演歌歌手の川中美幸(49)が、歌を地でいく親孝行ぶりをみせている。このほど東京・渋谷に「お好み焼き
川中」を開き、そこに母の久子さん(80)が毎日通っている。歩くこともままならなかった久子さんが、今で
は接客するほど元気になった。
川中が中学2年の時、両親が大阪府吹田市で、お好み焼「みかど」をオープン。昭和48年に「春日はるみ」
の芸名でデビューした川中が売れない間、2年間実家を手伝ったこともある。「今、こうして歌を歌えるのは、
あの時にいろいろな人と出会い、勇気をもらえたから」と振り返る。
店は昭和62年に長兄の良晃さん(51)に任せ、両親を東京都町田市に迎えたが、直後に父の武雄さんが
他界(享年69)。川中は母を元気づけようと同市に「お好み焼き 川中」を開店。地元の人気店になったが、
このところの不況で昨年閉店。すると、久子さんの元気がなくなったため、母を元気づけようと、今度は若者
の街・渋谷で店を開くことを決意。今年2月、渋谷の東急本店近くビル4階で町田時代と同じ店名でのオープ
ンにこぎつけた。
店の経営は良晃さんがが担当するが、昨年は足を悪くして立てなかった久子さんが、今では「何にしまひ
ょ?」と接客するまでに回復。
「ホンマ感謝感激ですわ。娘は歌だけでなくてお好み焼くのもうまいですねん」と久子さんは顔をほころば
せる。
土地柄から、モチとチーズを入れた「モンチッチ」(950円)を、若者ウケする新メニューとして開発。名物
のおでん(1串100円)も健在だ。
平成15年には、久子さんをモデルにした曲「おんなの一生〜汗の花〜」をリリースした川中。オープン記
念で自身も鉄板の前に立ちながら、「しわくちゃのお札を見ると、仕事をしている母を思いだします。“煮豆で
も根性で花咲かすんや”という人。楽になるか−と言っても笑って首を振る。苦労を苦労と思わないでお客さ
まの前では笑顔を忘れない。母の生き方が、歌手としてお客さまに向かい合うときの心の支えです」と語る。
1月に新曲「うすゆき草」(テイチク)をリリース。来年30周年を迎えるが、川中にとって“母の背中が道しる
べ”だ。
ZAKZAK 2005/03/23
http://www.zakzak.co.jp/gei/2005_03/g2005032309.html