ネクタイ姿のラモス監督が、何度もベンチを飛び出して跳ねた。J1復帰が至上命令となる
勝負の年。初戦を大勝で飾り「開幕戦だし緊張はあったけど、ベテランの力が大きかったヨ」
と声を弾ませた。東京Vの開幕戦での5点差勝利は、93年のJリーグ発足以降では最多差。
1万275人の観衆に強烈なインパクトを与える船出となった。
ゴールラッシュの口火を切ったのはFW船越だ。開始47秒。右サイドからのクロスに右足を
合わせた。1度はDFに阻まれたが、こぼれ球に今度は左足を合わせて、J2の開幕戦での
最速弾が生まれた。後半3分にはフッキの直接FKで追加点。DF土屋、MFディエゴも続き、
全5得点を新戦力が叩き出した。
昨季はジャージー姿で采配を振っていたラモス監督だが、この日は黄緑色のジャケットなど
総額30万円のオーダーメードで指揮。「ネクタイは12年ぶり。いつかはネクタイをして
ベンチに座りたいと思ってたけど、去年は余裕がなかった」。
就任1年目の昨季は7位。右も左も分からないままに、ただシーズンが過ぎていったが、
今季は余裕が生まれていた。
昨年10月下旬。今季の続投が正式決定すると、萩原社長と何度も強化方針について話し合った。
補強を渋るクラブトップに「熱いヴェルディ愛」を見せて説得。オフ返上で“ストーブリーグ”に
全力を注いだ。名波、服部、土屋、フッキら大型補強に成功したことで逆に重圧は増した。
萩原社長からは「一戦一戦クビを懸けて戦ってもらう」と結果次第では早期解任の可能性も
示唆された。それだけに初戦黒星は絶対に許されない状況だった。
萩原社長は「これで、しばらくは監督を解任しなくてすむ」と笑顔で語った。
テンポの速いパス回しなど黄金時代をほうふつさせた07年初戦。指揮官は「来週からJ1に
行っても優勝争いする自信はあるヨ」と強気の発言も出たが、最後は「採点?(100点満点中)
3点」と辛口で締めた。48試合の長丁場は始まったばかり。来季J1の舞台に立つため、
緑のカリスマは走り続ける。
ソースは
http://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2007/03/05/01.html