(
>>3の続き)
−−その時点では、松井自身も翌日の手術に同意していた?
「そうです。病院を出て、ニューヨーク市内の和食店で昼食の稲庭うどんをすすりながら、
僕が『いきなり明日手術とは大変だな』と話しかけたとき、松井は『しようがないよ』と淡々と
していました」
−−ところが、180度ひっくり返った
「3人でヤンキースタジアムに到着し、関係者入り口をくぐると、クラブハウスへ続く薄暗い
通路を歩きながら、松井はなぜか屈伸をしたり、足をクネクネ動かしたりし始めました。その
間、1分30秒ほど。クラブハウスに着き、自分のロッカーの前に腰を下ろしてからしばらく
すると、『ちょっと、イサオちゃん』と僕を手招きした」
【目が違った】
−−何の用か、直感は?
「いいえ。松井が『イサオちゃん、まだ間に合うかな?』と聞いてきても、そのころ松井から
ミュージカルのチケットか何かを頼まれていたので、僕は『何が? チケット?』と聞き返した
ほどです。すると松井は『違う、違う。手術を受けるのをやめると言ったら、まだ間に合うかな』
と言うので、びっくりしました。『なんかちょっと、歩ける気がしてきたんだよね』なんて言い
始めたのです」
−−ヤンキースタジアムに入ってからの約1分30秒間に、どんな心の動きがあったのか
「『待てよ、明日手術だとすると俺はもう、この大好きなヤンキースタジアムでプレーでき
ないのか?!』と考えたのではないでしょうか。だって、ヤンキースタジアムは今年限りで
86年の歴史を閉じ、壊されてしまうのですから」
−−松井の心変わりに対して、球団首脳の反応は?
「最終的には、松井の意向を尊重してもらえることになりました。ただし、『ひざに水がたま
ったら即手術だからな』と念を押されました。特にキャッシュマンGMは『(手術を回避する
のは)理解しがたい』という感じでした」
(
>>5に続く)