1 :
☆杏野はるな☆ オワッッッ!φ ★:
みなさまこんにちは。杏野はるなです。
記者の自己紹介記事はこれで最後になります。
次回からはがんばって面白い記事を書いていきます。
どうぞよろしくお願いいたします!
杏野はるな
大アウェー
妖怪道中記。。。
裏技でエロシーンがあった気がする
4 :
☆杏野はるな☆ オワッッッ!φ ★:2009/06/06(土) 23:30:25 ID:???0
また、本日12時より生動画チャットを行わせていただきます。
フリートークです。みなさまのご来場を楽しみにしています♪
5 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:30:33 ID:onG8LMmP0
楽しみにしてますよ
親の暴言、子の発達を阻害 言語性知能が低い傾向
2009年6月6日22時6分
感受性の高い幼少期に親から言葉による虐待を受け続けた人は、受けていない人より「言語性知能」の数値が低い傾向にある――。
そんな研究結果を熊本大学大学院の友田明美准教授(小児発達社会学)が米ハーバード大と共同でまとめた。
友田准教授は、19〜20日に熊本市である日本小児救急医学会で報告する。
研究は18〜25歳の米国人1455人から、家庭環境や家族の収入などの社会経済環境が同程度の男女40人を選び、
4〜17歳の幼少期に親から連日「生きている価値がない」「死んだ方がまし」などと言われ続けた21人と、
言われなかった19人に分けて、知能検査と磁気共鳴断層撮影(MRI)検査をした。
その結果、言語性知能の数値は、言葉の虐待を受けなかった人が111〜154だったのに対し、
虐待を受けた人は94〜140と低かった。
虐待された人の脳は、言語で意思を疎通する部分の血管が膨らむなどの損傷があったという。
友田准教授は「言葉の暴力が脳の発達を阻害する可能性を示すデータ」と分析。
今後は、日本人にも同様に調査し、虐待が脳の発達に与える影響を食い止める研究を進めるという。
友田准教授らは、幼少期に長期間、体罰を受けた人の脳が、
受けていない人の脳より前頭葉の一部が最大約19%縮んでいるとの研究結果を08年に発表している。
児童虐待に詳しい関西学院大学人間福祉学部の才村純教授は
「虐待の脳の機能面への影響を明らかにした点で興味深い。不安定な親子関係が続くと言葉の獲得が遅れ、
論理的に物事を考えるのが難しくなることを一つのデータとして示した」と評価している。
http://www.asahi.com/national/update/0605/SEB200906050030.html
ホントかよ
メガドラもよろしく
お前いい加減にしてね♪
>>1 91 名前:名無しさん@恐縮です[sage] 投稿日:2009/06/06(土) 15:21:47 ID:7m8MpmO/0
せめて二軍で使ってからにしてくれ・・・
92 名前:たもん君 ◆Y71G.Ig2Ho @あらいぐま編集長 ★[] 投稿日:2009/06/06(土) 15:54:25 ID:???0
>>91 地味に下積みしてまでやりたいっていう有名人を
連れてきてくれ。-=・=- -=・=-
そこまで厳しくすると「ラジコン大会優勝」とか「とあるサイトの管理者」とか
「"自称"有名人」しかあつまんねーんだYo!! つД`)9m
みんなで育てるくらいの感覚で
よろすくたのむ。(‘ ε ’)v
芸スポ始まったな
11 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:31:38 ID:UgQ7adyBO
この前の芸能人記者は荒らしにしか見えないスレ乱立させていたな……
12 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:31:39 ID:JtL5dmtNO
いい加減に荒らしやめろ
14 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:32:05 ID:ny8XDyhyO
スト2ぶっ壊したの忘れねーぞカス
ほら次スレ立ったろ?
こいつはずっと立て続けるぞ
じゃあ今夜もチャットを始めようか
宣伝いい加減にしろよ
自由すぎるなw
19 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:32:58 ID:B/vIcV9k0
誰が妖怪やねん
荒らすな
21 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:05 ID:C4whTJljO
>>9 まじかよ!(涙)
たーもーんー! mixiログインしないで仕事汁!!
22 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:09 ID:rqxJo7+PO
ルール守れんガキは帰ってね
23 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:26 ID:Z2aK/wLb0
おい!あらいぐま見てんだろ!何とかしろや!
こんな奴どうやって育てんだよ
25 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:43 ID:MK4hyeKHO
ほんとしょうがねえな
見に行くよ
26 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:42 ID:Rzkfd5X+O
>>9 こんな屑が編集長やってっから、+板全般がおかしくなってきたんだよ
27 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:44 ID:/iBoRTvQ0
宣伝結構もっとやれ
28 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:33:52 ID:loMh9a9L0
芸スポも堕ちたもんだよな
29 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:34:11 ID:wwoFlKW80
オワッッッ!
↑
これには何か意味が込められてるの?
30 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:34:31 ID:eJ5g+OZu0
VIPから来ますた
>>9のたもんとか言う人は池沼なのかお?
なんだただの宣伝か幻滅した
32 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:34:46 ID:JyhXVCw/O
33 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:35:01 ID:KDEXgWvRO
みんなに嫌われても平気でいられるコツがあれば
教えてください。
34 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:35:09 ID:GT3iSklzO
35 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:35:29 ID:LepbLORt0
アナル見せてください
36 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:35:30 ID:C4whTJljO
アライグマ! ここ見てるんだろ! 何とか言えよ〜
杏野はるなちゃんへ。
以前は某所で配信していたようですね。同じ配信者として仲良くしていきましょう。
あわよくばスカイプなんかもしたいです。
いやいやw下心なんてありませんよwww
ちなみに童貞です。
ID:yutori_yurito
しかし男みたいな顔だよな
鼻筋が長すぎるというか
40 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:36:14 ID:loMh9a9L0
せめてニュースらしくURLぐらい貼れよwwwwww
生動画チャットってどこでやるんだよwwwww
アホかこいつwwwwwwww
41 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:37:21 ID:C4whTJljO
( ^ω^)
43 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:37:38 ID:IxCwAGyj0
すごい宣伝になるなw
コイツのキチガイさがよくわかってよかった
44 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:37:57 ID:PC44HEge0
事務所とマネージャーは本当にこいつがモノになると思ってるのかな…
イタすぎだぜ、さすがに
45 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:01 ID:Avg6om3V0
>>1 ちゃんと学校に行って勉強しておかないと年とってから大変だぞ。
勉強すれば真鍋かをりみたいにニュース番組や教育番組に出演できる。
勉強しなければAVやストリップ劇場に売り飛ばされる。
若いうちは若いだけでチヤホヤされるけど・・・貴方が心配です。
悪い大人に騙されないでね。
46 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
「はや? そーなの?」
47 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
本は、難しくてわからなそうだったので箱の中をあさった。
48 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
水中から、引きずり出された魚は、えらを捨て、大地に立ち――生命の進化の過程を一気にたどる。
49 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
僕は二人のほっぺたに、キスをしながら首筋、胸へと、指先をはわせていった。
50 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
僕だって、そういう事情を知ってしまった今、一概に開発を否定しようっていう気持ちにはなれない。
51 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:08 ID:aonAbbrO0
僕の制止を聞かず、牧野さんは倒れ込むように、僕に体を預けてきた。
52 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
一度目は、僕が記憶を無くす前のことだろうか、ちょっと気になった。
53 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「うん…ありがとう。ごめんね…」
54 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「あー、ううん、いけなくはないよ」
55 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「そう、ですか」
56 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「ぅぅー」
57 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
自分の気持ちや、存在すらも。
58 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「変なこと? 何が」
59 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
雪さんは…確かに、僕の願望が呼び込んだ幻だったのかもしれない。
60 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「なんでじゃないよぉっ、どうしてボクだけ連れてきひゃむ〜〜〜っ!」
61 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
本当に不思議な力を使う魔女がこの世にいるなんてな…。
62 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「自分で履く」
63 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「たたた」
64 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
しかし、明確な反論もできない。
65 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「わからないけど…うん、ちゃんと話すことにする。ただ、今はちょっと…」
66 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
『っんう…』
67 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
理性的な話し合いができる相手じゃないからなぁ。
68 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
女が、笑ったような気がした。
69 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「なんでもありませんから…ね?」
70 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
緊張はするけど…躊躇することなんて、何もない。
71 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「家のことはいいから、雪さんも一緒に行こうよ」
72 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「くす。欲ばりなのか、そうじゃないのかわからないよね」
73 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「かもね。でも、これが本当の花梨なんでしょう?」
74 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「そうかもしれないけど」
75 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
その後は、時間の感覚がまったく失われてしまい、かなり、正確さを欠く情報となる。
76 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「っひ…ふぁぁ…」
77 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
この笑顔で、あっさり『ふられちゃう』人たちも気の毒だ。
78 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
目を覚ませ。
79 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
懇願するように、ぎゅうぎゅうと指を締めつけてくる。
80 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「透矢、大丈夫だよ」
81 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「責めてるんじゃないぜ。ただ、花梨がやたら気にしてたからさ。ケンカでもしたか?」
82 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「要するに、これから遊びに行くから、あなたもつき合いなさいって事よ」
83 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「…庄一は、きっと、僕の妄想か何かだと思ってるんだよね?」
84 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
どこかに寝ているみたいだ。
85 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「あのねぇ、さっきの流れだと、私が無神経だったわけでしょ? お礼なんか言わないの」
86 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「内緒の話でもあるの?」
87 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「悪かったわね…」
88 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:09 ID:aonAbbrO0
「花梨…あの…」
89 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
と話を進めた。
90 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「この子は悲しむだろうけど…一時的なものだろうし、そのほうがいいに決まってるわよ」
91 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
僕たちの出会いは、あの日の僕の願いの結果なのかもしれない。
92 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
洞窟の中は…なんだか寒気がした。
93 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「違う?」
94 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「バイバイ、和泉ちゃん」
95 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「ち、違うって! そういう意味じゃなくて…だから、雪さんの家族として…」
96 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「マリアちゃんだから」
97 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
夏休みが始まった。
98 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
本当にあったなら、痕跡くらい見つかるだろう。
99 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
僕は記憶喪失になって、ちゃんとした過去の記憶がない。
100 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「あったかくて気持ちいいよ。はは…良すぎて、すぐに参っちゃいそうだけど」
101 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「透矢さんには関係ありませんの。お帰りくださいな」
102 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「退屈ねぇ…割と楽しんでるように見えるんだけど。駄目だぜ雪さん、あんまり甘やかしちゃ」
103 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
“ドカッ”
104 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
むしろ、試合での様子すら嘘にしてしまうほど、明るく無邪気な振る舞いを見せている。
105 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
花梨と上手くいくようにって、後押ししてくれていたのに。
106 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「あの、そのまま巻いてくれれば、大丈夫だと思うから」
107 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「ボクとは遊びだったのねー」
108 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「あのね、僕はここの学生なんだから」
109 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「うん。再来週くらいかなぁ…」
110 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「雪さんは、僕に優しすぎるよ」
111 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
校門の前に、見慣れた車が横づけされていた。
112 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「透矢さんが、もっと早く来てくださらないから」
113 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「こういうのいいね、広くて」
114 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「はい。そちらに行けば、雪のパパとママのお墓があるはずです」
115 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「いや、これくらい自分で行くけど」
116 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
そこで、僕は彼女に追いかけられた。
117 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「だから、なんていうか…ごめん」
118 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
僕と同じだな、と思う。
119 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「あれはねー、スパンキングー」
120 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「ん…行こうか」
121 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「そういうことですわ。ここから、さきほどの、お話につながりますの」
122 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:10 ID:aonAbbrO0
「あ…いや、ちょっと、雪さんとは関係のないところでね。気にしないで」
123 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「さっきの歌も、花梨…?」
124 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「雪さん、もうちょっと昇ってみようと思うんだけど、いい?」
125 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「弓を持つからいけないのかもしれない。今度は私の手を取って。あとは力を抜いてればいいから」
126 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「スキンシップでも、嫌な時は言ったほうがいいよ」
127 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「そう? じゃあ、待ってるから」
128 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
昼間に、牧野さんと彼女のお父さんを乗せていた車だ。
129 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「僕もだよ」
130 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「照れるな照れるなー」
131 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「ううん、起きたところだから。何?」
132 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「なんか、難しいんだけど」
133 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
マヨイガ、隠れ里――
134 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「やっぱり、一人よりは二人のほうが安心するというか」
135 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
――さようなら。
136 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「うん…ぅ…」
137 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「こんばんは…ナナミ」
138 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「んー、なんかさ、ここに掘ってある模様を、前にどっかで見た気がするんだ。透矢も見てよ」
139 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「…海なら、どうせふたりで行くし」
140 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
何度か吐いた。
141 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
そして、僕は彼女の名を叫び――
142 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「こればっかりはやってみないと。でも、大丈夫だと思うよ」
143 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「あの日…」
144 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「ひゃぅぅ…」
145 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「い、ず、み?」
146 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
彼女の姿を探すと、ちょうど、個人戦の試技が始まろうかというところだった。
147 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「マリアちゃんの世話を焼いてたからね」
148 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「牧野さん…?」
149 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:11 ID:aonAbbrO0
「ああ…ちょっと嫌なことがあってね」
150 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「んー、なんかねぇ、牧野さんが透矢を押し倒してた」
151 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「男同士の話。ちょい、外出ようや」
152 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
顔を伏せて集中している――わけじゃなかった。
153 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
なんにしても、普通の風景写真には違いないようだ。
154 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「わかった。でも、アリス…」
155 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「ちょっとぉ、なんであなたが?」
156 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「宮代さんが、舞に失敗してしまって、泣き崩れて…その後…彼女は目覚めないんですの」
157 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
でも、どうしたらいいのかは、わからなくて、
158 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「電話でも良かったでしょう?」
159 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「ぜんぜん。ただ、遅くなっちゃったから心配しているかもね」
160 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「二人の邪魔じゃなければ」
161 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「まあ…その話はいいか。少なくとも嫌われてないんだから喜ばないとね」
162 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「…いっ!」
163 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
そんな気がした。
164 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「いや、痛いから」
165 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「花梨、そうなの?」
166 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
といって、目的なしに出歩くには、まだ日射しが強すぎる。
167 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「あは、決まりですね」
168 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「あのとき、なんて言った?」
169 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
今度は嗚咽をもらし、全身を激しくわななかせて――怖そうにではなく、悲しそうに。
170 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「う、うん…」
171 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「透矢くんが那波ちゃんのことばっかり見ていると…私が怒っちゃうの?」
172 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:12 ID:aonAbbrO0
「外っつらはそうでも、普通はいるんだよね?」
173 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:13 ID:aonAbbrO0
「そう言ってもらえるとうれしいよ」
174 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:13 ID:aonAbbrO0
首を絞めるようにして、マリアちゃんの体を揺さぶるアリスを、庄一が取り押さえる。
175 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:13 ID:aonAbbrO0
庄一も、同じようにして、くちゃくちゃし始めた。
176 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:13 ID:aonAbbrO0
確かに、和泉ちゃんは可愛いと思うし、好きか嫌いかって言われたら、間違いなく好きだ。
177 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:13 ID:aonAbbrO0
「しかし…どうせすぐ仲直りするんだからケンカなんかしなければいいのに…しかも変な事で」
178 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:14 ID:aonAbbrO0
「ゃっ…」
179 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:14 ID:aonAbbrO0
「わたくしが…壊れてしまえば、もう、儀式ができませんわよ。お母様に…会いたいのでしょう?」
180 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:14 ID:aonAbbrO0
またか…。
181 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「はは…ちょっとドジしちゃって」
182 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「なんだって言うんだ…?」
183 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「っんぅ…透矢、くふ…ぅ…」
184 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
いきなり水を向けられた僕は、つい、彼女が毛嫌いする、あいまいな態度で応じてしまった。
185 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
もっとたくさん…今度は、じかに触れてみたい。
186 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
相変わらずのやりとりをぼんやりながめていると、視界の端を動くものがあった。
187 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「んっ…ぅ…ぐ…っんんん…」
188 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「ごめん…」
189 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「お寝坊さんには、目が覚めるおまじないを、してしまいますよ?」
190 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
さっきのベンチも…そうだ。
191 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「ふたり揃って、どう…なってんだかな」
192 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
しばらく見とれていると、視線に気づいたか、牧野さんは、ゆっくりした動きで顔を向けた。
193 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
可愛い、愛おしい――
194 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
僕はもう、後ろから追ってくるのがなんなのか、考えることもできなかった。
195 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「まあね」
196 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「あつー…」
197 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「駄目」
198 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
僕は首筋を舐めながら、頭を撫でた。
199 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
いつの間にか、マリアちゃんはうつむき肩をふるわせていた。
200 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「それは…透矢が変なところばっかりいじるから」
201 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「あ…う…動く?」
202 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
それが、今、僕のものに触れていた。
203 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:15 ID:aonAbbrO0
「いや、うなされてたらしいから、ちょうど良かった」
204 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「もう少しだけ。目をつぶっても、透矢さんのお顔を見ていたいんです」
205 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「それが冗談にならないのが、あの子なのよ。でも、もうひとつのほうに行ったみたいだから…いいわ」
206 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「あ、あのねぇ。キミ、絶対に変だよ。それくらい、自分でわかるでしょう?」
207 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「やっぱり…その…」
208 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
僕は、胸の谷間に顔をうずめると、双方の乳房に軽く歯を立て、痕を刻んだ。
209 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
那波は僕の手を握って離さない。
210 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「ん…そうだね。寂しいよね…」
211 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「そうだね。覚えてないけど…」
212 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「っ、ぅぁ…ごめん…っ…」
213 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
眉尻をわずかに下げる、雪さんが困ったときにする顔。
214 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「牧野さん、どうしたの、大丈夫?」
215 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
空を見上げ、笑顔で手を振る、女の子と雪さん。
216 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「確かにゆっくり来いとは言ったけど、遅すぎんだろ…」
217 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「きゃっ…ぅぅっ…」
218 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:17 ID:aonAbbrO0
「お友達の方が見えられるとしか」
219 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:16 ID:aonAbbrO0
「やっ…お、お願い、いちど切って! すぐかけなおすから」
220 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:17 ID:UNx4EpfcO
中川氏ね
記念下記湖
早く始めろよ。
待機してんの暇なんだよw
223 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:31 ID:bnMhAVclO
しょこたん二世?
224 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:42 ID:2ep0NK6V0
まあ、その、なんだ・・・頑張れ
225 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
絹みたいにつややかな髪が、夏服のそでから露出した僕の二の腕をくすぐる。
226 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
(頭を抱えたいのは、僕のほうだよな…)
227 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「してもいいよ。僕のことを想ってくれるならっていう条件つきだけど」
228 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「ぜ、ぜったい嘘。そんなに怖いの?」
229 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「透矢って、呼んでくれないの?」
230 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「まあ、そうだけど」
231 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「…だって、マリア」
232 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
巨大なまんじゅうにしがみつく夢でも見てるのか?
233 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「ちょっ、アリス、どうしたのさ」
234 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「マリアに害を与えそうなものは、距離を置くか排除するかしないと」
235 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:44 ID:dLfKfN9h0
「同じ弓道部員なのにえらい差だ。俺の首はつかんでくれないのか?」
236 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「やーだな、どうしたの? キミのほうが緊張してるみたいだよ」
237 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:44 ID:dLfKfN9h0
おごそかな空気さえ漂わせながら、そう言った。
238 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:44 ID:dLfKfN9h0
まずは…つい、お腹に手が伸びる。
239 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
庄一は、こんなにいい奴なのに、なんで和泉ちゃんは、僕なんかを選んじゃったんだろう。
240 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
「雪の包帯のおかげだと思うけど…痛くなくなったんなら良かったね。じゃあ、行こっか?」
241 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
ほっと胸をなで下ろすと、
242 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:44 ID:dLfKfN9h0
「悪いけどお願い。最後の手段もあるにはあるけど…」
243 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:45 ID:dLfKfN9h0
ただ、いちいち夢のことを気にしたりしている自分が嫌で、悶々としていたのかもしれない。
244 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「何に対して?」
245 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「鈴蘭ちゃんは、いいのかな…また、ずるいとか言われるんじゃない?」
246 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
温かくて、優しい感触――気持ちいい。
247 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「雪さんが一緒にいてくれるなら、僕は、大丈夫だよ」
248 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「あのさ、それ、悪い病気とかっていうのに関係ある?」
249 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
あのときは、雪さんが無意識に僕を導いてくれた。
250 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「透矢さん…でしたら、そのようにお伝えすればよろしいんですよ」
251 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
花梨の記憶の中には、どんな母さんがいるんだろう。
252 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「…ばれないかな?」
253 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「じゃあ、なんだよ、その密着ぶりは…」
254 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「ずっと夢見ていたんです。透矢さんとこんなふうになれる日のことを…」
255 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「…和泉って、前世は亀だよね」
256 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
アリスはこれに足を取られたんだろう。
257 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「本当に、和泉さんのお父様にはよくしていただいて、感謝していますわ」
258 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「おいおい、透矢と…牧野もか?」
259 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
(これは…)
260 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
悪気がないのなんてわかってる。
261 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:46 ID:dLfKfN9h0
「ママ…嫌だよ…」
262 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ったく、そういうあんただって、さっきもう一枚書いてたじゃない」
263 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ふふ…そうですわね、本当に、まだ寝ぼけていますの?」
264 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
もし、山ノ民と呼ばれる存在が、二種類いたとしたならば…
265 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
見よう見まねも交えつつ、僕は弓を構えた。
266 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「本当に薬は駄目なんだね?」
267 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「返してもらって当然のものなのに、返してくださいとお願いするのは、ちょっとくやしい――ですか?」
268 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「どう、しましたの?」
269 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ぁ…っぁぁぁぁ…」
270 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「元気がありませんね。また夢ですか?」
271 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ちょっと待って。雪さんのご両親のお墓だって言ったばっかりじゃないか」
272 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
いてもたってもいられなくて、僕は、盆を片手に彼女の部屋を訪ねた。
273 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「俺がひとっぱしり行って来ようか?」
274 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
ママに撫でられる夢でも見ているのか、幸せそうな顔をしている。
275 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「…そうなのよねぇ。あなた、出て行く気とかないわけ?」
276 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「見ていいの?」
277 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ご冗談。あなたに寝顔なんて…」
278 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「褒め言葉じゃないぞ」
279 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
こぼれた滴を拭ってあげると、彼女は赤くなっていた顔をさらに真っ赤に染め、身を引いた。
280 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「……嘘」
281 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「そりゃ、欲しいよ…」
282 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「ったく、そういうあんただって、さっきもう一枚書いてたじゃない」
283 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
その言葉を、信じ続けたってわけじゃないだろう。
284 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「終わったー!」
285 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
「うわああああああ!」
286 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:47 ID:dLfKfN9h0
儀式に必要な道具、涙石と弓はある。
287 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
大いに勘違いされているけど、心底うれしそうだ。
288 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
私が日常を過ごす村、那波村は、貴重な研究対象でもあったのだ。
289 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
僕の気持ち。
290 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「だって花梨、わかりやすいから、見てると面白い…」
291 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
考えることは、同じか…。
292 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
言うなれば、今いるのがマヨイガ。
293 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
“カキンッ!”
294 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
あっさり、本人が出てしまった。
295 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
だけど、今の僕には、その資格があるのかどうかすら、わからなかったから――
296 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
聞きたくない…
297 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「おねえちゃんが意地悪すぎるから、あきれちゃったんですよね?」
298 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「あ、この写真の場所?」
299 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「あら、透矢さん…と宮代さん?」
300 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「は、ははは…」
301 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「そういうことですわ。ここから、さきほどの、お話につながりますの」
302 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
あの人は、僕がいなければ、本当の意味で、ひとりぼっちだった。
303 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「う…まあ…」
304 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「書斎に、こういったことを取り扱った本があったので」
305 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「僕は、ずっと呼んでたよ」
306 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「あの、なんていうか、やっぱりごめん。私のやることって、裏目に出てばっかりだ」
307 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「ごめ…っ…気持ち良すぎて…」
308 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「さすが俺。やっぱ天才だな」
309 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
アリスが身を乗り出し、ほっぺたに触れた。
310 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「ったく、そういうあんただって、さっきもう一枚書いてたじゃない」
311 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「あ…すみません」
312 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「んー、やっぱりそうか」
313 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
うつろに澄んだあの瞳で、きのうと同じように、まっすぐ僕をとらえたまま。
314 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
雪さんの言うこと、聞いておけば良かった…
315 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「そうさせてもらうよ…」
316 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:48 ID:dLfKfN9h0
「…和泉、騙されてる騙されてる」
317 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「お休みになられてから、一時間というところですね」
318 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「じゃあ、それらしいものを…」
319 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「ゃ、はっ…ぁっ…ぅぁぁぁ…」
320 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「すごい言われようだね、和泉ちゃんも」
321 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
思いっきり、息を吸った。
322 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
だけど、素敵な時っていうのは、長く続かないものらしい。
323 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「ごめん、やっぱりなんでもない」
324 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
胸に下げた涙石も、ごくわずかにではあるけど青白い光を放っているようだった。
325 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
うつろに澄んだあの瞳で、きのうと同じように、まっすぐ僕をとらえたまま。
326 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「どう、かな?」
327 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
だけど、今の僕には、その資格があるのかどうかすら、わからなかったから――
328 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
だけど、素敵な時っていうのは、長く続かないものらしい。
329 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
暗くなってきて、帰らなきゃいけない時間になった。
330 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「…怖かったわね。もう大丈夫よ」
331 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
花梨と和泉ちゃんは、じゃれ合いながら小走りで拝殿に向かった。
332 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
むくれられてしまった。
333 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「あ…うん…ごめんね」
334 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
加えて、戦以外の場で不可解な死に方をする者が急増したという事も、大きな痛手となった。
335 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
放たれた矢は、まっすぐ、正面にたたずむ少女めがけて飛んでいく。
336 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
雪さんに手を握られて、いっぺんに、元気になる。
337 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「…たぶん当たりよ」
338 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
約束の場所に向かうと、さっそく、和泉ちゃんと鉢合わせてしまった。
339 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「私たちは大丈夫だよ。ね、那波ちゃん」
340 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
まあ…役目を引き継いでいようがいまいが、関係なかった気はするけど。
341 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「ひどい扱いだぜ、まったく」
342 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「心配してもらえて、うれしかったです。どうもありがとうございました」
343 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
進めば進むだけ、嫌な予感が増大していく。
344 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「邪魔なんかしてないと思うけど…じゃあ少しだけ手伝ってくれる?」
345 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「ほらー、雪ちゃんと那波ちゃんはボクの味方ー」
346 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
となりに腰をおろして、和泉ちゃんは気づかわしげに僕の顔をのぞきこんだ。
347 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「放課後に、また」
348 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
それにしても、今回のは違和感がなさすぎる。
349 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
結局、雪さんの話を総合すると、僕の父さんは無職のおっさんということになる。
350 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
代わりに、友達だった他人が残った。
351 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
夢に現れ、宮代神社に現れ、最後には、何も残さずに消えてしまう、幻のような女の子。
352 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:49 ID:dLfKfN9h0
「バイバイ、和泉ちゃん」
353 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
本当に心配しているのか、雪さんは、わずかに顔をしかめた。
354 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「本当に大丈夫?」
355 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「あ…ぅ…自意識過剰ってやつ?」
356 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「透矢、お願い。寂しいなら、私、今日から泊まってもいいし」
357 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「エロ透矢…」
358 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「うん。今日は、ぜったい最後までさせてあげるから、安心していいよ」
359 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「どうしても、気になられるんですね、あの方のことが」
360 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
彼女も、何かを見ていた。
361 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
雪さんは、ためらいがちに応えて、僕の背に、完全に顔をうずめてしまった。
362 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「だから、私、胸はぁ…っはぁ…だめぇ…あんまりしちゃ…だめだよぉ…」
363 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「ちょっと、信じられないな…」
364 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
記憶がどうということはなかったけど、それはどこかで見たような…とにかく、不思議な光景だった。
365 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
それでも、彼女のそこから目が離せない僕は、構わず手に力をこめた。
366 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
人のざわめき、セミの声、風の音、消えていた振動が、いっぺんに伝わってくる。
367 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
むきになって吸い上げると、やっぱり、わずかに甘い味がした。
368 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「いいけど…何?」
369 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
となりに腰をおろして、和泉ちゃんは気づかわしげに僕の顔をのぞきこんだ。
370 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「はは…でも、僕はそういうお姉さんで良かったと思う」
371 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:50 ID:dLfKfN9h0
「二人ともケンカは駄目。めずらしくこんなにいい天気なのに、もったいないじゃない」
372 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
それで、僕は自分が泣いているんだなっていうことに、ようやく気がついた。
373 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「良かったの? 車、帰しちゃって」
374 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「、透矢ちゃん?」
375 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「透矢さん、申しわけないんですが、その子を、雪に譲っていただけると」
376 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
言っている間に、再びスリットへ――そんなことを繰り返す。
377 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
髪の長いはかなげな少女の幻を見る。
378 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
あわてて両手を見比べる。
379 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
雪さんは、いつからかは知らないけど、ひとりで、これをくり返していたんだ。
380 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
ただの空間。
381 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
空気すら人を拒絶しているのか、むっと立ちこめる草いきれに、むせかえりそうになった。
382 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「あれは那波が望んでいますの。わたくしたちは、恋人か夫婦だったはずですわ」
383 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
目が子供になってる。
384 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「でも…あれが前世だとしたら、きっと七波って人とナナミ様って人だね」
385 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
とはいえ、どんな気づかいがあっても、『すまん』というのは、謝罪のための言葉に違いない。
386 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「はは…でも、僕はそういうお姉さんで良かったと思う」
387 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
空気すら人を拒絶しているのか、むっと立ちこめる草いきれに、むせかえりそうになった。
388 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「しませんよぅ。あの、それじゃあ…よろしくお願いします」
389 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
意識を無くしていたのが二週間、目覚めて一週間…
390 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「防空壕の中の人たちと、直接対話」
391 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「はい、正解」
392 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
思わず、身を乗り出した。
393 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
代わりに、友達だった他人が残った。
394 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「う…まあ…」
395 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「はい、少々お待ちくださいね…」
396 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
ぼやきながら、空を見上げる。
397 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「はい、少々お待ちくださいね…」
398 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「あの…最後まで、って…」
399 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
だけど、素敵な時っていうのは、長く続かないものらしい。
400 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:51 ID:dLfKfN9h0
「…んー」
401 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
「…今朝、手紙が来てた」
402 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
「花梨ちゃん…そういう冗談、言わないでよぉ。私、てっきり」
403 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
しかも今の状態で、僕たちに言われるのは…どうだろう。
404 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
「…さて、なんのことやら」
405 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
「行ってみてのお楽しみです。居間のほうにお通ししてありますから」
406 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
まあ、課題にかこつけて集まって、遊びながら適当にレポートらしきものを作ればいい。
407 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:38:52 ID:dLfKfN9h0
「じゃあ、透矢と花梨は、宮代神社をよろしく、ってことで」
408 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:55 ID:jiL5eo0W0
どうして剥奪されないんだ?
放し飼いか?
409 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:38:57 ID:JEMYyITs0
誰コレ?
ググってみたが、
ただの有象無象のうちの一匹じゃないか。
日の目を見る前に消滅するのがオチ。
410 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「女性にとって名前を教えるというのは、そういうことでしたの」
411 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「ナナミさん…夢の中の彼女…」
412 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「それじゃあ、せめて記憶が戻るまで。和泉ちゃんがいなくなったら…不安だよ」
413 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「庄一が逃げたっていうのは?」
414 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「そういうわけじゃ…」
415 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「…ありがとう、庄一」
416 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
もちろん手紙のことや、その時の不安な気持ちのことは伏せて。
417 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
やっぱり慣れている。
418 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「どうした、浮かない顔して」
419 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
口を開いたまま、どちらともなく、顔を寄せた。
420 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「透矢さん、こちらですよ」
421 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「雪さん…あったかくて、気持ちいい…」
422 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「いいよ」
423 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
マリアちゃんの、くしゃみか?
424 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「どうして? 私だって、みんな一緒のほうが心強いよ」
425 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
弓矢を引けっていうことか?
426 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
同じ疑問を、花梨は率直にぶつけた。
427 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「悪いね。あ、手みやげには雪のクッキーを希望なんで、よろしく」
428 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「…あの、できるだけ早く、話とかしたほうがいいと思う」
429 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:08 ID:VRZbXylK0
「実験とかは好き。あと、家庭科で料理するときも」
430 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
言おうかどうしようか迷っているうちに切れてしまった。
431 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「マリアっ、あなた、何やってんの!?」
432 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
僕は、手で日よけを作ってあげることにした。
433 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
情けないな、僕は…
434 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
もう、夢の少女は彼女で間違いないだろうという気がしてくる。
435 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
乳首に歯を立てると、雪さんの体がのけぞった。
436 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「でも、和泉ちゃんが来るみたいなことを言ってたから」
437 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「じゃあな。ま、俺の分も頑張って勉強してくれ」
438 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「お姉ちゃん、本当?」
439 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「透矢も、和泉のこと好きだよね?」
440 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「今日は、怖い夢ばかりですの…透矢さんが亡くなってしまう夢、わたくしが死んでしまう夢…」
441 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「やめなよ。アリスは何も悪くない」
442 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「あ、途中まで一緒に行きませんか」
443 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「みんな悲しむだろうなぁ。いかにも堅そうな透矢くんが、実はロリ…」
444 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
(言えないよな…あれじゃあ…)
445 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
雪さんに耳うちされ、僕も、あわてて手を振り返す。
446 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
が…もしもその結果が、マリアちゃんの望んでいない別れを強要するものだとしたらどうだろう?
447 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「ムキになってるわけじゃない。引けないから引けないって言ってるだけだよ」
448 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
でも、これは本当に僕のいた世界か?
449 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
元来た道を引き返し、僕らは海に向かっていた。
450 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「あ、ああ。でも、怖いって…それも、今までずっと我慢してたわけ?」
451 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
何も、できなかった。
452 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「私…透矢のこと、好きだよ」
453 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
白昼夢だった、っていうことか。
454 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
でも、効果は絶大で、アリスの顔色から苦しみが減り、快楽の度合いが増した。
455 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
…勢いに乗ってここまで来たものの、ここから、どうすればいいだろう?
456 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
理由は、わからないけど。
457 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「おはよう、雪さん」
458 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
手渡されたのは弓…ではない。
459 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「おっし、行くか」
460 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
手を取って、抱きしめて…この温もりに包まれていたら、夢だって怖くないのに。
461 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「気にしてないよ。また今度、機会があったら誘ってね」
462 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
和泉ちゃんは、この町に残った。
463 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「はい。いいものですね…」
464 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「はぁ。わかったよ」
465 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「ありがとう。行ってきます」
466 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「あ…あのさぁ、それって」
467 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
友達との再会に、笑った。
468 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「牧野さんまで、体調を崩したんだ…」
469 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
女の子って、ずるい。
470 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:09 ID:VRZbXylK0
「夢と、同じ匂いがしますわ」
471 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「っ、ぁ」
472 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「しませんよぅ。あの、それじゃあ…よろしくお願いします」
473 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「無理しないほうがいいよ。うちに来るだけでも、けっこう大変なんでしょう?」
474 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
一回りしたところで、彼女は舞台の中央に戻って座り込んでしまった。
475 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「私たちは霊感が強い。それがどういうことかっていうと、自我が薄いってことなのよ」
476 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
意志の介入は許されない。
477 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「動くよ?」
478 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「じゃあ、私もそろそろ帰るよ。なんか、あんまり話とかできなかったけど」
479 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「だからですね…今度はそのぅ、透矢さんの温もりで、私たちふたりに…」
480 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
雪さんが居なくて寂しかった――
481 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「旦那様、わたくしのことでしたら、よろしいんですの」
482 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「私が走ってきちゃいましたから。でも、そろそろ来ると思いますよ。ほら…」
483 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
「簡単な推理です。雪のご主人様は優しい方ですから」
484 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
僕は彼女が好きだった。
485 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
そう思い、再び手を伸ばすと、
486 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:10 ID:VRZbXylK0
そして、祭りの当日――
487 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:11 ID:VRZbXylK0
「牧野さん、久しぶり。今日は図書館?」
488 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:11 ID:VRZbXylK0
「天の岩屋戸…」
489 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「透矢も、和泉のこと好きだよね?」
490 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「目を閉じて見るとは、さすが牧野」
491 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
今は、早く、彼女の中に。
492 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
そして、ついには、この町を離れることになってしまった…。
493 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「パワーストーンだね」
494 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「別に負けてないんだけどね」
495 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「でしたら、念のため湿布を貼っておきましょう。ね?」
496 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「で、言い訳は?」
497 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「また今度、誘ってね」
498 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「あ、雪さん…」
499 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
問題は、この寒気だ。
500 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「こんばんは。アリスも」
501 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「じゃあ、気分転換につき合って」
502 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「自分が大変な時に他人の世話かよ…」
503 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「はは…考えてもわかんないや。お茶、もう一杯くれるかな?」
504 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「そっか…ここに行けば、何か、記憶を取り戻すきっかけくらいにはなると思ったんだけど」
505 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「あー、別に責めてるわけじゃないから。じゃあ、午後からどうしたもんだろ」
506 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
花梨が声をかけてくれなかったら、僕は牧野さんに、もっと大変なことを要求していたかもしれない。
507 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
こっくり、無言でうなずいた。
508 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
“とん、とん”
509 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「あちらですよ」
510 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
雪さんに握られていた手を見下ろす。
511 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「うー…私の馬鹿…っぁ…」
512 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
牧野那波、まだ見ぬ少女。
513 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「夢は、夢だから、夢なんだよ」
514 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「ん?」
515 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
わずかに開かれた太もものすきまに手をすべり込ませ、ショーツの上から、そこに触れる。
516 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「…自分でも忘れてたの?」
517 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「っっ……っぁぁぁぁぁ…」
518 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「彼女…娘さんですが、たまに何かこう、妙な事を言ったりしませんか?」
519 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
少しでも暗くなってしまえば、不用意には動けなくなる。
520 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
彼女に話を聞きたい。
521 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:12 ID:VRZbXylK0
「別にぃ。キミこそ、なんか集中できてないみたいだけど」
522 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「さて、そいつはどうだかな」
523 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「大丈夫です。私、お姉ちゃんのことも透矢さんのことも、大好きですから」
524 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「うん…それより、ここでジッとしてても仕方がないし、ちょっと案内してくれないかな?」
525 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「……ちょっと、見に行かない?」
526 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
牧野さんが、冗談とも本気ともつかないほほえみを浮かべる。
527 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
汚い部分をさらけ出してなお――いや、だからこそ、今の彼女はあんなにも輝いて見える。
528 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「病院を抜け出したりするからだよ」
529 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
急に空腹を感じた僕は、家路を急いだ。
530 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
僕は、すぐそばに落ちていた髪飾りを、彼女の髪に付けて…
531 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:27 ID:tXea6kO00
「で、でも」
532 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「覚えてくれていたんですか?」
533 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「は…?」
534 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:27 ID:tXea6kO00
「そんなことないよ。で、何?」
535 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「私が好きじゃないの!」
536 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
すると、和泉ちゃんはにこにこ笑いながら、涙石を僕の手に押し込んだ。
537 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
鈴蘭ちゃんですら本心から心配そうに、そして、どこか怯えたように彼女の様子をうかがっている。
538 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「ええ。もう、わかってらっしゃるんじゃないですか」
539 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
声の主が、僕を導いてくれたのかもしれない。
540 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
波の音を聞きながら、髪の長い、はかなげな少女とふたり。
541 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「駄目です。まだ何冊もあるんですから。雪、持ってきますね」
542 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「どっかで聞いた話だなぁ」
543 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
何も、できなかった。
544 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
想像して、胸が痛む。
545 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:28 ID:tXea6kO00
「ふふ、後で雪が教えてさしあげますよ」
546 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「七夕の夜、お風呂で、お姉ちゃんが」
547 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
あとは、延々と同じ話がくり返されるばかりだった。
548 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
真面目くさって言う雪さんに苦笑しながら、僕は家を出た。
549 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
ほほに添えた手に、ふわりと彼女の手が重なる。
550 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「ええ。ですけど、この一週間でだいぶ落ち着いてきましたからね」
551 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
でも、効果は絶大で、アリスの顔色から苦しみが減り、快楽の度合いが増した。
552 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「あれも、お月さまですわ」
553 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「あの、瀬能なんですが…」
554 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「…雪さん」
555 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「いや、そんなことないよ」
556 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
なぜだろう…僕はその手を握ることを、一瞬だけ躊躇してしまった。
557 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「まあ、そんなに気にしなくていいと思うぜ。わざと呼んでないってわけじゃないし」
558 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「もっと……」
559 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
つき合えばつき合うだけ、悲しいかな、マリアちゃんと僕を遠ざけようとするアリスに共感してしまう。
560 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「夢をつなぐか。いい言葉だね」
561 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
こういう時のためにと、雪さんが出しておいてくれた着替えが、さっそく役に立った。
562 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「おはようございます。ずいぶん、うなされていましたね」
563 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「緑の、匂い…」
564 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
最後に、キスをした。
565 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「透矢…あなた、今日は帰って」
566 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
返事がないのを肯定と受けとめて、僕はホックを外し、ファスナーに手をかけた。
567 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
庄一は中腰になって、僕の肩をバンバン叩いた。
568 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
うれしくて、抱きついてしまった。
569 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
昼間の時とは違う横顔があった。
570 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「確認と、報告だけしておこうと思って」
571 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「本当です。あの、このままばんそうこうだけ貼れば、大丈夫だと思いますから」
572 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
頑張れ、がんばれ――
573 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「ひっ…」
574 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「…鏡、見たか? やつれてるぞ? 顔色も悪い。何をするにしても、まずは食って寝ろよ」
575 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
牧野さんは、寝ぼけまなこで、重ねられた僕の手を不思議そうに見つめた。
576 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「休みじゃなくて遅刻なんだ。庄一は、わかる気がするけど…」
577 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「…そうですね。でしたら、雪は食堂でお待ちしていますから」
578 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
アリスは舌をはわせながら、ちょうどマリアちゃんの反対側に顔を動かした。
579 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
この人の何をどう褒めたら『過剰』になるっていうんだ?
580 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「試合だよ、試合」
581 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「女性にとって名前を教えるというのは、そういうことでしたの」
582 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
それはつまり、みんなの瀬能透矢が目を覚ますっていうことだから。
583 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
(違う…)
584 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
「別に悪くないよ。じゃ、また明日ねー。和泉も、ばいばい」
585 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
大した事を思い出すでもなし、それでも少しずつは記憶を取り戻し…とにかく時間だけが過ぎていく。
586 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
雪さんに抱きつかれ、戸惑った。
587 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:29 ID:tXea6kO00
そう言って笑うアリスは、ちょっと寂しげで、だけど、とても可愛らしかった。
588 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
大量の荷物と共に。
589 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「無駄よ。キツネ憑きには、キツネ憑きの治し方があるの…っと、そうそう」
590 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「あ、やっぱり嫌?」
591 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
僕はというと、彼女の真意を計りかね、あいまいに笑い返すことくらいしかできなかった。
592 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
その症状は、総じて、肉体的、精神的な外傷が原因で現れる。
593 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
信じられない話だけど、実際に結果が出ているので信じるしかなかった。
594 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「そりゃ、欲しいよ…」
595 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「ふっ、ふぅ…んぐ…む…」
596 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「彼女、泳がないみたいだね?」
597 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
舞台に目をやると、花梨の動きが、目に見えて硬くなっていた。
598 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
彼女は僕の言葉に耳を貸さず、手加減なしに腕を引っ張った。
599 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
夢が、覚めた?
600 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
ほんの、ひと昔前まで、ここで生活するということは、山と共に生きるということだったのだ。
601 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「はぁ!? あなたって子は、ほんっとぉぉに馬鹿ね」
602 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
ひんやりした空気が漏れだしている。
603 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「…いえ」
604 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
ほっぺたとはいえ、お互いに何度もキスしておいて、それもないか…。
605 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
自分のいる場所が病院であることはわかるのに、病院のある場所はわからない。
606 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
意識が、途絶えた。
607 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「ふふ、でしたら、涼しくなるまで、ずっとあおいでさしあげます」
608 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
僕はそんな二人の影を踏みながら、ぼんやりと黄昏に染まった海をながめていた。
609 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「状況から分析すると、牧野との思い出の場所、ってところか」
610 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
悪魔の手先となり、妖術、魔法といった力を操り、他人に災いをもたらす人物。
611 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
なぜか困り顔をされてしまった。
612 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
雪さんっていう希望にすがりつくことで孤独や暗闇っていう魔物から、どうにか身を守ることができた。
613 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「透矢ちゃんは男じゃんかー」
614 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
もし、僕にこの人がいなかったら…
615 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「? あの、何か、ぶつけたような音がしましたけど」
616 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「い、いいよ。思い出してくれただけで、うれしい…」
617 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「よほど眠いんだね。少しなら、寝てもいいよ」
618 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「あー、それじゃ、女ならなんでもいいわけだ?」
619 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
確かに、痛いのと気持ちいいのが半々という様子だ。
620 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「うん。それで、雪ちゃんとボクがママ。透矢ちゃんがパパ」
621 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
唇をかみしめ、何かに耐えるように構えをたもっているけど、無理をしているのは明らかだった。
622 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
七波って人が弓の扱いを得意としていることも符合といえば符合。
623 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「なーんて、思ったことない?」
624 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
組織力も、火力も、違いすぎる。
625 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「目を覚ますおまじない、第二弾」
626 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
だから、当時の記憶と、当時見ていた夢の記憶とを、一年経った今になって夢に見た。
627 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
「セミも、うるさくなってきましたね」
628 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:30 ID:tXea6kO00
公式を覚えているかと言うと、まるで覚えていない。
629 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
「はは…でも、僕はそういうお姉さんで良かったと思う」
630 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
「…困った顔してる」
631 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
親子二代で、妄想癖でもあるのかもしれない。
632 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
神社での出来事からアルバムのことを思い出す、
633 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
「信じるよ。そういう月が一つくらいあっても、いいと思う」
634 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
「ななみひゃん? みひぇはいほ」
635 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
僕は、ふたりに気づかれないよう、そっと礼拝堂の扉を閉めた。
636 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
『ね、すごいでしょう?』
637 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
どうも、駄目の意味が違ったらしい。
638 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
わからなかった…これ以上、何を言ってあげたらいいのか。
639 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
「空を飛べるウサギは、風船ウサギだけですからね」
640 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:31 ID:tXea6kO00
和泉ちゃんが用意してくれたパラソルの日陰に腰を下ろした。
ID:dLfKfN9h0
よくやった
642 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:39:42 ID:rnfQ5mY90
なんだこのスクリプト?怖い
643 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「庄一の、家?」
644 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「行くよ。雪さんとも約束したから」
645 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「和泉ちゃんと同じ、っていうのを期待されると困るけどね」
646 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
夢の中だ。
647 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「? うん…」
648 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「雪ちゃんはボクのママ。あと、ボクだけじゃずるいから、透矢ちゃんのお嫁さんにもしてあげる」
649 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
と言って、バシャリ。
650 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「キミまでそういうことを。どうせ普段の私は駄目駄目ですよー」
651 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
先っぽについたふわふわが、動物の尻尾みたいにゆれて可愛い。
652 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
むしろ、和泉ちゃんと、僕がいるから来ないんじゃないか、って気がした。
653 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「…好きな人、いるんじゃないか」
654 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ぁ…えと…」
655 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「そのための、エスコートですわ」
656 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「笑うことだよ〜。透矢くん、この話をすると、最後に必ず“まいったな”って言うんだもん」
657 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「だって…図書館だと、那波ちゃんと庄一くんがいるし…」
658 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「あ、ああ…大丈夫だから、戻ってきてくれないかな?」
659 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
いつの間に、眠ってしまったんだろう。
660 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
だから、簡単に逃げてしまうことができたのかもしれない。
661 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「花梨、休憩にしよう」
662 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「他に、言葉がなかっただけです」
663 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
大会が終わって、夏休みも終わる。
664 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
隠れん坊を見ていて、怖くなったなんて言えるものか。
665 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
マリアちゃんがそれに対抗。
666 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「大丈夫ですか? なんでしたら、明日、こちらから伺うでも…」
667 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
しかし――
668 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
『私、正直あなたのこと嫌いじゃなかったわよ…』
669 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「…大好き? 本当に?」
670 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ご主人様に気をつかわせてしまうなんて本当に、今日の雪は駄目ですね」
671 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「って、僕に言われても。防空壕の事は僕も興味があるし…ふたりでさっさと終わらせて、三人で遊ぼう」
672 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ええ。雪の両親の」
673 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ぅぅ…?」
674 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「いつか、幸せな終わり方ができるように頑張ってくださいな」
675 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「目が覚めたって、優しくするよ」
676 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ぅぁぁ…っく…ぅ…」
677 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
和泉ちゃんが、短冊を、扇状に広げて見せた。
678 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「申しわけありません。そこは、雪にも、よくわからなかったんです」
679 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「ああ…指を切った時も、そんなこと言ってたもんね。こういう時の薬も、やっぱり駄目なんだ?」
680 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「鈴蘭ちゃんじゃなくて?」
681 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
言葉をつなぎあぐねる僕に、彼はおもむろに右手をさし出してきた。
682 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
「やっ、やぅ…嘘っ…吸っちゃ、やぁ」
683 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:51 ID:RewkOmNv0
そう言って雪さんは軽快な足取りで出て行ったと思うと、食堂の椅子を持って帰ってきた。
684 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「ついさっき。集中してたから、声、かけづらくて」
685 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「花梨はどうしたんだ?」
686 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「で…デートって言ったって遊ぶところなんかないし、適当に食べて話して、っていう感じだけどさ…」
687 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「庄一はだまってて!」
688 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「はぁー、疲れるわロクでもない話を聞かされるわじゃ、参っちゃうよ。早いとこ帰ってお昼にしよう」
689 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
休みに入ったのに、家を空けている時間が意外と長いからだろう。
690 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「許せません。お詫びに、わたくしと一緒にお祭りに行ってくださいな」
691 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
花梨も、この二日は顔を出していないしなんの連絡もなかった。
692 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
さらっとした言葉の中に、命がかかるほどの重さは、ふくまれていなかった。
693 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「ご、ごめんね、庄一くん」
694 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「そういうことですわ。ここから、さきほどの、お話につながりますの」
695 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
和泉ちゃんはいない。
696 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「口には出してないけど、ってこと」
697 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
部屋に、入りたい。
698 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「気になさらずに。さ、おしゃべりはこれくらいにして、お勉強を始めましょう」
699 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
そのうち、スリットに差し込んだ手が、薄い布を掴んだ。
700 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
別に何を考えるわけでもなく、僕は彼女の名前を呼んでいた。
701 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
ぜんぶ、アリスの言葉だ。
702 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
そう…あんな夢を見たのは、昨晩、雪さんに添い寝なんかしてもらったせいに違いない。
703 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「…ふふ。ね、透矢さん。たまには、雪とハイキングにでも行きませんか?」
704 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
雪さんと入れ違いに入ってきた、看護婦さんの言葉が思い出される。
705 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
それに、僕は確か牧野さんのとなりで…
706 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
雪さんと、一緒に――
707 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「思いきり息を吸っておいて。途中で大変なところがあるけど、そこを抜ければ、あとは…」
708 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
つまり、まさに晴れ舞台なわけだ。
709 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
至れり尽くせりの夜食に満足して、僕はぼんやりとさっきまでのこと――彼女のことを振り返っていた。
710 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
自然と顔がほころんでしまう。
711 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「も、もう…鈴蘭ちゃん、私と一緒に短冊飾ろ」
712 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
和泉ちゃんは、僕らから目を逸らし、何も言おうとしなかった。
713 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「知ってるけどね。じゃあ聞くけど、キミから見て、私と雪、どっちがきれい?」
714 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「透矢さんの前でだけ…」
715 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「そう、その気持ちがあれば大丈夫」
716 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「ひゃっ! お、おねーちゃん…」
717 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
死んでしまった母さんだろうか。
718 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「風船ウサギが餅つきをするって、想像するとすごい絵だなぁ」
719 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:52 ID:RewkOmNv0
「っぁ…はぁ…どうして?」
720 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
どこかで見た光だと思ったら、僕の首から下げている涙石の光に似ていた。
721 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「い、いい…」
722 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「恋は盲目だからね」
723 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「夢で見た川、見つかるといいですわね」
724 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
僕の家の前で待っていたのは、僕を頼りにしてきたっていうことだ。
725 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
とにかく、無言で本を読み続けている。
726 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「なんで…って…」
727 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「おかげさまで…」
728 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「いったい、何を…」
729 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
とんでもないことを言い始めた。
730 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
背筋に寒気のようなものが走り、一気に射精感が高まる。
731 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「僕も大丈夫だと思うけど…」
732 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「ちょっと待ってよ。何がなんだか…」
733 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「謝って」
734 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「わかりました。今夜は、わたくしと一緒に眠りましょう」
735 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
(にしても、この子は)
736 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
「言い訳しないの。ほら、そろそろお昼にするから、ふたりとも上がんなよ」
737 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:53 ID:RewkOmNv0
僕の表情から何かを見て取ったのか、ずいぶん殊勝な事を言い始めた。
738 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「だって…私には…その力が…」
739 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
太陽と、雪さんの匂いがしたベッド。
740 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
一見、何も考えていないようで、彼女はちゃんとそういうところを選んで歩いていたんだ。
741 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「ん…」
742 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「ぅ…ぅぅ…」
743 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「あの」
744 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「…だけど、僕は」
745 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「絶対に嫌」
746 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「那波と、読んでみませんか?」
747 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「どうしたの、ふたりとも?」
748 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
彼に聞かれたくないらしい――手を引かれた。
749 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「あ…それから、ええと…」
750 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「気をつけろ、透矢。こいつはホントにやる女だから」
751 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「でしたら、これは?」
752 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
そんな素っ気ない引き出しの中に、可愛らしい封筒がまぎれ込んでいた。
753 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
笑顔の雪さんと見つめ合ったまま、僕はショーツを下ろした。
754 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「…旦那さま」
755 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
背筋に、冷たいものが走った。
756 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「寝ないと、治らないよ」
757 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「僕と牧野さんみたいだったけど、いつもと雰囲気が違ったね。過去って雰囲気でもないし…」
758 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「み…み、やしろ…………みやしろ!?」
759 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「うん。大変だろうけど、また明日もよろしく」
760 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
限界だ――僕はすっぽ抜けてしまう寸前まで腰を引き、
761 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「雪さん、聞こえる?」
762 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
雪さんが僕を守るように前へ出た。
763 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「…そうですね。ちょっと残念ですけど、そうしましょうか?」
764 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「で、マリアは何を見たの?」
765 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
そんな素っ気ない引き出しの中に、可愛らしい封筒がまぎれ込んでいた。
766 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「こらこら、駄目だよ」
767 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「そこまではわからないよ。僕が牧野さんと話したのは、そういうことじゃないんだ」
768 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:54 ID:RewkOmNv0
「強い子ね、透矢は」
769 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
雪さんのように、優しくなれなかった。
770 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
写真の様子から、三人の関係は今とそれほど変わっていないんだということが見てとれた。
771 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
だから、常識的に言えば無いはずだ。
772 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
相変わらず容赦がない。
773 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
狭い室内に、すえたような匂いが充満する。
774 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
休みも明け、テスト期間に入った。
775 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
それでも、試合の応援には来たらどうかと花梨も庄一も言う。
776 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「寝ないと、治らないよ」
777 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「今回は、特に花梨ちゃんの得意なところが出るみたいだもんね」
778 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
こらえていたものが、一粒、こぼれ落ちた。
779 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「ううん。ごめんね、なんでもないから。ばいばい」
780 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「するな!」
781 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「あっ、すみません、香坂マリアです!」
782 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:55 ID:RewkOmNv0
「気持ち悪い?」
783 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「うん…少なくとも、この風景に関してはね。どこまでが本当かは、わからないけど」
784 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
『っ…ごめっ…きらいに、ならないで……がんばる…がんばるからぁ…』
785 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:39:56 ID:PC44HEge0
ナイス荒らし
芸スポはじめてだけど
誰このトリ
786 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「やめんか!」
787 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
『っ…たくし、わたくしも、ごいっ…しょさせて…くださいな…っ』
788 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「近いうちに、行くから。バイバイ…」
789 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「それじゃあ…ずっとここにいて」
790 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
ふとももにまとわりついた愛液を舌で舐めとりながら、僕は、彼女のお尻の隙間に手をもぐりこませた。
791 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「ひょっとして僕、今まではテスト前でも部活に出てた?」
792 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
ひとしきり、柔らかな感触を楽しんだ僕は、胸から手を離し、彼女の頭をかかえこんだ。
793 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
「そんなに怒らなくてもいいじゃない」
794 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
あまりいじめるのも可哀想なので、僕は前のほうでも愛撫を再開することにした。
795 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
雪さんがここに来たのも、彼女のお願い攻撃があってのことだし。
796 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
マリアちゃんまで手が回らないのは申しわけないけど、今日はアリスの奴隷だから諦めてもらおう。
797 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
くわえこまれた僕のものに、また、どろりとしたものがつたう。
798 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:56 ID:RewkOmNv0
マリアちゃんのお母さんが消えた、という事実に敏感になれないのも、きっとそのせいだ。
799 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「うん。やわらかいし、可愛いと思う」
800 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
僕に、もっと気を配るだけの余裕があったなら、
801 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
(ホント、服ひとつで化けるよなぁ…)
802 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
夢は、いつか覚めるんだ。
803 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「雪、朝食の支度がありますから、失礼しますね」
804 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「大丈夫、私が手配するよ」
805 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
マリアちゃんは、おもむろに、手を上下にゆすりはじめた。
806 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「そっか…そうだよね。ごめん、つき合ってあげられなくて」
807 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
悪びれた様子もなく、花梨はぺろっと舌を出して笑った。
808 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「ハンカチに決まってるじゃない。夕方くらいなら、だいたい家にいるから」
809 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「何があったのか知らないけど、そんな暗い顔しないで。ね?」
810 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
僕が彼女を殺してしまったのは…
811 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
“ずざざざざざざざ!”
812 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
なんなんだ…タチの悪い、夢でも見せられているのか?
813 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「そう。じゃあ…うん、良かったね」
814 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
彼女はやけにはしゃいでいた。
815 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「娘さんは、あまり似ていないようでしたけど」
816 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「戦争、とか?」
817 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
写真をながめているだけじゃ、たぶん、記憶は戻らない。
やだ・・・怖い><
819 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
もちろん、わかってて言ってるんだろうけど…。
820 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「私が言うまでもないだろうが、あれは、キミのことを好いているぞ」
821 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
僕は走った。
822 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
毎日のように練習していた、あの構え。
823 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「花梨は大丈夫だよ。信じてあげなきゃ」
824 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「透矢さん、暑そうですね」
825 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「透矢くん、お待たせー」
826 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
すると、追い打ちとばかりに、湿った空気の向こうから、不気味な音が聞こえてきた。
827 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
マリアちゃんは、おもむろに、手を上下にゆすりはじめた。
828 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
恥ずかしそうにうつむき、短冊もふせてしまった。
829 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
雪さんに見送られ、玄関をくぐる。
830 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
“スカッ、コツン、バシャッ!”
831 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:57 ID:RewkOmNv0
「透矢さん、読書が好きでしたの?」
832 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
それでも、つかんだ手の温もりと、笑顔だけは、確かに存在している。
833 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「正直、気にはなるよ。でも、好きとかそういうのとは違うからね。僕には雪さんがいるし…」
834 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
私は、あの時、とにかく泣いていたのだと記憶している。
835 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「借りたものを返しただけ。さっ、用が済んだら帰って帰って」
836 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「へ? あっ、こんばんは」
837 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「ふわぁ…っは…透矢ちゃぁ…ん…」
838 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
にやつくばかりの僕に、雪さんは真顔になって、
839 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「透矢さんがいてくださったから、平気でいられたんですよ」
840 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「北極星を指していただけますか?」
841 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「ふぅ。まったく、こんな変態さんだって知ってたら…」
842 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
こうして比較すると、とても入りそうにない。
843 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
(白日夢だった、っていうことか?)
844 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「ぃぅっ…」
845 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「…にぎわっていますわね」
846 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「旦那さまぁ…」
847 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
花梨だからきっと大丈夫と、無責任に考えていたのかもしれない。
848 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:39:58 ID:RewkOmNv0
「ひっ…んぁ…っぁぁ…ぁ…」
849 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:40:02 ID:qgeRYA9o0
スクリプト早過ぎワロタwwww
850 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:08 ID:Iz+E6faO0
独特の張りつめた空気。
851 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:08 ID:Iz+E6faO0
ひょっとしたら、誰かいるかなと思った道場には、残念ながら誰もいなかった。
852 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:08 ID:Iz+E6faO0
ほほえみじゃない、笑顔で。
853 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:08 ID:Iz+E6faO0
「ふふ、無邪気でいいじゃありませんか」
854 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
雪さんが甘い声をあげながら、腰を浮かせるようにして動き出す。
855 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
苦笑する僕に、花梨はわざとらしく眉間をつまんで、何か考え込むようなポーズをとった。
856 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「うん。悪いけど、ホント、ぜんぜん覚えてないから…」
857 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
と、お尻を突き出すマリアちゃんは、なぜか楽しそうだった。
858 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
息をのみ、洞窟の入り口に立った。
859 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「じゃあ、今日はおしまい」
860 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
この人に『申しわけありませんでした』なんて言わせてしまう自分は、いったい何者なんだろう、と。
861 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「小さいほうが好きって人も、けっこういるみたいだし…ねぇ?」
862 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「…ホント、何度もごめんなさい。馬鹿だよね、私」
863 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
押さえるものがなくなった途端、あふれた愛液が太股を伝い流れ落ちる。
864 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「だから、どうしてこんな時間に来たのかなぁ、と」
865 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「しょ、庄一くん! 普通はそんなことしないんだからね」
866 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「それは当然ですけど…どうしたんです、そんなにかしこまって」
867 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
何も…
868 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
夢が、夢じゃなくなってしまった。
869 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「ぁ、ぅ…うん」
870 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「それはまた今度ね。でもさ、見かけたなら、そのとき言ってくれれば良かったのに」
871 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
食材にしろなんにしろ、二人分しか必要がないから大した荷物にもならない。
872 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「キミが素直じゃないだけ」
873 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
なぜだろう…僕はその手を握ることを、一瞬だけ躊躇してしまった。
874 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「そうそう。じゃあ、そんなわけで私は帰るから。アルバム、ちゃんと見ときなさいよね」
875 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:09 ID:Iz+E6faO0
「それだと、何か困ることがある?」
876 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
彼女の足の裏は、赤く染まっていた。
877 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「花梨はそんな子じゃないと思うけど、たとえそうだとしても、僕は、花梨のことが好きだよ」
878 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「川の音ですか?」
879 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「透矢に言ってどうすんだ。そんなにやりたきゃ、最初から自分で…」
880 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「雪さん、目をつぶらなきゃ」
881 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「はは…そんなに恥ずかしがらなくても。仲が良くていいじゃないか」
882 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「理屈を説明しても、仕方がありません。今は、彼女を助けることだけを考えてくださいな」
883 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「…どっちも」
884 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
課題のこともあるし、何より、父さんが何を書いているのかに興味があった。
885 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
僕は腰を、下に叩きつけるようにした。
886 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「那波は、もうじき消えますわ」
887 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「ママを、見てくれたから」
888 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「優しく、してくださいますか?」
889 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
と、指先で何かをつまむような仕草を取った。
890 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
森を抜け、小川へ至る――元々、ここまでは地続きの記憶だった。
891 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「…残念ですわ。せっかく、ふたりでお外に出られましたのに」
892 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
そんな自己防衛のために。
893 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
立っているのか、座っているのかもわからない、夢を見ているみたいに、あいまいな感覚。
894 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
そして僕は、そのまま彼女の体を抱きしめた。
895 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「慣れる?」
896 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「みたい。ええと…瀬能?」
897 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「アリスは頑張ってる。僕は知ってるよ」
898 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「すみませ…んっ、んぅぅ…」
899 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
彼女は、それを承知の上で、ああいう態度をとったに違いない。
900 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「自信、あるんだ」
901 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「…あ、そうですわ。透矢さん、和泉さんの代わりに、レポートのお手伝いをしていただけませんか?」
902 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「僕が憑かれそうだよ」
903 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「透矢さん。あの…」
904 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「女の子相手に恰好つけ過ぎてると、逆に引かれるよ?」
905 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
あきらめて戻ることにした。
906 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「そういえば、雪の部屋にいらしたのは、初めてでしたよね」
907 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
だけど、真剣な顔――しかも涙目――の雪さんに見つめられると、どうにも弱い。
908 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「はぁっ…」
909 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「意外と明るいんだ」
910 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
僕は、唇を重ねたまま、露わになった彼女の局部に手を触れた。
911 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「それも、なんかムカツクわね」
912 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:10 ID:Iz+E6faO0
「普段だって、何?」
913 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「いいけど…ちょっと、やりすぎちゃったかな…」
914 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
儀式を終え、子供みたいに泣きじゃくった花梨。
915 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
交通の便は悪く、つい数年前、ようやく道路の整備もされ始めたかという、そんな場所だ。
916 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「透矢さんも、っ…」
917 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
でも、やっぱり本人にとっては、そんな簡単なものじゃないらしくて…
918 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「夢?」
919 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
だから、本当は海岸に下りてみたいという気持ちがあった。
920 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「僕ぅ?」
921 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「アリスは頑張ってる。僕は知ってるよ」
922 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「それじゃあ、なんですか?」
923 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「きっとさ、嫉妬されてるんだよ」
924 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「んー、和泉ちゃんと仲がいいから、嫌われてるわけだ」
925 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
というか――
926 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
本当に、ちゃんと感じてくれていたんだと、うれしい気持ちになる。
927 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「あら、お父様の本、お読みになられたんですか? 見直しましたでしょう?」
928 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「あんまり…」
929 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
馬鹿げているけど、彼女が僕と同じ夢を見ているのは確かなことだ。
930 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
でも当然、何かがいる気配なんてない。
931 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「捨ててしまわれたんでしょうか?」
932 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
それでも構わなかった。
933 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
篆書――これだ。
934 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
このままじゃ、彼女があまりに報われないだろう。
935 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「俺、見えるんだ。さあ透矢、どっちの言うことを信じる?」
936 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「ありがとう、和泉ちゃん」
937 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「どうして? 僕、別に誰かとつき合ってるわけじゃないし…」
938 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
これが、単なるハイキングコースならともかく…僕たちが今いるのは、まさに山の中。
939 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
夢の終わりが、近いのか。
940 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
ピーターパンから医療の専門書にいたるまで、その数も量もハンパじゃない。
941 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「庄一に、妹?」
942 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
そして、股間にあてがっていた指先で、くわえていたシーツをつかみ、それを口もとへ運んで、
943 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
こんな所で、ここまでする理由がない。
944 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
動物みたいに、くんくんと鼻をひくつかせている。
945 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「返してもらって当然のものなのに、返してくださいとお願いするのは、ちょっとくやしい――ですか?」
946 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
波間にゆれる月みたいに不確かな、その世界の中で出会った僕たち。
947 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
何か、新しい物が流れ込んでくる。
948 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「私たちにだってわかんないわよ。勘だもの…」
949 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
でも、僕には、雪さんやみんながいてくれる。
950 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
向こう側は、そう、暗い死者の国だ。
951 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「もう、からかって。私に褒められたって仕方ないじゃない」
952 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
外に跳ねた髪を指にからめると、花梨はそれだけで、はげしく身をすくませた。
953 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
そして思い出した。
954 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「っく…っ…透矢、私…もぉ」
955 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「やくそく、してくれる?」
956 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
時間は――きのうの調子だと、花梨が来るまで、あと十分っていうところか。
957 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「時間は、人の記憶が作る概念ですの。それ以上のものではありませんわ。あまりお気になさらずに」
958 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
雪さんは、ため息まじりに事情を説明してくれた。
959 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「いいえ、特には…宮代さんは、倒れられましたけど…」
960 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:11 ID:Iz+E6faO0
「え? あ、あの、まだ頑張れますから」
961 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
マヨイガ、神隠し――僕が望んでいたのは、きっとこの空間なんだ。
962 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「それはいけませんよ。中に何があるかもわからないわけですし…鍵を探したほうが良いと思います」
963 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「マリアちゃんが?」
964 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「お姉ちゃんのこと、好きなんだね」
965 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
鈴蘭ちゃんの両手にはミカン飴と綿菓子庄一の両手にはタコ焼きとクレープが握られている。
966 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「ぁ?」
967 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
場内の空気が静かに、色めき立つのがわかった。
968 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「いいわよ。ねえ、透矢」
969 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「ごめん、ちょっと、休みたいや」
970 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
(それにしたって、なんでこんな急に…)
971 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
花梨が指さすほうを見ると、道の小脇にぼんやりと、小さな人影のようなものが見えた。
972 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
「透矢さん、こんにちは」
973 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:12 ID:Iz+E6faO0
鈍感な僕らしい――少しおかしかった。
974 :
冥土で逝く:2009/06/06(土) 23:40:14 ID:IF17bPi40
どういう仕組みよ
975 :
名無しさん@恐縮です:2009/06/06(土) 23:40:16 ID:paY+JYLT0
>ID:RewkOmNv0
もういいから
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/´ ヽ
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| レ'`l
|´・ω・`ノ
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(_⌒ヽ
,)ノ `J
【カエンタケ】
977 :
45:2009/06/06(土) 23:40:20 ID:Avg6om3V0
いまブログみたけどパチンコまでやってるのか・・・
気持ち悪い大人ばかり近づいてくると。高価なプレゼントとか貰ってるだろうけど、
もっと上等な大人と付き合えるように自分を研磨しておけよ。
ゲームで売り出せばゲーム好きなオッサンばかり依ってくるぞ。
978 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
「あら、メイドがちょっと指を切っただけで、血相を変えて手当なさったのは、どこのどなたでしたか?」
979 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
「まあ…今さらか。俺、和泉ちゃんのこと好きだったんだよなぁ」
980 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
「僕は、今のままでも、和泉ちゃんは可愛いと思うし、大好きだよ。それだけじゃ駄目なの?」
981 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
僕なんかが考えているのとは、もう、ぜんぜん別のものなんだろう。
982 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
背中から差した光の中を、こらえきれなくなったものが、輝く雫となってこぼれ落ちた。
983 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:30 ID:G0qtdzir0
「っ…ごめん」
984 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「いっっっ!」
985 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「…えっ?」
986 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
ここまで言わせて…もう、我慢なんて、できなかった。
987 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「なんですの?」
988 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
『人に非ず』
989 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「父さんが? そっか」
990 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
花梨の表情が曇った。
991 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「う、うん。手伝うのは、いくらでもするけど……ごめん、僕はこっちのほうが好きかもしれない」
992 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「マリアがいいって言ったら、私は嫌でもつき合わされるんだってば」
993 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
僕は雪さんを必要としているのに。
994 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「そういうことか」
995 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「う、うん。手伝うのは、いくらでもするけど……ごめん、僕はこっちのほうが好きかもしれない」
996 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:31 ID:G0qtdzir0
「別にいいよ。マリアちゃんも、呼びやすいように呼んでくれていいからね」
997 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:36 ID:G0qtdzir0
「はぁ」
998 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:36 ID:G0qtdzir0
「これが、そうですの?」
999 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:36 ID:G0qtdzir0
「うん。雪には、よろしく言っておいて」
1000 :
◆aLICeotiAI :2009/06/06(土) 23:40:36 ID:G0qtdzir0
僕は、前者ってことだろう。
1001 :
1001:
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