http://www.cyzo.com/2008/06/post_639.html 昨今ますます熱を帯びている女子アナブーム。
週刊誌では連日女子アナの恋愛報道やパンチラ写真が掲載され、テレビでは
自分の番組を持つ若手女子アナも増えてきている。
こうした女子アナのタレント化を、マスコミ論の専門家はどう見ているのだろうか?
多くの女子アナを輩出したマスコミ講座を主宰する、法政大学の稲増龍夫教授
に聞いた。
(以下、稲増氏・談)
女子アナブームと言われていますが、就職活動中の学生の間では、すでにブー
ムは終わっています。事実、私が主宰している法政大学の「自主マスコミ講座」
でも、アナウンサー講座を志望する学生は減っており、定員30名のところ、昔だ
ったら100人以上の申し込みがあったのに、今は50人前後しか集まらない。
その理由として第一に考えられるのは、テレビ局の採用人数の激減。
私が「自主マスコミ講座」を開講した頃はバブル期だったんですが、地方局の
採用数も含めると、今は当時の3割ほどに減ってしまいました。
それに伴い、地方局の女子アナはほとんどが契約社員採用。
現実的に見て、女子アナという職業自体、学生にとって実現可能な選択肢では
なくなってきているんです。
加えて、運良くキー局の女子アナになれたとしても、今度はスキャンダル報道に
さらされる可能性がある。
いろいろな意味でリスクが高くなり、もはや安易に女子アナを目指せなくなった
のでしょう。
また、キー局の女子アナ採用試験がタレントオーディションと化していることも
影響しているようです。
ただ、採用試験で実施される内容は昔と大差ありませんよ。大きく変わったの
は評価の基準で、ルックスに対する比重が非常に大きくなったんです。
そのため、ミスキャンパス受賞者やタレント活動をしている人が好まれるように
なり、普通のコが採用されづらくなった。
20年前はテレビに出ていることがマイナスだったんですけどねぇ。
あの当時はタレント活動をしていても、それを隠して採用試験に臨んでいたくら
い。テレビ局は自分たちのカラーで育てたいから、最初から色がついているよ
うな学生は嫌っていたんです。
(続きは
>>2以降)
(
>>1の続き)
一方、女子アナのタレント化を憂う声もありますが、テレビ局としては当然の戦略。
テレビ離れが進んでいる現在、女子アナを自局にしか出演しないタレントと考え
ると、ほかの芸能人と差別化できるし、貴重な戦力になる。
女子アナ人気が爆発して視聴率が取れるようになったら、それこそ願ったりかな
ったりですよね。昨今、新人アナが早くから番組を持つようになりましたが、あれ
はモーニング娘。やおニャン子クラブと同じ売り出し方。
成長過程をドキュメンタリーとして放送することによって、視聴者に親近感を覚え
させるんです。また、彼女たちにとっても、出演することで多くのことが学べます。
まぁ、技術的に完成されていない女子アナをテレビに出すのは、深夜枠があるか
ら可能なのかとも思いますけど(笑)。
もちろん、しっかりした技術に裏打ちされた上で、人気を博している女子アナもい
ますよ。中でも、フジの高島彩アナは別格。
「自主マスコミ講座」OBの小島奈津子(元フジ)は聞き上手で人の良さを引き出す
力に長けていましたが、高島アナは番組の調整能力、展開力が素晴らしい。
あと彼女は、スキャンダルを巧みに利用しているという印象がありますね。
常識の範囲内であれば、スキャンダルも話題性につながるし、嫌悪感を抱かれま
せん。
よく女子アナは公人か私人かという議論が交わされますが、私の考えでは、番組
に出ている以上は公人です。
ただ、自由恋愛に関しては放っておいてあげたい部分もありますよね。
彼女たちが普通の若い女性であることはみんな知っていますし、ただ報道価値が
あるというだけでおもしろおかしく記事にするというのは、有名税にしてもかわいそ
うな気がします。
ここ数年、女子アナ本人もさることながら、彼女たちを取り巻く環境が激変していま
す。それによるメリットもあれば、デメリットもありますが、女子アナという仕事は若
い女性が先頭に立って活躍できる希有な職場。銀行や商社に優秀な成績で入った
って、女性が20代で活躍できるなんてことはほとんどありません。
世の中に男女差別があるとすれば、彼女たちはそれを逆手に取っているんです。
実にたくましいことじゃないですか(笑)。(談)