俳優、香川照之(38)が29日にスタートするNHK朝ドラ「天花(てんか)」にヒロイン(藤沢恵麻)の父親役
で出演する。これで今年だけでもドラマ2本、映画6本と途切れない。1月に待望の長男も誕生し、公私に
わたる充実ぶりだ。
1−3月は連ドラ「彼女が死んじゃった」(日本テレビ系)、2月は映画「赤い月」「嗤う伊右衛門」が同日封
切り、公開中の「ホテル ビーナス」では酔っ払い医師、「クイール」では子犬の育て親を好演。さらに、来
年にかけて「天国の本屋〜恋火」「北の零年」と話題作が続く。
「天花」の脚本家、竹山洋氏からは「ミルク代稼がなきゃいけないからかな」とからかわれるほどのモテぶり。
「面白い仕事、いい仕事は特定の人に集中するもの。ドラマでも、映画でも、キャスティング担当者が一斉
に彼に電話している」と、「天花」の佐野元彦チーフプロデューサーがいう。そして、「仕事でも人間的にも
新人の手本になれる人でもある」。映画関係者の間でも、「小悪人から善人まで演技の幅は広い。いずれ
も着実な芝居を見せる」と評価は高い。
映画誌「キネマ旬報」にエッセー「日本魅録」を1年以上連載。担当の掛尾良夫・前編集長は「撮影現場の
雰囲気を、文学的表現も織り交ぜて伝える文章力、観察眼はほかの俳優には見当たらない」と絶賛する。
歌舞伎俳優、市川猿之助(64)と女優、浜木綿子(68)の間に生まれ、2歳で両親が離婚。浜のもと、名門
・暁星学園から現役で東大に進み、文学部卒業後、芸能界入りした。近年は脇に徹し、親の七光を感じさ
せない力もつけた。
ただ、「常識がある」(映画スタッフ)のが長所の半面、「役者には非常識、ハミ出した部分も必要。代表作と
いえるものもない」(同)との指摘も。「赤い月」の降旗康男監督がいう。
「今はたくさんのキャメラの前に立つ波の上にあるが、波が去ったとき、メーンになれる役をやってほしい」
両親に並び、超える日が待たれる。
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