれ草野球愛好家にとっても待ちわびた
季節の到来である》という書き出しは振るっている。さらに《ORで優勝の行方を
占ってくれているのではと思われた方も多いかと思うが、
しょせんヤクルトは広岡監督、巨人は長嶋監督が指揮するものであり、
残念ながら筆者は広岡と長嶋の頭脳の差を数学的に
記述できるほど新聞テレビにかじりついていたわけではない》とも。
ではどういった趣旨の論文なのか。
スポーツデータ解析に詳しい中央大理工学部の酒折文武准教授は
「野球の各プレーを確率で表現して、これから『得点が入る確率』『得点が平均的に何点入るか』の
値を求めようというもの。そして、その求めた値を用いて盗塁、バント、エンドランなどの
効果を測ろうとするものです」と解説し、「現代のセイバーメトリクスに通じる」と先見性を評価する。
今や米球界では選手の評価や戦略を立てる上で不可欠なセイバーメトリクスだが、
「(当地でも)発展していくのは1980年代以降で、本論文が出た頃はまだその芽が出たあたり」と
酒折准教授。
ただし、当時は現実のプレーのデータは詳細に取れなかったため、鳩山首相は
「走者一塁で二塁打を打ったら1点入って走者二塁」「出塁率は常に一定」などシンプルなモデルに
置き換え、得点が入る確率を計算。このため、酒折准教授が所有する現実のデータと
鳩山首相の導いた数値を照らし合わせると「非常に現実に近い部分とズレが大きい部分がある」が、
酒折准教授は「データが取れない当時、これほどの結果が得られていることは驚嘆に値する。
http://www.zakzak.co.jp/sports/baseball/news/20091002/bbl0910021605006-n2.htm