■ROキモスレ Lv142 ずっとうにうに■

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952Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
【神奈】「………」
ぱたり。
【柳也】「三度目も同じかっ!」
【裏葉】「柳也さま、手ぬるいですわ」
【柳也】「どぐわあああっ!」
【裏葉】「しっ、お声が高い」
953Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
【柳也】「裏葉、お前いつからそこにいたっ?」
【裏葉】「ほっぺたをむにっとおつまみになったあたりから」
【柳也】「俺が迎えに行くまで待ってろと言ったろ?」
【裏葉】「そろそろ刻限かと思いまして」
【裏葉】「それに、神奈さまおひとりでは着付けに手間がかかります」
【柳也】「言われてみればそうだな」
954Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
この期におよんでまだ眠り呆けている神奈を見下ろす。
【柳也】「とりあえず、こいつを起こしてからだ」
【裏葉】「奥の手がございます」
【柳也】「…どうすればいいんだ?」
裏葉は意味ありげに頬笑むと、神奈の頭の下にそっと両手をさし入れた。
ごいんっ。
955Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
鈍い音をたてて、神奈の頭が床にめりこんだ。
【神奈】「…痛いぞ。なにをするか」
枕を抜き取っただけだが、効果は絶大だった。
【裏葉】「神奈さまにあらせられましては、今朝もご機嫌うるわしゅう…」
【神奈】「これがうるわしい機嫌に見えるか?」
【裏葉】「はあ」
956Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
【神奈】「まったく、もうすこしやさしく起こせぬのか」
【裏葉】「では、次からは力の加減を工夫いたしまして…」
【神奈】「枕を抜くのをやめろと申しておるのだっ」
【柳也】「掛け合いならあとでいくらでも聞いてやるから、早く支度しろ」
ぶつぶつ不平をこぼしながらも、神奈は素直に用意をはじめた。
その手がとまり、俺をにらみつける。
957Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
【神奈】「…おまえはそこにいる気か?」
【柳也】「あたりまえだ」
【神奈】「余がこれからなにをするかわかっておるのか?」
薄衣の袖をばたばたと振りながら詰め寄る。
【柳也】「着替えだろ。見ててやるから早くしろ」
【神奈】「………」
958Jude-a 4nd:03/05/10 10:37 ID:???
げしっ。
何か硬い物が飛んできて、俺の脳天を直撃した。
【柳也】「〜〜〜っ」
かなり本気で痛い。
額をさすりながら見ると、神奈の枕だった。
【柳也】「今、角がぶつかったぞ。ここんとこの角がげしっと」
959Jude-a 4nd:03/05/10 10:38 ID:???
【神奈】「出ていけ、この痴れ者がっ!」
人影がないのを確認してから、三人で雨の中に歩みでた。
物音を立てないよう、小走りで壁ぎわに寄る。
神奈と裏葉も見様見真似で続く。
二人とも雨をいとわないのは、俺としても心強い。
高く組まれた板塀を見上げながら、神奈が言った。
960Jude-a 4nd:03/05/10 10:38 ID:???
【神奈】「これをどのように越えるつもりなのだ?」
【柳也】「それぐらいは考えてあるさ」
目印をつけておいた所に、慎重に指をかける。
ぱきりと音を立て、一枚の羽目板が簡単に外れた。
【裏葉】「いつの間にこのような細工を?」
【柳也】「かなり前から準備しておいた。いつでも逃げられるように」
961Jude-a 4nd:03/05/10 10:38 ID:???
【神奈】「職務熱心なことよの」
【柳也】「ほっとけ」
板塀の向こうは深い山だ。
背の高い藪(やぶ)が、水気を含んだ闇とからみあっている。
【柳也】「神奈、先に出ろ。段があるから気をつけろよ」
段といっても二尺足らずだが、地面の具合はほとんどわからない。
962Jude-a 4nd:03/05/10 10:38 ID:???
【神奈】「これしき大したことはない。馬鹿にするでないぞ」
神奈がいきおいよく飛び降りた。
がさがさと藪が音を立て、神奈の姿を隠した。
【柳也】「裏葉、行け」
裏葉が穴の前に立った。
闇を流したような行く手の様子に、一瞬ためらう。
963Jude-a 4nd:03/05/10 10:38 ID:???
【柳也】「急げ」
【裏葉】「はい」
裏葉が向こうへと飛び降りた。
それから俺は、板塀を元通りに直した。
すこし離れた塀際にある立ち木をよじ登った。
音を立てないように注意して、塀ごしの闇に身をおどらせた。
964Jude-a 4nd:03/05/10 10:39 ID:???
背丈ほどの藪にはばまれ、いきなり視界がきかなくなった。
【神奈】「…猿(ましら)のようであったぞ」
神奈の声が、見たままの感想を伝えた。
【柳也】「ほかに言い方はないのか?」
【神奈】「ほめておるのだ。喜ぶがよい」
【柳也】「そりゃどうも」
965Jude-a 4nd:03/05/10 10:39 ID:???
適当に答えながら、腰の太刀をたしかめる。
【柳也】「ここからしばらく道がない。足下に気をつけろ」
【神奈】「これしきのところ、かるく踏み越え…うわっ」
…びちゃっ。
言っているそばから転んだらしい。
【裏葉】「あらあら。ご無事でございますか?」
966Jude-a 4nd:03/05/10 10:39 ID:???
【神奈】「これが無事に見えるか?」
【裏葉】「見えません、こうも暗いと」
【裏葉】「表着が汚れていなければいいのですが…」
【神奈】「…おまえは主より衣が大切か」
【裏葉】「あらもうこんなにびしょびしょに」
【神奈】「こらっ。妙なところを手探りするでないっ」
967Jude-a 4nd:03/05/10 10:39 ID:???
【裏葉】「神奈さまは悪戯がすぎます。今からこれでは先がもちませんわ」
【神奈】「だからさわるでないというに」
【裏葉】「ああやっぱり。袴もこんなに濡らして、はしたない」
【神奈】「やめい。くっ、くすぐったいではないか」
【裏葉】「神奈さまがそんなにお動きになるからでございます」
【神奈】「うくっ…もうやめろと申すに…くくくふっ」
968Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
【裏葉】「えいえいっ」
【神奈】「くっ…ふはっ…やめ…っはあっ」
【柳也】「…袴の裾を上げろ。裏葉もだ」
【裏葉】「まあ。二人一緒になんて柳也さまったらいやらしい」
【神奈】「まったく、鬼畜も同然よの」
【柳也】「…意味がわかって言ってるのか、おまえは」
969Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
すこしでも通りやすいよう草を左右に開き、ひたすらに斜面を下る。
そのあとに神奈が続く。
後尾(しんがり)は裏葉が受け持った。
半刻ほど歩いただろうか。
足下が登り坂にかわった。
社殿があった山から、別の山稜に移ったのだ。
970Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
うしろを振り返ると、神奈がじりじりと遅れだしていた。
水をふくんだ装束が重いのだろう。
うっとおしそうに、全身をひきずっている。
やがて、斜面から尾根筋に出た。
濡れた木々の間に、道らしきものがぼうっと浮かびあがっている。
猟師や樵(きこり)たちがのこした踏み跡だった。
971Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
【柳也】「ここからはすこしは楽だぞ」
神奈をはげますように言ったが、返事はなかった。
【柳也】「すこし休むか?」
【神奈】「…どうということはない。はように、進まぬか」
言葉とはうらはらに、疲労の色が濃い。
俺は頭上に視線をやった。
972Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
木々が枝をからませる向こうから、雨は絶え間なく降り続いている。
深い山中ということもあり、辺りの闇はねっとりと濃い。
その時だった。
【裏葉】「柳也さま」
裏葉が早口で呼びかけてきた。
【裏葉】「だれかが近くにいます」
973Jude-a 4nd:03/05/10 10:40 ID:???
一応様子をうかがってみるが、それらしき気配はない。
【柳也】「雨音だよ。心配ない…」
言い捨てかけて、俺もそれに気づいた。
木々の葉を通して降る雨音の向こう。
何か異質な音がかすかに混じっている。
【柳也】「頭を低くして、物音を立てるな」
974Jude-a 4nd:03/05/10 10:41 ID:???
【神奈】「追っ手か?」
【柳也】「静かにしてろ」
辺りを見回そうとした神奈の頭をあわてておさえる。
三人で息を殺し、ただじっと身をひそめる。
濡れた林間に雨音だけがふくらんでいく。
やがて、それは訪れた。
975Jude-a 4nd:03/05/10 10:41 ID:???
五、六人分ほどの足音が、道のない斜面を整然と下ってくる。
革と木板が擦れあう音さりさりという音から、具足をまとっているとわかる。
社殿からの追っ手だろうか?
それにしては早すぎるし、現れる方向が逆だ。
足音はすこし離れたところを通り過ぎ、気づかれることはなかった。
【柳也】「…動いていいぞ」
976Jude-a 4nd:03/05/10 10:41 ID:???
【神奈】「ふう。厄介なことよの」
軽口を言うが、舌の端にかすかな震えが覗いている。
【柳也】「よく黙っていられたな」
【神奈】「たかが足音であろ。何を取り乱すことがある?」
【裏葉】「山を下っていきましたね」
溜めていた息を吐き出しながら、裏葉が言った。
977Jude-a 4nd:03/05/10 10:41 ID:???
【柳也】「社の者たちではなかったな」
【裏葉】「なぜおわかりに?」
【柳也】「こんな山中で乱れずに行軍(かちだち)できるような奴らは、俺の部下にはいなかった」
俺の目が確かなら、さっきの兵たちは相当に場数を踏んでいる。
前触れなく出くわしていたら、やっかいなことになっていただろう。
そして、彼らが目指す場所はひとつしかありえなかった。
978Jude-a 4nd:03/05/10 10:41 ID:???
【裏葉】「どういうことでございましょう?」
【柳也】「俺が案じていたより、一晩早く事が起こったらしい」
裏葉が訊ね返してくる前に、俺は立ちあがった。
【柳也】「行くぞ」
休んで元気になったのか、荷のない神奈が真っ先に歩き出す。
【神奈】「はようせい。置いていくぞ」
979ネトゲ廃人@名無し:03/05/10 10:41 ID:???
>>950
次スレよろ
980Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
【柳也】「そっちは元来た方なんだが」
【神奈】「…おっ、おぬしは冗談もわからんのか」
必死で言いつくろうが、かなり苦しい。
【神奈】「もちろんこちらだ。では行くぞっ」
くるりと方向を変えようとして、神奈が立ち止まった。
木々の幹を通して見える遠景に、一心に視線をそそいでいる。
981Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
【神奈】「柳也どの、あれは…」
神奈が指さしたその先。
黒々とした山肌の中に、炭火のように赤い光が見えた。
【柳也】「あのあたりには社殿以外に建物はない」
【神奈】「………」
神奈はただ、だまって光を見つめていた。
982Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
一生抜け出せないと思っていた檻(おり)の外に、神奈は立っている。
どんな心持ちになるものか、俺には見当もつかなかった。
【裏葉】「もうこのような遠くまで来たのですね」
俺は何も答えなかった。
光はだんだん強くなり、今はまるで野焼きのように赤々と照り映えている。
胸の内に苦いものがせり上がってくるのを感じた。
983Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
やがて、裏葉も違和感に気づいた。
【裏葉】「篝火(かがりび)を焚いているのでしょうか?」
【柳也】「篝火だけではあそこまで明るくならない」
【柳也】「燃えているんだ、社殿が」
神奈と裏葉が息を飲んだのがわかった。
【神奈】「たわけたことを申すでない!」
984Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
神奈が叫んだ。
しかし、俺の言葉が嘘ではないことは目前の光景が物語っていた。
恐らく社殿全体に火が回ったのだろう。
吹きあげる炎と煙が、山肌の一角を赤黒く染めあげていた。
【神奈】「それでは、社の者どもは…」
神奈がつぶやくように言った。
985ネトゲ廃人@名無し:03/05/10 10:42 ID:???
やっぱりAIRはいいなぁ
986Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
【柳也】「逃げ出してるさ。俺たちみたいにな」
答えたが、それは嘘だ。
さっき山を下っていった兵士たちは、社殿から逃げる者を待ち伏せるための隊だろう。
そこまで念入りに包囲するのは、事情を知る者を皆殺しにするため以外考えられない。
社殿の者たちは、もともと使い捨てにされる手筈だったのだ。
そう考えれば、すべての辻褄が合う。
987Jude-a 4nd:03/05/10 10:42 ID:???
【神奈】「そうか。みな、首尾よく逃げ出しているであろうな」
自分を無理矢理納得させるように、神奈が言った。
【裏葉】「なぜこのようなことを?」
裏葉の声音もかつてなかったほどに硬い。
【柳也】「社でなにが起こったのか、知られたくないんだろうな」
【神奈】「なにゆえにか?」
988Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
【柳也】「俺にもわからない」
そう答えるしかなかった。
どんな秘密があるにせよ、俺たちが取るべき道はひとつだった。
【柳也】「行くぞ」
【裏葉】「神奈さま、まいりましょう」
神奈はまだ社殿に見入っていた。
989Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
【裏葉】「神奈さま…」
【神奈】「今行く」
瞳から炎を振りはらい、俺の背中に続いた。
山中を一刻ほど歩いたころ。
行く手から、雨とはちがう水音が響いてきた。
ざああああ…
990Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
渓谷だった。
雨のせいでかなり増水していて、向こう岸には渡れそうになかった。
かと言って、引き返すわけにもいかない。
【裏葉】「どういたします?」
【柳也】「沢にそって進むしかないな。行くぞ」
俺が登りはじめると、裏葉と神奈も無言で続いた。
991Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
沢沿いでは濡れた岩が邪魔をし、軽々とはいかない。
まず神奈が遅れだし、続いて裏葉も遅れだす。
【柳也】「がんばれ。ここを越えれば楽になる」
呼びかけても返事はかえってこない。
神奈も裏葉も、ただ黙々と足を動かしている。
このまま沢沿いを進めば、いずれ神奈たちの体力が続かなくなる。
992Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
いずれ追いつかれる。
問題はそれから先だった。
社殿を襲った連中の目的は、まちがいなく神奈備命にある。
社殿を陥落させたあと、奴らは神奈備命をどのように処遇するつもりだったのか?
手あつく保護するつもりなのか、生け捕りにするつもりなのか。
それとも…
993Jude-a 4nd:03/05/10 10:43 ID:???
【裏葉】「柳也さま」
我に返ると、裏葉が俺のとなりまで登っていた。
【裏葉】「今、灯かりが見えました」
半身をねじるようにして、背後を指さす。
木々の幹を通して、松明(たいまつ)の火がちろちろと見え隠れしている。
【裏葉】「あちらにも」
994ネトゲ廃人@名無し:03/05/10 10:43 ID:???
1000狙うしかない!
995Jude-a 4nd:03/05/10 10:44 ID:???
【神奈】「向こうにも見えるぞ」
神奈は逆の山肌を指していた。
真っ黒な斜面のそこかしこに松明の光が散りばめられ、星のように見えた。
【柳也】「三十…いや、四十人はいるな」
松明をかかげて大勢で追ってくるのは、こちらが反撃するとは思っていない証拠だ。
つけいる隙があるとすれば、そこだった。
996ネトゲ廃人@名無し:03/05/10 10:44 ID:???
俺が1000だろ
997Jude-a 4nd:03/05/10 10:44 ID:???
【柳也】「神奈、おまえはよほど人気があるんだな」
【神奈】「そんな人気など、おぬしにくれてやるわ」
苦しい息を整えながら、さも迷惑そうに言う。
【柳也】「なるほど、それがいいかもしれないな」
【神奈】「どういう意味か?」
それには答えず、俺は神奈に正面から向きなおった。
998Jude-a 4nd:03/05/10 10:44 ID:???
【柳也】「俺の言葉通りにすれば必ず生き残る」
【柳也】「…とりあえず、今はそう信じといてくれ」
【神奈】「そのようなことはもっと頼もしげに言わぬか」
【柳也】「根が正直なんでな」
【裏葉】「どうすればよろしいのでしょう?」
【柳也】「なにがあってもここを動くな」
999Jude-a 4nd:03/05/10 10:44 ID:???
予想していなかった答えなのだろう。神奈と裏葉が絶句した。
【柳也】「二人でその辺に座って、のんびりしていればいい」
【柳也】「できるだけ音を立てずにできればなおいい」
俺は事もなげに付け加えたが、それには理由がある。
こんな状況でじっと動かずにいるとしたら、その恐ろしさは想像を絶する。
逃げ回っている方が、はるかに気が楽なのだ。
1000ネトゲ廃人@名無し:03/05/10 10:44 ID:???
こんな状況でも1000を狙ってみる。
10011001
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。