941 :
名無しさん@恐縮です:
暖冬もさすがに冷える年の暮れ。
母親に「大掃除なんだから汚い車も洗っておいで」と言われ、40男は寒空の下で車を洗っていた。
母親の機嫌を損ねて、家を追い出されては堪らない。そんな打算が働いたのも事実だ。
「なんで、俺のよさが解る女がいないかな、リンカーンの助手席に乗せてやるのに」
とひとりごちながら40男は手を動かしていた。
その時、ふいに背後から軽いクラクションの音を聞いた。
40男が後ろを振り返ると、そこに天使が立っていた。
天使は微笑みを絶やす事無く、
「申し訳ありません、お手数ですが、道を開けていただけませんか?」と
小鳥のさえずりを思わせる声で聞いて来た。
40男は一瞬、その天使を思わせる男に我を忘れて見とれていたが、
天使の車の助手席に妙齢の美人女性の姿を発見し
次の刹那には強烈な劣等感に襲われていた。
劣等感の奴隷となった40男は口角に泡を浮かべながら
「い、いやだね、他の車は通っているだらよ!!」と叫び
天使につかみかかった。
天使は軽く一歩後ろに下がることで40男を躱しながら、拳をくり出してきた。
40男は自分の顔面に拳がねじりこまれるのを感じるのと同時に
殴りながらも微笑を浮かべている天使を見た。
そして、40男の顔には2ミリの聖痕がきざまれた。
それは永遠に消える事の無い、聖なる駐禁キップ・・・。 FIN