夢でした
戦艦の艦長になって戦場を駆け抜けるのが夢でした
思っていた以上の功績を得てニンマリしたり、撃沈されて
ショボーンとしたりするのが夢でした
戦艦をイゼの横に止めて次にどのグリッドへ行くか悩むのが夢でした
アイアースにのったロボス司令が目の前にやってきて「イゼ横に敵がきておる。
適当に排除してこい。」と命令されるのが夢でした
排除し終えた後、報告しにいくと「ロボス司令は昼寝中です。」と言われるのが夢でした
戦場で友軍艦長と「双璧キターーーー」とか言って敵から逃げるのが夢でした
夢でした
夢でした
全部全部夢でした
「公称?」
「は、はい。つまり、彼らはMMOシュミレーションなどと自称しておりますが、無論そんなものを公文書には記せません。
と申しまして、糞ゲーと記しますと、銀河英雄伝説VSと自称するものどもと区別がつきません。
なにか公称を定めなくてはならないのです。」
「奴らにふさわしい名称があるぞ。不良品というのだ。
公文書にはそう記録しろ、不良品とな。」
「はい、かしこまりました。」
「そう決まったという事を帝国全土に伝達するんだ。
そう呼ばれる当人たちにも、自分たちの立場を教えてやれ。
きさまたちは不良品だぞ、と。」
開発総責任者ウォルフガンク・ミッターマイヤー元帥は、フェリックスを肩に抱いたまま某本社の社屋の外に出ていた。
嵐は完全に去り、夏らしからぬ寒気だけがわだかまって星々の光を凍らせている。夜が明ければ
銀英Zのサービス停止が公表され、鯖停止の準備がはじまる。ユーザーの集団訴訟への対策も行われるだろう。
多忙になる。だが、多忙なほうがよい。何か多量の激務を背負わねば、胸郭を食いあらす悲哀と喪失感に
耐えられそうになかった。
――フェリックスが星空が星空にむかって手をあげ、星をつかみとる動作をした。幼児は自覚して
それを行ったのではない。銀英X以降の歴史を貫流する、手のとどききえぬ某へのユーザーの怒りを、
一身にあらわしたのではないだろうか。
某本社の建物の内部は、銀英Zの停止に対する虚無感と、銀英Zの死を儀式化するための奇妙な
活力とにあふれている。そこへ向かって、ウォルフガンク・ミッターマイヤーは、歩いていくのだった。
……伝説が終わり、訴訟がはじまる。
銀河英雄伝説Z Ende
「某テク、7月ですよ、7月。実装してください、もう覚悟もできてますから・・・」
「・・・頼む、あと5日、いや、4日半でいいから、いや、4日25分・・・」
「まったくもう、言い訳がましいんだから。開発陣が予定を遅延したら、ユーザーに対してしめしがつかないでしょう?」
「開発が進まなくてもユーザーは遊ぶ・・・」
「みんな辞めていきますよ!機能を実装せずに課金したりしたら、雑誌のレビュアーにばかにされますよ」
「ユーザーだってまだ飽きてないさ、雑誌のレビュアーなんて、まだやってもいないよ。おやすみ、せめて夢のなかでは完成を・・・」
「某テク!」
長征も目的に到着しました。「銀河英雄伝説Z」、ここに正式サービス開始です。βテ
スター5000名、Cβを除いてですが、半年近い旅におつきあいくださった方たち、お
疲れ様でした。運営チームも燃えつきましたのでこれで撤退します──というわけにはい
かず、今後も、「鯖落ち!」の声にじたばたする運営が続くことになりますが。
それにしても、ほんとに、まったく、ようやく、やっと、どうにか、ついに、始まりま
した。これで「銀英伝Z」もMMOになれました。これまではβ版でしたから。正式サー
ビスしていないネトゲなど、屋根のない家も同然で、細部がどんなによくできていても、
全体的な評価をしていただくわけにはいきません。これで悪いなら悪いなりに、全体像を
評価していただくことができます。
今年度中に正式サービスを開始ということは、かなり以前から宣言していたはずなので
すが、一部では信用していただけなかったらしく、「βサービスのままもっと続けるそう
だ」とか、「いや、開発を中断して投げだすそうだ」とか、奇妙な噂が流れ、その噂をも
とにして一方的に抗議されたりもしました。ゲームの仕様やバグに対して批判を受けるの
は当然のことですが、ゲームに対する開発側の責任を疑われたことは、我々にとっては、
はなはだ不本意なことでした。それらの噂や抗議に対する我々の返答は、ここに銘記され
たとおりです。ご納得いただければ幸いです。
ぼーすてっく、このパッチが終ったら……
私は2ヶ月近くもユーザーだし、何というか、その、ソフトとして欠けたところがあるし、機能も未実装だらけだし、
いろいろと顧みてこんなことを申し込む資格があるかどうか疑問だし、いかにも2ちゃんを利用をしているみたいだし、
目の前にパッチをひかえてこんな場合にこんなことを申し込むのは不謹慎だろうし……
だけど言わなくて後悔するよりは言って後悔するほうがいい……ああ、こまったものだな、
さっきから自分のつごうばかり言ってる。要するに……要するに、返金してほしいんだ。
ユーザー:不満なんてあるわけない。とくにこの前の……ええと、何とかいうパッチは良かった。
某: わたし、昔からパッチがへたで……
ユーザー:そんなことはないさ、ほんとに。そうそう、アップデートパッチのときの「完全修理コマンドの不具合修正」はよかったなー。
某: わたし、不具合調整だけは得意なんです。いえ、それだけじゃないけど、他には、「再編成コマンドの不具合修正」とか、
「射撃・攻撃に関する調整」とか・・・・。
ユーザー:調整ばかりだね・・・・・