【文芸】近代文学が失ったもの−書評「漱石の漢詩を読む」:古井由吉・著

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1 ◆Robo.gBH9M @ロボ-7c7cφ ★
◇近代文学が失ったものを想起する
夏目漱石はすぐれた漢詩の作り手であり、その作品を高く評価する吉川幸次郎の
『漱石詩注』をはじめ、多くの訳注や研究書が刊行されている。「修善寺の大患」と
「『明暗』の頃」の二部から構成される本書は、吉川幸次郎の注釈を踏まえつつ、
独自の視点から深く漱石の漢詩を読みこみ、小説家漱石の深層を照射する。

漱石は若いころから漢詩を作っているが、「修善寺の大患」の時期と「『明暗』の頃」は、
漢詩作者としての「絶頂期」にあたる。「修善寺の大患」とは、明治四十三年(1910)、
重い胃潰瘍にかかった漱石が修善寺で転地療養中、大吐血し人事不省に陥ったのを
機に、一群の漢詩を作った時期を指す。また、「『明暗』の頃」とは、その六年後の
大正五年(1916)、死を目前にした漱石が約百日間、午前中に連載していた『明暗』の
執筆を終え、午後に日課として漢詩(七言律詩)を作った時期である。著者はこの二つの
時期に作られた数首の漢詩をとりあげ、緻密(ちみつ)に読み解きながら、漱石の漢詩の
特質から、漢詩という表現形式がもつ近代文学とは異質な特性、あるいは可能性に
至るまで、縦横に語り尽くす。

「修善寺の大患」を機に作られた漢詩はおおむね死地を脱し、回復期にさしかかった
漱石の安堵感や解放感に浸されているが、なかには、霊的現象や幻覚など、病者の
とぎすまされた異常感覚を鋭く歌いあげた作品もある。著者は当時書かれたエッセイ
『思い出す事など』を自在に引用しながら、この時期に作られた漱石の漢詩を鮮やかに
解読してゆく。こうした著者の語り口によって、流麗にとぎれなく言葉を連ねながら、
説きすすめてゆく漱石の日本語による散文と、言葉を選びぬき、詩的感情の頂点を
凝縮した形で歌う、その漢詩との根本的な差異が、自ずと明らかにされてゆくさまは
圧巻というほかない。

http://mainichi.jp/enta/book/news/20090329ddm015070029000c.html
2 ◆Robo.gBH9M @ロボ-7c7cφ ★:2009/03/30(月) 21:51:59 ID:???0
「『明暗』の頃」に作られた漢詩は、この「修善寺の大患」の時期とは異なり、漱石自身の
体験や心境と直接結びつけにくいものが多い。漱石は『明暗』を執筆中、登場人物に
違和感を覚えながら、さまざまな説明、形容、分析を書き連ねてゆく操作をつづけるうち、
「俗了」つまり俗気に骨の髄までおかされる危険を覚え、そこで、「何とか自分を取り
戻す」ために、午後になると漢詩を作ったという。著者は、こうした最晩年における漱石の
多様な漢詩群、すなわち静寂の境地を歌った詩篇、これとは対照的な、気迫や諧謔に
あふれた詩篇等々をとりあげ、「近代の文学は、どうしても一つの個を提示しなければ
ならない。

それに対して、漢詩では包括的な自我を表せる。歴史的な自我も表せる」と、きわめて
注目すべき見解を提示する。限定された字数で、しかも厳格な韻律の法則にのっとって、
圧縮された詩的小宇宙を形成する漢詩の世界においては、むろん表現対象への委曲を
尽くした説明などありえず、主語もなければ時制もないのがふつうだ。著者の言のごとく、
それはまさしく凝縮した形で、多様な要素を「包括」する世界なのである。こうして漱石の
漢詩から近代文学の失ったものを想起する、著者の問題意識は鋭敏きわまりない。

本書は、漢文や漢詩を遠く離れ、微妙さを喪失しつつある日本語に対する危機感をもち、
中年以降、積極的に漢籍に親しむ著者が、漱石の漢詩を素材として「思いの丈」を語り
尽くした、秀逸な漢詩論であるとともに、卓抜な日本語論、近代文学論ともなっている。

井波律子・評
古井由吉・著(岩波書店・1995円)
3名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:52:48 ID:RCTuHF6yO
>>3
パン買って来い
4名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:53:43 ID:EqJ4sfXh0
>>3
いってらあとジャンプもな
5名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:53:51 ID:hSkJ5bm40
隣町のな
6名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:54:54 ID:AxUOlwp80
優駿読んでた頃は、日本文学を背負う人だとは知らなかったぜw
たんなる競馬好きのおっさんなコラムだもんな
7名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:55:00 ID:CBZ7JmDm0
漢詩の素養があったら格好いいだろうなー
8名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:57:21 ID:dEuvZn1Q0
国破れてサンガリア
9名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 21:59:18 ID:2TcsfrdX0
律詩までつくってるからなあ、
絶句ぐらいなら三ヶ月あればどうにかなるが。
10名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:02:36 ID:rp4NrZYX0
日本人が作った漢詩って中国語としては正しいのかな
11名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:02:36 ID:v77ILCplO
古井由吉でスレ立てとは芸スポはじまったな
12名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:03:13 ID:JCrm2EDmO
漱石の欧米、中国への距離感が日本文学を作った。

てのはどうだい?
13名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:03:32 ID:caD9ja2I0
時代遅れ
14名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:05:32 ID:C3iPQyoe0
國破山河在 城春草木深
15名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:06:17 ID:Pn7HOBgx0
「こんな日もある」だったっけ
難しくてよみとばしてた
16名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:07:29 ID:tK5DgU480
村上春樹なんてラノベ作家じゃなく、次の日本人ノーベル文学賞は古井が受け取るべき。
17名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:08:04 ID:ju92glhX0
言語はもちろん文学も時代と共に変化していくもの
古いものをみてノスタルジーに浸るのは結構だがね
18名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:09:17 ID:CWW3+YWI0
此処敷居高電子網
19名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:10:14 ID:QUDLOzUf0
漢詩や漢文は日本語じゃないから
20名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:13:03 ID:Boqwibdo0
中国なんか漢字自体失ってるだろ?
21名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:13:38 ID:qbuP5k0r0
古井由吉かあ
大昔に読んだ「杏子」は面白かった
今読んだらどうなんだろう
22名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:14:24 ID:TvIoaJyI0
鴎外は漢詩作ってなかったの?
23名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:14:24 ID:AxUOlwp80
>>10
漢詩を世界で一番研究してるのは多分日本じゃない?w
しかし古井由吉っていったらドイツ語の人ってイメージだったのに、漢詩もやってたのか・・・
>>15
コンクラーベって馬を根比べに掛けてたのは強烈に覚えてるw
その人がこんなことやってるんだから面白いね
24名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:14:40 ID:fYZ+t3nT0
>>19
漢詩や漢文は中国語でもないから
25名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:15:42 ID:uy6sGxwU0
競馬関連のしか読んだことない
26名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:16:54 ID:C3iPQyoe0
莫道風塵老
當軒野趣新
竹深鶯亂囀
清晝臥聽春
27名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:21:25 ID:DTR6lgd70
『表現者』の西部邁と古井由吉の対談は圧巻だったな。
未だに覚えてる。
28名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:21:34 ID:Z2WEoy9PO
芸スポで古井かよw 現代最高の日本人作家だ
29名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:31:04 ID:mYlVdDXH0
>>10
正しいし、詩韻韻目表があるので、ちゃんと韻も踏んでるよ。
漱石の漢詩も中国で評価もされてる。

>>22
作ってる。
この時期の学のある人は、みんな和漢洋の学問を修めてる
30名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:32:37 ID:AxUOlwp80
>>21
杳子なw
今読んだらどうだろう?
この人の特徴の、一行たりとも読み飛ばせない感じは当時からあったと思うけど
31名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:37:13 ID:hHCPkcTrO
白髪三千丈
32名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:37:32 ID:OcPkvOBx0

19世紀までは漢文は東洋の教養人では共通言語であった。
古くは南蛮船が漂着した時などは中国人船員の書く文章で
通訳していた。
33名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 22:43:03 ID:7zAE3+jLO
>>28
確かにw
古井先生のスレが芸スポに立っているとは、物凄く驚いたww

個人的には、現代日本のNo.1作家だと思っている
34名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 23:06:01 ID:dentQ0/WO
現代最高の作家は乙一だろ
ライトノベルに対する偏見さえなかったら各種文学賞総なめしてるはず
35名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 23:12:24 ID:T8oAWRVr0
意味不明でもひたすら音読しまくってると意味がわかってくるという不思議www
36名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 23:15:31 ID:37YjhhfF0
現代の作家の誰がどう頑張ったって
方丈記や奥の細道みたいなものが書けるわけないからな
37名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 23:18:52 ID:R3evpyrq0
も・・・文学・・・
38名無しさん@恐縮です:2009/03/30(月) 23:31:16 ID:rL5yQq++0
漱石あまり評価出来ないんだよな
個人的評価は古井の方が漱石より上だわ
39名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 00:05:18 ID:wldHnr7w0
方丈記は日本史上最高傑作

異論は認める
40名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 00:16:02 ID:IkAnVtgh0
漢詩は論理性がないから、ディスカッションにはむかない。
酒宴の席にむいている。
41名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 00:16:11 ID:JZuch5oz0
古井先生の字は個性的過ぎて400字詰めの生原稿を完璧に読める人なんてそうはいないんだぜ。
判らない字があるので教えてくださいと電話で伺ったらとっても気さくに教えてくれたんだぜ。
あれだけいっぱい書いてる競馬関係の文章がごく一部しか単行本化されてないのは何故なんだぜ。
42名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 00:19:43 ID:0rlcg1I30
雨月物語だろ
43名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 00:22:47 ID:pxwotMEE0
うちのご近所さんだ。
気さくな馬好きのおじさんかと思っていたら、その後に純文学の大家だと知ってびっくりした。
44名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 01:17:59 ID:bckneb9a0
古井先生人気だなw
45名無しさん@恐縮です:2009/03/31(火) 01:21:08 ID:ZDD10tcJO
セクハラ大魔王だって噂の真相に書いてあったな
同年代に大江や古井が居た蓮實重彦には同情する。そりゃ自分より力量が劣る人間を罵倒したくなるわ。
46名無しさん@恐縮です:2009/04/01(水) 12:36:22 ID:3U0wZipXO
漢籍があっという間に廃れたのは不思議
47名無しさん@恐縮です:2009/04/02(木) 08:42:32 ID:c9sxFEUG0
漢字検定は大人気になたのにな
48名無しさん@恐縮です:2009/04/02(木) 21:38:19 ID:cS56V4H80
楽天記のばんえい競馬の話、よかったなあ
初期の力の入りすぎの小説より、エッセイだか小説だか分からなくなってくる頃がいいね
49名無しさん@恐縮です:2009/04/02(木) 21:40:20 ID:A41PRI2h0
>>47
あれクイズとかパズルみたいなもんだからな
50名無しさん@恐縮です
少年易老難学成

ちがうなぁ・・・思い打線