56 :
名も無き冒険者:
妻子持ちの俺に妻以外の恋人ができた。
いつでも会える訳じゃないし、さみしい思いをさせていた。
ある日俺が新しいネットゲームを始める事を伝えると、彼女もやると言いだした。
「ゲームの中ではいつも一緒にいれるよね」
彼女はうれしそうに笑った。
俺たちはopen初日から2人でAIONを始めた。
俺はシールド、彼女はいろいろ迷った挙句にスペルを育てた。
「このゲームの風景綺麗だよねー。2人で旅行してるみたい。」
彼女は始めてのネットゲームだった。おぼつかないチャットでうれしそうに話してたな。
彼女に会えるのは多くても月に2.3度。それも逢える時間は夜の数時間だけ。
そんな環境にある俺たちにとって、美しいAIONの世界はまさに夢の世界だった。