独立リーグで、常に強調される理念が『地域密着の球団経営』だ。
各球団は地域との交流を重視したイベント、ボランティア活動を通して球団の存在意義を高め、
ファンの関心を呼ぼうと懸命の努力を重ねている。
「ここで野球をやる環境を与えてもらっている。
選手には、そのお返しという考えでやっていきなさいと言ってます。
でも、われわれの球団にとって、こういう活動こそが“命綱”だとは思っています」
そう語るのは福井の清水昌勝球団社長。北信越ベースボール・チャレンジ(BC)リーグに参入1年目の昨季、
主催した36試合のうち、試合後の野球教室を20回開いた。
小学校の登下校の際にはユニホーム姿の選手たちが輪番で通学路に立ち、安全確保の監視役を務めた。
さらには子供のいる家庭を選手たちが訪問、一緒に夕食を囲み、親交を深めるプランも実行された。
「小さいことから、しっかりとやっていかないと、地域に受け入れてもらえない」
と語るのは四国・九州アイランドリーグ(IL)福岡の江口信太郎球団代表。
福岡も福井同様、選手たちが登下校時の見送りで通学路に立つ。
試合前は球場前でファンを出迎え、試合後は見送り、
サインや写真撮影に応じるのは両球団とも、もはや当たり前の光景になっている。
それでも、参入初年度の昨季の観客動員は、福井も福岡も各リーグのワースト2位。
多様な地域貢献活動やイベントを展開しながらも、
観客動員に直結する即効性が見えてこないというジレンマは、否定できない。
>>2以降に続く