【サッカー/コラム】10代ルーキー活躍の陰にJリーグの選手育成問題あり。

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1鳥φ ★
どうやら今年は、10代ルーキーの当たり年である。大迫勇也(鹿島)、原口元気(浦和)が、その筆頭格。
WBC以降、野球人気に押されがちなJリーグにおいて、彼らの活躍が明るい話題を提供している。

こうなってみると、8大会ぶりにU−20ワールドカップ出場を逃したことが、うらめしい。Jリーグで経験を積み、
成長した彼らなら、世界の列強を相手にどんな戦いを見せてくれただろうか。

しかし、過ぎたことを今さら嘆いていても仕方がない。もはや彼らには、新たな目標に向かって
もらうしかないのだ。4月20日から3日間行なわれたU−20代表キャンプが、A代表スタッフによる
直接指導という異例の形態となったのには、そんな背景があった。

監督の岡田武史が「短時間だったが、モチベーションも集中力も高かった」と話したように、
若い選手たちにとってA代表の威光は、想像以上に大きなエネルギーとなったようだ。このキャンプによって、
彼らがA代表を現実的な目標としてとらえられるようになったとすれば、“特別授業”の意味は大きかった。

ただし、こうした10代ルーキーの活躍の陰には、喜んでばかりはいられない現状もある。

大迫や原口のように、1年目から試合に出られる選手はいい。だが、即戦力になれない選手を
長い目で見て育てられる環境が、残念ながら、Jリーグには備わっていないのだ。

事実、10代ルーキーが華々しく活躍する一方で、じっくりと鍛えられた末に、
3、4年目を迎えてようやくレギュラーに定着した、というような選手があまりに少ない。

それは当然のことでもある。

クラブユースや高校で、年間50、60試合をザラにこなしていた選手たちがプロになった途端、
トップの公式戦に出られなくなり、極端に実戦経験が失われてしまう。

サテライトリーグは申し訳程度の試合数しか組まれておらず、実質機能していないに等しい。
これでは、選手の成長を促すことは難しい。

(続く)
http://sports.goo.ne.jp/soccer/20090508-1-1.html

U−20代表キャンプでも活躍した浦和の原口元気。
http://sports.goo.ne.jp/img/soccer/20090508.jpg
2鳥φ ★:2009/05/08(金) 10:46:35 ID:???0
>1の続き
結果、Jクラブの新人補強は大卒に頼る傾向が強まっている。いわば、大学に“期限付き移籍”させ、
実戦で鍛えてもらうわけである。今年も渡邉千真(横浜)が開幕戦からゴールを決めたように、
近年、大卒ルーキーの活躍が目立つことは、選手育成の現状を、そしてJリーグが抱える問題点を
端的に示している。

選手育成という観点に立てば、大迫や原口以上に注目すべきは、山本真希(清水)のような事例だ。

山本が3年目までに出場したリーグ戦は、計5試合に過ぎない。しかし、4年目の昨年11試合に出場すると、
5年目の今年ついにレギュラーに定着。開幕戦から先発出場を続けている(6節終了時)。

5年目ということは、大卒ルーキーの1年目と年齢的には同じである。ところが、現実にはこの程度の
実績しか残せず、同じクラブで4、5年目を迎えられる選手は少ない。 公式戦にほとんど出場できずに、
クビになる不幸なケースを避けるためにも、大学を最大限に活用する。確かに、賢明な一手かもしれない。

しかし、山本のような選手がコンスタントに輩出されなければ、Jリーグの選手育成が本来の機能を
果たしているとは言えないのではないか。 規格外のスーパールーキーたちよりも、ようやく花開いた
遅咲きのボランチにこそ、未来へのヒントは隠されているように思う。(浅田真樹=文)