†RO@Chaos廃スレ415 Espリアうp神に敬礼†
「もう、金にはならん。」
薄暗い一室で禿げ上がった小太りな男が決断を下した。
「なかなか稼がせてもらった、一度くらいは私からもお礼をしようじゃないか。」
「余興だ、途中で脱落した亡霊どもも生き返らせてやろう。」
「そして、、、、韓国からヒャックを呼べ。」
ヒャックはその日の内に成田に降り立つ。かつて自らが仲間と共に心血を注いだ
プログラムを持って。
データセンターのサーバーにROMを差し込む。開発だけは完了しながらも実装が
見送られた機能。PK機能のスイッチを入れる、この日のために改良した死亡時
強制ログアウト機能と同時に。
緊急公知:みなさん、こんにちは。もどってきたヒャックっす(^ゝД*)
いきなりかなしいなお知らせですが、ROはもう終わります。
最期にみなさんがROでできなかったことを全部できるようにします。
ここからはちょっと厳しいかもな部分もあるので私Xがいいます。
PKとか今まで制限されてできなかったことが全部できるようになります。
装備も職業も制限ないです。そしてモンスターは攻めてきます、あと
機械人形も。戦うのも逃げるのも自由です、でもプロンテラ落とされたら
終わりです。最期はヒャックさんから。
最期まで、みなさんがんばって!
全部のROユーザのみなさん、ありがとう、そしてさよなら。
システムメッセージが10分以内にログインサーバーがシャットダウンされ、それ以降
キャラクターが死亡した場合には強制ログアウトされることを告げる。PKフラグは解除
され、モンスターは凶暴化し意思を持って攻め込んでくる、どう行動するも自由だという
こと。しかし、王都プロンテラの玉座を落とされた時点で世界は終わるということ。
かつて全てのテスターから愛されたヒャックの非情な宣言によってユーザーには激震
が走る。ユーザーに選択の余地はなかった。RO史上最初で最後の大イベントが始まる。
ネンカラスの地下室にあった一つの抜け殻。
半年以上も開かなかった扉は開け放たれ、差し込む日光を背にしてTRACYが立つ。
「ボリオン、いつまで寝てんの?」
昔はボリオンと呼ばれたものの瞳に僅かに光が戻り、TRACYを見つめる。
「俺は、、、、俺は・・・・・・」
「・・・・」
「俺・・・・は!心と体がバラバラで!あんなこと!嫌だったんだ本当は本当は本当は!!!」
「ボリオン、あなたは寝ていただけ。」
「そ、単にねぼすけなだけだよ。」
「めがねさま、、、、寅吉・・・・・・」
「がはは!じゅりぃもお餅もおけつもいるのだ。」
「閣下・・・・・・」
「飲み会キャンセルしてきたよ。」
「たろさん・・・・・」
「・・・・・・・・随分、寝ちゃったんだな。」
「寝すぎだよ。」
「脳みそ溶けてるのだ。」
「また、、、、みんな楽しく遊べるかな。」
「そのためのボリスターズでしょ。」
「ああ、行こう!」
ボリオンの瞳に虚ろさはもう、ない。
繁栄を極めた王都プロンテラも臨戦体制が敷かれ往時の影は偲べない。
買取王24時間営業中のチラシが風に舞う、常に譲らなかった己の仕事場に、今さら来る
はずもない客を待つ男がいる。そして向かいあう女。
「行くのか?」
「ええ。」
「俺も行こう。」
「必要ないわ。」
「しかし・・・・」
「あれは私の因果。」
「そして、私の戦場。」
「・・・・・・」
「あなたの戦場は、ここでしょう?」
「・・・俺の使命は、24時間買取の便宜を計ること。どんなときでも。」
みちるが初めてTABLEの目を見て、微笑んだ。
踵を返すと一瞥することもなく彼女は飛び立つ。因果を断つために。
モロクのひなびた宿屋。周囲にはすでに数多の屍の山がある。
「終わりが見えた途端に本性剥き出し、なんなのかね。」
「きゃはは、馬鹿なんだからしょうがない。」
「わかっててもこうもあっさり態度変えられるとなんだかなぁ。」
「また馬鹿がきたみたいよ?きゃはは。」
「あれは・・・・・・」
ぼろをまとった男が近づいてくる。
「やっぱり最後はHSPでやるしかないですよね。」
「明日乱!」
「待ってたよ、いいタイミング過ぎ、修正されるね。あはっ。」
「もー、おいしいところは全部もってく。。。。。」
王都地下水路。そこら中に散らばる黄金蟲の屍骸。drevは足元の黄金蟲カードをゆっくり拾う。
「これが、俺が追いつづけたものか。」
「drev・・・・」
「なっ!」
drevが黄金蟲カードに触れた瞬間、カードから光が溢れ出す。
「どっ、どしたの?」
光は急速に収束し、形となってその場に現れる。
「され・・・・・・・・な・・・・・?」
「されなさん・・・?」
「最後だし、ね。」
「されな・・・・俺は・・・・」
されなはさおちゃんに眼差しを投げかけると軽口を叩く。
「幸せそうね、幸せに溺れて弱くなっちゃったりしてない?」
「どっ、、、drevさんは頑張ってます!」
「あらら怒らせちゃった、冗談よ。」
「されな、戻ってき・・・・・」
「最後だし、っていったじゃない。」
「皇帝は地上において並ぶ者なし、戦わないでどうするの?」
「・・・・ああ、そうだ、俺たちはEmperor。Chaosを統べる者。」
地に堕ちた皇帝は天上の帝冠を取り戻し、再び光輝に包まれる。
モロクの片隅。不意に人の形が現れる。
「久しぶりだね。のすお。」
「変わったような、変わってないような・・・・・」
「牛乳ちんが一番久しぶりだろね。」
「ま、懐かしんでる間なんてどうせないでしょ。」
「月下美人は黙して語らず、か。」
「戦ってる時が一番楽しいからね。」
「さあ、腕が鈍ってるなんていってられんよ。」
「今さら夢の続きが見れるなんてな。」
孤高の騎士の一団が降り立った。
モロクの別の場所でも同様の光景が見られた。
「や、まきお君ごぶさた。」
「どれくらいぶりかなあ、その太陽神見るの。」
「あはは。」
太陽神の下に集う人々は瞬く間に膨れ上がり、大集団をなす。
「戻ってきてくれたみなさん、ありがとう。」
「聞けばラグナロク最後のイベント、今度こそは、勝って終わりましょう。」
大地に響く歓声。
「テンダネスは滅びない。」
閑散とした蟻地獄、ただただ人を狩るべく作られたモンスターと機械人形が跋扈
する場所。
凶暴化したモンスターと暴走した機械人形の無数の屍骸の上に人が二人いる。
king3ndとyuy'。
「今になってもBOSS狩りかい?飽きないねぇ。」
「先走って英雄にでもなりにきたか?」
「BOSSしか能がないんでね。最後のマヤは俺がもらうよ。」
「はい、そうですか。なんていうと思ってはないよな。」
「くるぞ。」
「マヤとプリオニの混成か。」
「びびったか?」
「まさか。」
「お前に背中を任せることになるとはな。」
「無駄口はいい。こいつら今までとは違うぞ。」
島に散らばる第三勢力の屍。
岩にもたれかかるように折り重なる二つの屍。何があったかは知る由もない。
ただ、全て憑き物が落ちたような、何かから解放されたような、不思議な顔の
屍に埋まる島。
オーク軍団の猛攻に晒されるゲフェン。
オークの果てしない物量に押されつづける人間たち。
ゲフェン塔より指揮をとるegunoの表情は、曇っていた。
「市外の砦が全て陥落したとのことです。」
伝令が無情な現実を告げる。
「そう、、、か。」
「(他都市にも援軍を派遣できるほどの余裕はないだろうな)」
「(いよいよ終わりか)」
egunoの逡巡を断つように塔下から歓声が沸き起こる。
「?」
「うおおおあああああ!!!!ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
「ふるつね?」
「ふるつねさんがオークヒーローの首を獲ったようです!」
「ははは。」
「(そうだ、攻めるんだ。名前に泥を塗れはしない。Litmitのためにも。)」
「戦えない者を王都まで避難させろ!」
「Gravestone全軍でオーク勢に突撃する。」
「狙うはオークロードのみ、最強の名をとった者の意地を見せてやれ!」
港町アルベルタ。防衛用の砦もないこの町に拠点を構える一団があった。
「OneTemはアルベルタで生まれ、アルベルタに死す!」
「俺たちの町を守れ!モンスターを一歩も町に入れるな!」
やがて、黒く澱んだ水平線から幽霊船が姿をあらわす。
モロク城。砂煙の舞う地でも果てしない戦闘が続いている。
ピラミッドに向けて果敢に突撃を繰り返す騎士たち。殺しても殺しても、立ち
上がってくるアンデット。一進一退の攻防が続く中、血糊だらけの封書が届く。
フェイヨン陥落。
すでに月夜花らに苦しめられていたフェイヨンはアルベルタに上陸し、OneTem
の果敢な抵抗を排除して合流したドレイクに抵抗する力もなく、廃墟と化したと
いう。
封書を包んでいたぼろ布に目が止まる。
かつて、矢の雨が舞い、氷の嵐が吹く砦の中をただ一人で通り抜けたha-disの
マント。
ななみはそのマントに自らの兜を包み、伝令に託す。
「蟻地獄からマヤとフリオニが向かってきているという情報がありました。」
「私たちは最後までモロクで敵を食い止めます。兜とマントは王都に届けてください。」
「早く、ここも・・・・長くはないでしょう。」
モロクの騎士は隊列を整え、オシリスに最後の戦いを挑む。
ゲフェン。破壊尽くされ、蹂躙され尽くした魔法の町。
町の墓銘碑となった塔でただ一人、戦い続ける鍛冶屋がいる。
古豪Gravestoneに率いられたゲフェン勢はオーク軍団を一度は蹴散らし、砦すら解放
したかに見えた。
勝鬨に混じる悲鳴。
塔の地下から這い出てくるドラキュラとドッペルゲンガーの後方奇襲。世界に満ちる暗雲
によって厳重な封印は破られ、ゲフェンは地獄と化した。
ルイーナ砦、バインドが執着しつづけた砦。
戦いから逃れた人々が集まり、それを追ってモンスターと機械人形が攻め寄せる。
かつてChaosを席巻した空想亭の勢力はもはや、ない。
「権謀術数を巡らした一代の梟雄もお手上げですか?」
「まだ、終わらんよ。」
「お前は・・・・」
「ボリオン!」
「なぜ・・・」
空想亭幹部からどよめきが起きる。
「笑いにきたか?」
表情を変えずバインドが問う。
「もう、僕は感情を殺したりはしない。」
「だから、好き勝手に戦わせてもらう。」
ボリオンはそう告げるとバインドに背を向け、敵陣に駆ける。ボリスターズを率いて。
「・・・・空想亭メンバーに告ぐ。」
「前衛部隊はボリスターズにあわせて展開、後衛部隊は全力で援護しろ。」
「ボリオンは私が援護する。さあ続け!」
王都からほど近いオアシス。
一見守る価値もない僻地で、累々たる屍を積み上げながらもモンスターに激烈な抵抗
を示す人々がいる。
そこはかつてユーザータウンと呼ばれた場所。飛びぬけて強い人がいるわけでもない。
飛びぬけて資産をもった人がいるわけでもない。案の定易々とモンスターの餌食に
なっていく、が、人々は抵抗を止めない。
アルデバランの運河は赤く染まっている。
「パーティープレイは楽しいだろ?」
「・・・・・・・」
「私は・・・・・・私は大事なものが見えなくなっていた。」
「・・・・・」
「・・・・・私は・・・・」
「いや、いいよ。僕もマスターだったからわかる部分もある。」
「・・・・・・・」
「ゲームは、楽しいんだよ。」
「・・・・・・すまなかった。」
王都南門、臨時広場と呼ばれた場所にも容赦なくモンスターが攻め寄せる。
ぼろぼろになった騎士が一本の剣があしらわれた旗に寄りかかる。すでに周りにいた仲間
は半数に満たない。
すでに翔鳳の下には各地からの封書が届いている。その全てが悲報だった。
南方からはモロクを制圧したオシリスが。
東方からはアルベルタとフェイヨンを飲み込んだ月夜花とドレイクが。
西方からはゲフェンを蹂躙したドラキュラとドッペルゲンガーが。
そして、北方からはバフォメットが。
四方から襲いくるモンスターの群れが各地での悲劇を物語っていた。
「(俺たちにはまだ最後の希望がある・・・・・)」
「城内にこれを届けてくれ。」
「決戦だ!王都の門を通すな!」
プロンテラの玉座。
翔鳳の伝令は預かったものを渡すとすぐに戦場に戻る。
せいきちの手にある物。
ななみの兜、ha-disのマント、ボリスターズの盾、そして、勇気のしるし。
せいきちは無言で遺品を身につけ、最後の戦いに備える。
扉が荒々しく開け放たれ、バフォメットが踊りこむ。
「ついにきたか・・・・・・・」
「これは俺たちの世界だ、お前たちに終わらせるようなことはしない!」
自分が死ねば世界は終わる。
せいきちは全てを背負って戦いつづける。
矢と鎌が交差する。
「俺は忘れない、俺たちのラグナロクを。」
せいきちが叫ぶ、誰もいない世界で。
暗転。
Chaos server Down...
Thank you for All Ragnarok User!
bye bye ;D