CDの売れ行き不振が続く音楽業界で、唯一景気が良いとされるのが、コンサート関連ビジネスだ。
なかでもドル箱は、夏の野外フェスティバル。草分け的存在であるフジロックフェスティバルをはじめ、
洋楽、邦楽問わず、全国各地で多数開催されており、10万人を超える集客をほこるイベントも少なくないという。
しかし、野外フェスティバル人気のピークは過ぎたのではないか、との指摘も出ている。イベント関連会社スタッフが
声を潜めて話す。「どんな野外フェスティバルも大盛況だったのは、2006年ごろまでの話です。
一昨年あたりから動員数が減りはじめ、地方の野外フェスの中には、採算割れを起こして
規模縮小を余儀なくされたものも出ています」
野外フェスティバル人気の陰りは、地方イベントだけでなく、全国規模の人気フェスティバルにも波及しているという。
「どのフェスも、チケットの売れ行きが落ち込んでいます。数年前までは、大手のフェスではチケットが即日完売するのも
当たり前でしたが、昨年はどこも苦戦した様子。『完売』とうたいつつも、実際はチケットが大量に売れ残ったケースも
あると聞いています」(前出のスタッフ)
チケットの販売不振が、イベント運営の成否に直結しかねないのは、洋楽アーティスト主体の野外フェスティバルだという。
「邦楽アーティスト主体のフェスの場合、"CDのプロモーション"という名目で、出演料が
低く押さえられているため、そもそもの利益率が非常に高いのです。一方、洋楽アーティストが
主体のフェスの場合、時には億単位の出演料を支払うこともある。そのため、チケットの売上収入を
当てにした"自転車操業"に陥っているケースが多いのです。
ある洋楽系の大手フェスを手がけるイベント運営会社に、某大手レコード会社が大物バンドの
招聘資金を貸し付けた、という話も出ています」(レコード会社スタッフ)
確かに、洋楽系の野外フェスティバルでは、ここ数年邦楽アーティストの出演数を増やす
傾向がある。これは邦楽人気の盛り上がりに加え、主催者の厳しい台所事情と無関係ではないかもしれない。
いずれにしても、右肩上がりで成長を続けてきた野外フェスティバル界は今、
正念場を迎えているといえそうだ。
http://www.cyzo.com/2009/04/post_1875.html