インターネットで、見知らぬ相手と一緒に楽しむネットゲーム(オンラインゲーム)、通称「ネトゲ」。しかしネトゲの
バーチャル空間に長時間没入するあまり、リアルな社会生活が送れなくなる人がいる。ゲームに熱中して夫や
子供をないがしろにする妻。ネット上のバーチャル恋愛に没頭する女性。息子のゲーム中毒が原因でうつ病に
なった父…。韓国では、ゲームに数十時間熱中して死に至ったケースも何件か報道された。
こうしたゲーム依存症・中毒患者を、「ネトゲ廃人」と呼ぶ。ネットゲーム依存は日に日に深刻化しているが、
その実態は知られず対策も講じられていない。「ネトゲ廃人」たちは、何を思いどう生活しているのか。
ジャーナリストの芦崎治氏が全国の「ネトゲ廃人」を取材し、その証言をまとめた。
――本に登場した19人の自称「ネトゲ廃人」には、身なりのきちんとした女性や、サッカーや水泳などのスポーツ
も楽しむ少年もいて、少し驚きました。いわゆる「ネットゲーム依存症」のイメージとかなり違いますね。年齢も、
中学生から40代と幅広かったのが印象的でした。
芦崎 そうなんです。マスコミは、ゲーム依存症というと「ゲームオタク」「アキバ系の若い男性」「引きこもり」という
イメージを強調しがちです。しかし僕が実際に会った「ネトゲ廃人」には、男性だけでなく30〜40代の女性もいたの
です。彼女たちの話を聞くと、生まれた時に既にインベーダーゲームがあった。幼稚園の頃からゲームに触り、
25年くらいゲームに関わっているわけです。女性の中には独身もいるし、主婦もかなり多いということが分かりました。
例えば、本の最初に登場する30代女性は、フェリス女学院大学の英文科を卒業した、IT(情報技術)企業の社長
秘書でした。2番目の女性も、堅い企業で派遣社員をしている30代。
2人とも既に「ネトゲ廃人」を脱却している人たちでしたが、「ネトゲ廃人」だった自分の過去を冷静に振り返っているん
です。引きこもってうつうつとしている人かと思っていたら、そうではない。(以下略)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20090430/193491/?P=1