【文芸】組織内での生き方追求　新作警察小説『同期』を刊行　今野敏さん[08/02]

小説『同期』を刊行　今野　敏さん

■組織内での生き方追求

　警察小説ブームを牽引（けんいん）する今野敏さん（５３）の新作『同期』（講談社）は、若手刑事が、懲戒免職
となった同期の男の消息と、二つの殺人事件を追うというスピード感あふれる作品だが、ただの謎解きにとどま
らぬ奥行きを持つ。捜査を続けるうち、警察という巨大な組織の論理に戸惑い、悩む主人公。その姿から浮かび
上がるのは、組織の中で人はどう生きるべきか――という大きなテーマである。（村田雅幸）

　主人公は、警視庁捜査一課の巡査部長・宇田川亮太、３２歳。〈まだ、刑事の体質になっているとはいえない〉
人物を物語の中心に据えたのは、「今までとは違うものを書いて、読者や編集者を驚かせてやろうと思ったから」
だという。

　警察小説を書き始めて２０年以上になるが、数々の賞に輝いた「隠蔽（いんぺい）捜査シリーズ」の主人公・竜
崎は４０代半ばのキャリア。今春、テレビドラマ化された「安積警部補シリーズ」の安積も４５歳などと、これまで
の主人公は皆ベテランばかり。今回、初めて３０代前半の若手を“起用”し、「自分が若かった時を思い出して書
こうとしても、なかなかうまくいかない」というもどかしさも感じたが、一方、自身が様々な人生経験を積んだから
こそ書けた部分があったという。

　「著者として、宇田川にこう言えたんです。『まだあきらめるな。未来はある』って。それは、将来に希望を持てず
『もう、このままでいい』と思いがちな、今の若者たちに向けたものでもある」

（>>2以降へ続く）

◆画像：「バブル崩壊後、組織に属すること自体が難しくなった。いかに組織からはぐれず、自己主張をするか。
警察小説の人気は、そんな所にもあるような気がします」＝杉本昌大撮影
http://www.yomiuri.co.jp/book/photo/BK20090803150148929L0.jpg

■ソース：YOMIURI ONLINE (2009年8月3日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20090803bk12.htm

■今野 敏のホームページ
http://www.age.ne.jp/x/b-konno/

（>>1の続き）

　その言葉の通り、今作は宇田川という若者の成長譚（たん）とも読める。同期の蘇我が突然、表だった理由もな
く懲戒免職となった。疑問を抱き、調べ始めた宇田川はやがて、特捜本部が蘇我を連続殺人事件の容疑者とし
て追い始めたことを知り、憤る。なぜ？　間違いではないのか。上層部の方針は不可解だ……。少し前まで〈上
司に逆らって得をすることなど何一つない〉と思っていた男が変わっていく。

　〈もういい子ではいられない〉

　〈クビになっても自分は蘇我のことを助ける〉

　「宇田川は最初、蘇我の問題として取り組むんです。でも途中からは、自分の問題にする。どうすれば自分に
誇りを持って生きられるのかと自覚していくんです」

　そんな変化には、人間の理想的な姿を描き、読者に示したいという自身の文学観も反映されている。人間の醜
さなどを描く小説を否定はしないし、必要性も理解するが、「それを読むだけでは人の心は縮こまってしまう。
僕が書くのはエンターテインメントだから、理想をポーンと見せてあげたい。人はおそらく、幼いころや若いころに、
どれだけ理想を見たかによって、将来どういう人間に育つかが変わる。僕ら作家にはそういう責任がある」。

　とはいえ今作は、決して若者向けに書いたという訳ではなく、幅広い世代に読まれるべきものだろう。今野さん
は、自分の書く警察小説を「ある意味、サラリーマン小説だ」と言う。もちろん、事件の謎を解いていく面白さはあ
るのだが、「いつも上司のいいなりでいいのか。部下に突き上げられるだけでいいのか。組織の中で、いかに自
己主張し、格好よく生きるか。そのあたりの葛藤（かっとう）が面白い」。組織という意味では、警察も一般企業も
そうは変わらない。サラリーマン小説というジャンルが衰退して久しいが、現在、その存在のかなりの部分を警
察小説が肩代わりしているとも言えるのだろう。

　物語の中で宇田川は、組織の壁に何度もぶち当たる。しかし、刑事の誇りを胸に秘め、一つ一つ乗り越えていく。
組織や権力におもねることなく突き進む姿は、多くの読者に「自分も頑張ろう」という勇気を与えるに違いない。

　「それが、僕がこの仕事をしている目的であり、目標なんです」

（了）

今敏かと

>>1
スレタイの日付間違えました正しくは[08/03]です。失礼致しました。

芸スポ＋？

日本の警察小説ってあんまり読んだこと無いんだが、
エルロイみたいな作家っているの？

>>5
文芸・書籍関連は芸スポでおｋということで、既に100本以上立ててたりします。

警察小説なら横山秀夫だろ。

今敏と今野敏……紛らわしい

今野敏さんか・・・
以前は良く読んでたけど最近は読んでないな・・・

同期読んだよ｡面白かった｡

好きだよ。読むし。だがなぜニュースに

>>10
隠蔽捜査から確変中だから今こそ読めよ

>>13
でも３作目いまいちだったよ…

(　´･∀･`)へｰ

そのつぎは「相棒」書いてくれよ

今現在芸スポで一番勢いが無いスレ