G大阪西野朗監督(53)が決死の覚悟で欧州王者に挑む。
準決勝マンチェスターU戦前日の17日、試合会場の横浜国際総合競技場で会見。
「限りなくゼロに近い勝率にチャレンジして欲しい」と悲壮感を漂わた。
絶対不利の下馬評の中、96年アトランタ五輪の「マイアミの奇跡」再現を狙う。
マンUはバロンドール(世界最優秀選手)のMFクリスティアーノ・ロナウド(23)が“見えないシューズ”で戦闘態勢を整えた。
もう1つの準決勝は南米代表LDUキトがパチューカを2−0で破り、決勝進出を決めた。
決戦を前に、会見に臨んだ西野監督には悲壮感がにじんでいた。挑む相手は欧州王者、
それも予想スタメンの年俸総額50億円超という超破格スター軍団。力の差は認めざるをえない。
「限りなくゼロに近い勝率にチャレンジしてほしい。わずかな部分(勝利への可能性)を
試合中に持ち続けて欲しい」と選手の奮起に期待した。
アジアチャンピオンズリーグ(ACL)は12試合27得点の超攻撃サッカーで優勝したからと言って、
同じことが通じるとは思っていない。
「おそらくガンバのパスサッカーはやらせてもらえない。ポゼッション(ボール支配)が半分取れるわけがない。
10本以上(パスが)つながってのチャンスはまずない」。
厳しい現実を正面から受け止めた上で、数少ない決定機を生かす。頭にあるのは「マイアミ作戦」だ。
96年のアトランタ五輪ブラジル戦。高く蹴り込んだ球を相手GKとDFが処理ミスし、MF伊東(現清水)が決めて1−0の大金星を挙げた。
「マンUの特徴はプレスの激しさ。ただ、空中にあるボールには誰もプレスはかけられない。
シンプルな球でのチャンスがあるかどうかだと思う」。あの“奇跡の瞬間”を思い描いた。
圧倒的不利を象徴するように、英国から来日中の報道陣10人は会見場に姿を見せなかった。
G大阪がどんなサッカーをするのかは眼中にない。だからこそ、勝てば世界は驚く。
「スピリットを高く持って戦ってほしい」。サッカー史上最大級の番狂わせへ、いよいよ出陣する。
http://www.nikkansports.com/soccer/world/fcwc/2008/news/p-sc-tp0-20081218-441376.html