8月25日に開幕する世界陸上大阪大会を招致した大阪市が、チケットの販売に
躍起だ。部署ごとに職員が自腹で購入する目標枚数を設定し、企業500社以上
を訪問して購入を働きかけるなど、懸命の「セールス」を展開する。だが、6月まで
の実売数は売り出し総数51万枚の3割弱。大会後に控えた市長選をにらみ、
市幹部からは「がらがらの客席を世界に中継されては、大阪のイメージダウン。
責任問題も浮上しかねない」と焦りの声も上がる。
「この日が本当に楽しみだった。選手が決まり、券がパーッと売れてくれるんちゃう
かと」
ハンマー投げの室伏広治選手ら、世界陸上に出場する日本選手62人が決定した
7月2日。大阪市北区で開かれた「代表選手と応援団の交流会」の冒頭、関淳一
市長が笑顔で切り出した。「観客がスタンドを埋め尽くしている姿をぜひ、世界に
発信したい」
関市長は大会組織委員会の副会長。2年前のヘルシンキ大会では、大会3カ月前
にチケットの5割が売れていたが、今回は2カ月前の6月末時点で14万枚程度しか
売れていない。7割以上のチケットが売れ残るこうした販売不振が、市長の懸命の
訴えの背景にあった。
大会の総事業費93億円のうち、チケット収入でまかなう額は10億円程度に過ぎず、
新たな公費負担が生じるおそれはないというが、前売り不振に業を煮やす市は、
これまでもあの手この手で市の内外に売りさばいてきた。
市は職員にチケットの個人購入を勧め、「最終達成目標」として6月末までに計65
03枚を掲げた。局や区などの所属別に職員数に比例して目標枚数を設定。最多は
交通局の1251枚で、環境局635枚、健康福祉局601枚と続き、最少は選管事務局
の2枚だった。しかし、6月15日までに目標の2割の1459枚しか売れず、残り半月
で「周知徹底のラストスパート」(市幹部)をかけて約5千枚を上乗せし、目標を超える
6633枚をさばいた。
(続きは
>>2以降で)
ソース:
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200707240101.html (
>>1の続き)
5月には職員が手分けして、関西経済連合会傘下の企業約540社を訪問。6月末まで
に188社に計5589枚、約4700万円分を購入してもらった。さらに組織委と協力して
大阪府と府内の市町村、兵庫、京都、和歌山など近隣自治体にもチケット申し込みの
取りまとめを依頼し、計1304枚を売った。
今月には、市内の小中高生ら計8万人を無料招待して、観客動員目標の45万人を
クリアしようとする「秘策」まで明らかにした。しかし、寄せられた観戦希望は、約700校
の5万人余りにとどまっている。
こうしたなりふり構わぬ集客ぶりに市内部からは不満の声も上がる。市世界陸上推進室
は「ノルマではなく、あくまでも観戦を勧めただけ」と釈明するが、チケットを買った課長級
の職員は「仕事で観戦できないが、市の重要なイベントと言われたら協力せざるを得ない」。
区役所の職員も「個人的にはテレビ観戦でいいと思っていたが、他の区より達成率が悪い
のは避けたかった」と打ち明ける。
関市長は12月に任期満了を迎え、大会後の市は選挙ムードに包まれる。与党市議の
一人は「関さんが立候補するなら当然のこと、引退する場合も花道になる。市役所に
とって、大会の成功は至上命題だ」と力説する。
大会は9月2日まで大阪市長居陸上競技場(大阪市東住吉区)で開催される。チケットは
各日午前、午後の部に分けて販売され、前売りの大人で2千〜1万6千円。
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200707240101.html