どうやら今年は、10代ルーキーの当たり年である。大迫勇也(鹿島)、原口元気(浦和)が、その筆頭格。
WBC以降、野球人気に押されがちなJリーグにおいて、彼らの活躍が明るい話題を提供している。
こうなってみると、8大会ぶりにU−20ワールドカップ出場を逃したことが、うらめしい。Jリーグで経験を積み、
成長した彼らなら、世界の列強を相手にどんな戦いを見せてくれただろうか。
しかし、過ぎたことを今さら嘆いていても仕方がない。もはや彼らには、新たな目標に向かって
もらうしかないのだ。4月20日から3日間行なわれたU−20代表キャンプが、A代表スタッフによる
直接指導という異例の形態となったのには、そんな背景があった。
監督の岡田武史が「短時間だったが、モチベーションも集中力も高かった」と話したように、
若い選手たちにとってA代表の威光は、想像以上に大きなエネルギーとなったようだ。このキャンプによって、
彼らがA代表を現実的な目標としてとらえられるようになったとすれば、“特別授業”の意味は大きかった。
ただし、こうした10代ルーキーの活躍の陰には、喜んでばかりはいられない現状もある。
大迫や原口のように、1年目から試合に出られる選手はいい。だが、即戦力になれない選手を
長い目で見て育てられる環境が、残念ながら、Jリーグには備わっていないのだ。
事実、10代ルーキーが華々しく活躍する一方で、じっくりと鍛えられた末に、
3、4年目を迎えてようやくレギュラーに定着した、というような選手があまりに少ない。
それは当然のことでもある。
クラブユースや高校で、年間50、60試合をザラにこなしていた選手たちがプロになった途端、
トップの公式戦に出られなくなり、極端に実戦経験が失われてしまう。
サテライトリーグは申し訳程度の試合数しか組まれておらず、実質機能していないに等しい。
これでは、選手の成長を促すことは難しい。
(続く)
http://sports.goo.ne.jp/soccer/20090508-1-1.html U−20代表キャンプでも活躍した浦和の原口元気。
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