【音楽】坂本龍一さんに聞く…「ネットの普及で音楽の経済的な価値は限りなくゼロに近づいた」[12/18]

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1 ◆kyaku/V3ok @自由席の観客φ ★
 インターネットの普及、とりわけ近年の動画サイト人気は「音楽表現のありよう」を
大きく変えつつある。レコード会社に属さずに音楽活動をすることがさらに容易になり、
テクノロジーの進化は新しいポピュラー音楽の形を生み出す可能性を秘める。一方で
ネットは「何のために表現するのか」という根源的な問題を職業音楽家に突きつけて
もいる。ネット時代にどんな思いで創作しているのか。米ニューヨークで活動する作曲
家の坂本龍一らに聞いた。

――ネットの普及で、音楽はどんな影響を受けたのでしょうか。

 「レコードからCD、ネット配信へと媒体が進化し、複製と流通コストが下がったことで、
1曲あたりの販売単価は下がった。簡単にコピーやダウンロードをできるようになり、
違法な複製も日常化した。音楽の経済的な価値は限りなくゼロに近づいてしまった。
これは予想していなかった」

――ネットに期待をしてきた?

 「ネットは一種の民主化を起こした。それはよいことだと思っています。かつては、
多額の投資をして工場を運営する一部の人や企業しか音楽の複製と頒布ができな
かったが、この独占が崩れた。ネットの登場で、工場もお店もいらなくなった。質を
劣化させずに、大量複製ができるようになった。誰でも曲を発表し流通させることが
できる。プロとアマチュアの境目はなくなりつつある。マイスペースなどネット空間で
は素人も有名人もフラットに扱われる」

 「『著作権』以前の時代に戻った感じだ。考えてみれば、著作権という制度で音楽が
守られていたのはたかだか100年余りの話。著作権は作り手を守るための権利と
して生まれたと思っていたが、おおもとは、出版・印刷業者を保護する制度だった。
そんな業者たちがあげる利潤のおこぼれで、作曲家が守られてきたともいえる」

>>2に続く)

画像:マンハッタンの自身のスタジオ=米・ニューヨーク
http://www.asahi.com/showbiz/music/images/TKY200812180212.jpg

ソース:朝日新聞
http://www.asahi.com/showbiz/music/TKY200812180219.html