大人への焦り不要
行定監督はごく普通の青春を精いっぱい生きるアキと彼女を「似てる」と言ったが、
本人は「似てないと思います。私はアキほどまじめで素直じゃないし、優等生的でもない。
アキはうそをつかないけど、私はうそをつくから」。
確かに仕事以外のこと、等身大の自分を語る時、口はさらに重くなる。
「自分の性格なんて自分では分かりません。人に言われて気付くことの方が多いと思う」。
恋愛について質問を重ねた時は「どうしてそんな質問ばかりするんですか」と切り返された。
自分の周りに築いた壁からそおっと首を出し、相手の反応を見ながら距離を測っているかのようだ。
その探る方法がしばしば眉間(みけん)のしわ、反語、沈黙になって表れる。
本人の言う「うそをつく」はそういう意味だろう。その分、少ない笑顔に本音がのぞく。
「学校に行くのがすごく楽しいんです。うちのクラスの仲が良くて。行けるときは毎日行きますよ。
普通です」。「オフは友達と買い物に行ったり、映画を見たり。1日中寝ていることも。普通ですよ」。
繰り返される「普通」にはまた大人への警戒ととともに、浮かれちゃだめ、背伸びをしてはだめ、
女優である前に自分でありたいといったルールもうかがえる。それは仕事にも反映する。
「今は高校生を演じたい。制服を着た役は10年後はできないから。今しかできない役をやりたいです。
あせって女っぽい役をやりたいとは思わないです」。