降ってわいた薬物疑惑に、JRA(日本中央競馬会)も揺れた。その会見に出席した
JRA理事は「全責任は馬主、調教師にある」と、ディープの関係者に対して
冷淡な姿勢を打ち出した。また高橋政行理事長は、“汚点”という辛辣な表現を用いたコメントを書面上で発表した。
ディープは『クロ』とJRAは判断。薬物は検出されたがフランス・ギャロの最終的な審判は
下っておらず、また不服申し立て(失格処分など裁定が下りて通知を受けた翌日から
5日間のうち)も可能な段階から、JRAの高橋政行理事長は、“汚点”という
辛辣な言葉を使って、今回の騒動についての見解を示した。
「この度、凱旋門賞に出走したディープインパクト号から、禁止薬物が検出されたとの
報告を受けました。同馬の出走に際しては、競馬ファンの皆様をはじめ、
多くの方々から応援をいただいたにもかかわらず、世界最高峰のレースとして
栄誉ある凱旋門賞に汚点を残す結果となり、誠に残念でなりません。
今回の件はフランスで起きたものではありますが、JRAとしても、
今後、国の内外を問わず出走馬関係者に対し、禁止薬物等に対する
意識の向上を図るべく指導を徹底して参りたいと考えております」と会見には出席せず、書面上だけでコメントした。
無敗の3冠馬として歴史に名を刻み、JRAの売り上げ、ファンの増加にも大きく貢献してきた
ディープだが、その貢献は“汚点”というひと言で打ち消された。渡仏前に
「ディープのためにできる限りのことはフォローしたい」とまで言っていた理事長の“翻意”。
日本競馬のトップのひとつの発言で、世界の目もディープ、いや日本の競馬を非難する方向に動いてもおかしくはない。
http://www.sanspo.com/keiba/top/ke200610/ke2006102001.html